Posted on: 2019年9月13日 Posted by: 對馬拓 Comments: 0

SPOOL(スプール)というバンドをご存じだろうか。US/UKインディー・ロックやオルタナティヴ・ロック、シューゲイザーなどに影響を受けたサウンドを聴かせるバンドだ。この手のバンドでは意外に珍しく、メンバーは全員女性。2017年には台湾での公演や、定期シューゲイザー・イベントとして名高い「Total Feedback」にも初出演を果たした。2018年4月には新メンバーも加入し4人体制となり、2019年2月13日にはついに初の全国流通盤となる1stフルアルバム『SPOOL』のリリースも決定。今勢いに乗っているバンドの一つと言えるだろう。

しかし、バンド自体の活動暦は10年にも渡るが、いかんせんこれまで音源のリリースが少なく、他のバンドに埋もれてしまっている感も否めない。これはとても勿体無い。

そこで、今回はアルバムリリース前に少しでも多くの人にSPOOLを知ってもらうべく、メンバー全員にバンドの歴史を紐解くインタビューを決行。結成当初の秘話からメンバーの加入、そして4人の音楽的ルーツまで、たっぷりと語ってもらった。是非とも最後まで読んで、彼女たちの魅力に気づいてもらいたい。

インタビュー/文/写真=對馬拓

* * *

■ バンド結成

こばやしあゆみ(Vo. Gt./以下あみ):出会いは高校の軽音楽同好会でした。(※この時点で3人が揃う)

―─当時はコピーバンド?

あみ:コピーをやってて、一番最初はスピッツの「空も飛べるはず」をやりましたね。あとMr.Childrenとか。周りのバンドは結構ELLEGARDENとかASIAN KUNG-FU GENERATIONとかBUMP OF CHICKENとか、そういうコピーバンドが多くて。「うちらは違うことをしたい」というのは結構根底にあったので、それで私が「スピッツとかやりたいな」ってみんなに提案したら、いいね!ってなって、割とその辺の時代(90年代)の音楽をやっていたかもしれない。スピッツはたくさんやったよね。

安倍美奈子(Ba./以下あべ):あとミスチルの古めのやつ。「innocent world」とか。

あみ:やってたね~。「Tomorrow Never Knows」とか。で、aran(Dr./以下あらん)は入った当初はギターだったんです。もう1人ドラムがいたんだけど、すぐ不登校になっちゃって。それでもあらんはギターをやりたかったので、後ろにドラムマシンを流してやってました。笑 あらんがドラムを打ち込んで、例えばスピッツだったら譜面見ながら打って、それを流して3人でやるっていうスタイルだったんです。

あらん:新しいドラム入れようとしなかったよね?笑 いっぱいいたのにね。笑

あみ:やってもらえそうな人がいなかったというか……あんまり選択肢としてなかったね。3人でやろうっていう。

ショウジスミカ(G./以下すみ):DIY精神が強い。笑

一同:笑

あみ:まあ、そんなこんなでいろいろコピーバンドを続けて。で、高2くらいのときにオリジナル曲を初めて作ったんです。

あべ:あらんのリードギターがすごい特徴的で。笑

あみ:謎のギターをつけるっていう。笑

あべ:すごい良かったよ。

あみ:でも初めて書いた曲も、もう結構今の音楽に近いというか。暗めで。

すみ:女子高生なのに…。笑

あみ:スピッツとかスガシカオさんとか好きだったので、その辺の影響が当時は強かった。スガシカオもコピーしたもんね。

―─すかし顔で?(※スガシカオだけに)

一同:????笑

あみ:その辺りの影響を強く受けた曲かな。初めて作ったのは。

―─ちなみにその曲のタイトルは?

あみ:「ひとりよがり」です。笑

一同:笑

―─「SPOOL」というバンド名はいつから?

