LSD and the Search for God – LSD and the Search for God(2007)

Disc Guide

Label – Self Released 
Release – 2007/01/16 

幽かに漂う男女ボーカル、空白を無慈悲に埋め尽くすギター。まず非常に伝統に則ったシューゲイザーであると同時に、原始的なシューゲイザーの数倍に及ぶ幻覚性を秘めた作品でもある。そこから当然滲み出る中毒性、これがこのバンドにとっての勝因だったのだろう。ほんの20分強、たった5曲のEPで、このバンドはカルト的にファンを増やし、シーンに欠かせない存在となった。

2本のギターがうねりながらノイズを形作ってゆく様は、呆然とするほど美しい。時に視界を覆い尽くすオーロラの如く、時に彗星の如く、聴く者を柔らかく包み込みもすれば鋭く切り裂きもする。SlowdiveのChristian SavvilとMy Bloody ValentineのKevin Shieldsが組んで演奏している様に聴こえるかもしれない。こうも立体的に音楽を奏でられると敵わない。ちなみに、主に強調色としての役割を担うソリッドな音色はヴォーカルも担当するAndy Liszt、全体を覆う様な柔らかく分厚い音色はChris Fifieldによって奏でられている。

もちろんバンドの活動する場所がアメリカ西海岸の都市サンフランシスコであることを鑑みれば、「LSD」という3文字がゼルグ酸ジエチルアミドを意味することは明らかだろう。当然、バンドにサイケデリック・ミュージックの聖地が与えた影響は大きい。サイケデリック・ロックとしても優れたこの作品のレコーディングには、The Asteroid #4、Dead Skeltonの主要メンバーであり、現在はThe Brian Jonestown Massacreにも参加しているギタリストRyan Van Kriedtがマスタリングで参加している。本来、サイケデリックの多様性のひとつとして生まれたシューゲイズというジャンルの中で徐々に薄れゆく傾向にある幻覚性は、しっかりと時代の裏側で育まれているようだ。

text:Mrh

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