あらん:元々“ecoのみ焼き”って名前だったんです。笑

―─?笑

あらん:なんだそれって感じだよね……。

すみ:めっちゃださい。笑

あべ:ださいとかじゃないよね。何?って感じ。笑

あみ:あらんが「ecoのみ焼きにしよう!」って言って、いいね!みたいな。笑

あべ:当時エコロジーにすごく興味があったんだよね。

あみ:そうそう。水質調査とか。笑

一同:笑

あみ:なんか違うことをしたかったんだろうね。

あらん:こじらせすぎ。笑

あみ:でもバンド名も確かにインパクトのあるものが良かったんですよね。他のバンドに紛れたくないというか。それでecoのみ焼きになった。それでしばらくコピーをやってましたね。

あらん:“SPOOL”になったのは、高校を卒業して2年くらい……20歳くらいの時(2012年頃)。さすがにecoのみ焼きじゃ駄目だろうと。ようやく気づいて。笑

あみ:本格的にやろうってなって、さすがにまずいなと。

―─今の音楽性で「ecoのみ焼き」だったら……。

一同:笑

すみ:コミックバンドみたい。笑

―─「SPOOL」の由来は?

あらん:あべちゃんが持って来たよね。

あみ:そもそもスピッツ、スーパーカー、スプリングとか、“スプ”っていう響きが自分の中で好きで。さらっとしてるというか。SとかPが好きで。いい言葉がないかなって調べてたら“スプール”って言葉があるよってあべさんが調べてくれて。意味を調べたら“糸巻き”で。ぐるぐるしてていいんじゃない?って。笑

―─シンプルでいいバンド名だと思います。

あべ:あんまり長いのは嫌だねって話もあって。

あみ:一言でパッと言えて響きがいいバンド名っていう。だからあんまり意味っていうよりはそこですね。

あらん:バンド名がSPOOLになったくらいから私がドラムになりました。

―─元からドラムはできたんですか?

あらん:できなかったです。

―─すごい!

あらん:でも、コピー時代にドラムマシンを打ち込んでいたから……。

あみ:そこは培ってきたものがあったね。フレーズの知識とか。こうやればいいんだなっていうのはあったんだと思う。「やるよ」って言ってくれたからね。そこから一番最初のCD(『since1991』)っていつ出したっけ? 廃盤になったやつ。

あらん:あれもSPOOLになった年くらい?

あべ:そうそうそう。

あみ:1stデモみたいな、自主制作の簡易的なものなんですけど、ライブ会場で販売し始めて。

あらん:今聴くとひどいよねきっと。笑 聴けたもんじゃないと思う。よくみんな買ってくれたよね。

―─当時ライブの頻度はどれくらい?

あみ:もう20歳くらいから地元埼玉の北浦和KYARAとか西川口Heartsとかでライブをやり始めて。ブッキングの人に面倒見てもらいながらやってました。月1とかでやってたかな。頻度は今とあんまり変わらないですね。

―─なるほど。で、最初のCDが出て、その後は……。

一同:沈黙

すみ:その後は?!笑

一同:笑

あらん:何あったっけ?笑

あみ:でもやっぱり当時あんまり活動の仕方が分かってなかった部分もあるよね。なんとなくずっとライブを月1くらいでやり続けて。ただ曲はずっと作ってたので増えてたんですよ。なので次の年にはレコーディングを始めたよね。21歳くらい(2013年)。『sink you』のレコーディングです。これは私の21歳の誕生日に出しました。

あらん:すみちゃんはいつ登場するの?

すみ:だいぶ先だね。笑 まだ後5年くらいある。笑

あみ:でも出てはくるけどね。

あらん:『sink you』が発売した時はいた?

すみ:いないと思う。

あみ:まだ出会ってないんじゃないかな。

すみ:まだ青森。笑 『sink you』のちょっと後かな。2014年とか。(※すみちゃんだけ青森出身)

あみ:『sink you』と『私は泳ぐ、メロンソーダ』の間くらい。

■『sink you』製作とすみちゃん登場

Spotify / Apple Music

1. sway, fadeaway
2. don’t forget sway fadeaway
3. sea bed
4. 水のゆくえ
5. 夢からさめて…

あみ:「sway, fadeaway」(M-1)って曲ができてから結構自分の中でシューゲイザーっていうものに目覚めたかもしれないです。自分の中で最初にシューゲイズしたのはこの曲ですね。

あべ:この曲21歳のときに出来てたんだね。

あらん:まだライブでやってる……。笑 飽きなさすぎる。笑

一同:笑

あみ:で、「sway, fadeaway」を弾き終わった後に適当に弾いてたら「don’t forget sway fadeaway」(M-2)に繋がったんですよ。コード感の余韻のまま繋げて曲を作りたかったので。弾いてたら出来てしまった。

あべ:適当に……すごいね。

―─製作過程で特に大変だった所は?

あみ:そうですね……。曲を作ることはきつくなかったです。この頃は曲を作ることが本当に楽しかったので、バンバン作ってましたね。苦は感じなかった。それより、自分が作ったものをバンドメンバーに共有してどうやるかってことが結構きつくて。こういうふうにやりたいんだけど、どうやって伝えたらいいんだろう?とか、そういう苦悩がめちゃくちゃありました。多分今もそうだとは思います。

あべ:「水のゆくえ」(M-4)って曲はインストなんですけど、これなんでできたんだっけ?

あらん:結構、赤い公園に影響されてるよね?笑

あみ・あべ:あ~!笑

あみ:やっぱりその時聴いてた音楽の影響が出るので。赤い公園の何だっけ……。

すみ:最近めっちゃ聴いてた。「透明」じゃない?

あべ:「透明」だ!

あみ:すごい似てると思う。当時すごい聴いてて、当時自分がやりたかったことを表現してるバンドだったので、いいなあと思って。聴いてたらすごい影響が出ちゃって。この曲ができた。「sea bed」(M-3)は多分19歳くらいに作った曲。1stデモにも入ってたんですよね。当時そんなに別にシューゲイザーとかアンビエントを聴いてたわけではないんですけど、自分の中の根底にそういうものがあったのかなっていう曲ですね。潜在してたみたいな。笑 アンビエントが潜在してた。

―─かっこいい!

一同:笑

あみ:引き出された感。内向的な人間ではあったので、曲を作って全部表現するみたいなことしかできなかった……。笑 この曲に関してはそれがめちゃくちゃ出てるなと。

あべ:暗い……暗いっていうかなんかね、なんだろう。

あみ:暗いっちゃ暗いけど、そういう次元でもないかもしれない。暗いとか明るいとか。

あべ:そういう話じゃないって感じか。

あみ:「夢からさめて…」(M-5)は震災の時に書いたと思います。“街がこわれたこと”っていう歌詞があるんですけど、それはその描写ですね。別にメッセージ性があるわけではないんですけど、その時自分が見たものとか感じたことをただ書いてるだけなので、何かを伝えたいって訳ではないんですけど。

あべ:(歌詞カードを見ながら)歌詞短いね。全体的に短い。ほんとさらっとしてる。

あみ:そうですね。そもそも先にコードとか曲を作って、後からメロディと言葉を当てはめていくスタイルなんです。なので鼻歌で歌ってて、そのメロディに合う言葉を選んでいくみたいな作業なので、あんまり意味を入れるっていうよりは、メロディと合った言葉をパズルみたいに入れていくような感覚で曲を作っているので。音重視というか、出来てみると結構自分が思っていることだったり感じていることだったりするんですけど。このアルバムは特にそれが出ていると思います。

あべ:すごい時が経ったんだなというのを今実感しました。笑 エモーショナルな感じ。当時2013年。

あみ:『私は泳ぐ、メロンソーダ』って何年だっけ?

あべ:これは2015年。

あみ:その間ってなんかあったっけ? 多分すみちゃんに出会ってたりしてたと思うんだけど。

―─じゃあ、ここですみちゃんとの出会いの話を。

あみ:北浦和KYARAだよね?

すみ:対バンイベントを観に来てたときにSPOOLも一緒に出てた。存在は前から知ってて、よく行くライブハウスの子から「絶対好きだから聴いたほうがいい」って言われてて。じゃあ観てみようと思って観に行った。

あみ:うちらが22歳ですみちゃんが20歳くらいの時だったと思う。で、ライブハウスで出会って、ちょっとお話をした時に結構好きな音楽も被ってたので、普通に仲良くなれそうだなって当時は思ってて。そのときはライブハウスで会って話すくらいだったよね。

あらん:友達。

すみ:たまに一緒にライブに行ったり。

あみ:でも、すみちゃんはずっと私のこと慕ってくれてたんですよ。「あみさん遊びましょ遊びましょ!」って。

―─笑

すみ:波長が合うから……。

あみ:懐いててくれて。

すみ:犬みたい。笑

あみ:犬感かすごい。「遊ぼ遊ぼ!」って来てくれるから。笑

あべ:かわいい。笑

―─笑(容易に想像がつく)

あみ:それで私も嬉しかったし、定期的に遊んだりライブ行ったり。

あらん:きのこ帝国行ったよね?

あみ:くるりとのツーマンのやつ行ったもんね。

―─では、MVの話を。

あべ:「sway, fadeaway」のMVは映像が割りとメインだよね。後ろにプロジェクターの映像を流してて、そこはかなり考えたよね。

あみ:考えた。

あらん:絵コンテで考えたよね。

あみ:どっちかと言ったら映像にすごい力を入れてて、みんな何となく見てると思うんですけど。

あらん:色々意味とか物語にはしてるつもり。見てる人には全然伝わってないと思うけど。笑

あみ:私たち的には結構意味を込めて作った。あと、リンドウを沈めるシーンあったじゃん、あらんの家でやったやつ。

あらん:あれは楽しかった。笑

あみ:あれって、映像を重ね合わせてるんですよ。演奏シーンと……。

あらん:水槽の中に水を入れて、そこにリンドウの花を入れて。

あみ:そこに絵の具を垂らして、パーッて広がる映像と演奏してる映像を重ね合わせて。ただ撮ってるだけではつまらないから、幻想的でサイケデリックな質感を出したかったので、組み合わせて撮ったのがMVのポイントかな。ちょっとスペーシーな不思議な色になってると思います。

あべ:二人(あみとあらん)は大変だったと思う。

あみ:ロケハン(ロケーション・ハンティング。屋外のロケ地を探すことを指す)とかも行ったもんね。

あらん:もうスタッフだったよね。自分のMV作ってる感じじゃなかった。

あみ:仕事だったね。でも結果的にいいものができたので良かったんですけど。

あべ:多分、今SPOOLの動画の中では一番見てもらえてるMVなので、撮れて良かったなって感じですね。

あみ:あれを見て色々反応してくれる方が多いので。頑張って作って良かったなって感じます。結論が「苦労したけど良かった」っていう。笑

■『私は泳ぐ、メロンソーダ』製作

Spotify / Apple Music

1. 私は泳ぐ、メロンソーダ
2. In the dark
3. sink you

あみ:まず『sink you』ができたことによって「sink you」(M-3)が生まれたんですよね。

―─『sink you』というアルバムができたことで「sink you」という曲ができた。

すみ:ややこしい!

一同:笑

あらん:ちょうどこのレコーディングとかしてる時にあみちゃんがこの曲を持ってきて、タイトルどうしようってなった時に『私は泳ぐ、メロンソーダ』ってアルバムのタイトルは出来上がってたけど……。

あみ:多分あえてやったんだと思う。それこそ過去があったからこそできた曲だし。「sway, fadeaway」とかを作ってシューゲイズの魅力に気づき始め、これができたって感じなので。で、自分の中で「次はシングルを出したいな」と思ってて、強い曲が欲しいなっていうのがあったので、強烈な一曲を作ったろ!と思ってできたのが「私は泳ぐ、メロンソーダ」(M-1)。

―強烈ですね。

すみ:タイトルがまず強烈。

あみ:ただ、前のアルバムは結構内向的でシューゲイズな傾向があったので、自分の中ではちょっとそこから離れて、ポップス要素の強い、だけどダークで歪んでるみたいな世界の曲を作りたかったので、それをコンセプトに作りました。自分の中のポップみたいな。で、シングルなので「私は泳ぐ、メロンソーダ」と「sink you」が決まった時にもう一曲間に入れる曲が必要だと思って、結構苦労して作ったのが「In the dark」(M-2)。これは結構大変でしたね。

あらん:間に入れるために作った、みたいな。真ん中の曲がどうしても決まらなかった。

あみ:今まであった曲では当てはまらなくて、このシングルを出すためだけに書いた曲でしたね。結果的にはすごく上手くまとまって自分としてはこの作品は納得がいってるというか、すごい好きなシングルですね。

あべ:今思うとシングルだよなって感じがするね。

あみ:個性的だよね。

―─個人的には「In the dark」めっちゃ好きです。ミニマルな感じが。

あみ:ありがとうございます!

あべ:やったー!

あみ:ずっとベースが同じフレーズなんですよ。その中毒性みたいなものを感じていただければ。

あべ:この曲はベースもあみちゃんが全部考えてきたやつだよね。

あみ:そうそう。

あべ:そういうのこの曲が初めてじゃなかった?

あみ:そうかもね。今まで弾き語りでボイスメモとかで声とギターだけでデモを送ってたんですけど、この曲はドラムもベースも全部打ち込んで、完成した状態でみんなに渡した。Radioheadの「The National Anthem」がすごい好きで、あの中毒性を出したかったんですよね。ずっとループしててどんどん深くなっていくみたいな感じのコンセプトの曲です。

―─個人的には後期のスーパーカーっぽい気がしてて。似た空気を感じました。

あみ・あべ:ん~~~!

あみ:結構後期好きなので、嬉しい。

あみ:ナカコー(Koji Nakamura/ex. スーパーカー)さんの歌い方とか大好きなので、影響を受けてますね。歌のつけ方とか。

―─で、「私は泳ぐ、メロンソーダ」のMVですが……。

あみ:大変でしたね~~。やっぱり大変ですね、映像を撮るのって。いやでもこれは本当に辛かったです。

―─笑

あべ:「sway, fadeaway」に比べたら撮影は一日で撮り終えたので、拘束時間的には短かった記憶が。

あみ:でも割とこれも内容を考えましたね。

あらん:自分たちで考えたものを絵コンテにしてきて。で、撮ってくれる人に「これをやります」って。

あみ:で、あちらからも提案してもらって、いろんな映像が組み合わさってできたみたいな。

あらん:私はすごい楽しかったけどね。笑

あべ:私も大変だったというよりかは、実験みたいな。

あみ:実験台でしたね。

一同:笑

あらん:スライム投げたり。

あみ:でも曲の世界観は間違えなく表現できたと思うので。気持ち悪さみたいなのはいい意味で表現できました。かわいい感じだけには絶対にしたくなかったので、やばさは表現できた。でもただやばいっていうか、“美しいやばさ”みたいのを表現したかったので。

―─生々しいですよね。

あみ:すごく生々しい。笑 恥ずかしいですね、今。怖い。

すみ:V系のMV見てる感じだなって初めて見たとき思ったんですよ。展開もそうだし。いきなりギュン!みたいな。

あみ:いきなり3拍子とかになるしね。だから結構、起承転結みたいなのがこの曲は特にある。3拍子のところは“転”だし。まあでも、これも大変だったけど、形になって良かったです。辛かったけど良かった。

■ 事実上の活動休止とハロプロ

―─で、その後は…。

あらん:2016年は特に何もやってなかった気がする。

あみ:『私は泳ぐ、メロンソーダ』を出した瞬間に結構燃え尽きた。レコ発とかイベントもやって、あんまりそういうの得意なタイプでもないので、やっとの思いでCD作り終えて、一回落ち着きたいよね、って。

あらん:バンドの活動も控えようみたいな話もしてた。

あみ:あんまりライブもやってなかったんじゃないかな。企画に呼ばれたらやるっていう感じ。

あべ:2ヶ月とか3ヶ月に一回くらいだったような。

あみ:活動の頻度を減らそうっていう。

あらん:2人(あみとあべ)がそんな感じだった。

あみ:話し合った気がする。

あらん:覚えてる覚えてる。

あみ:『私は泳ぐ、メロンソーダ』を出してライブをやり始めた時に、自分の中で表現しきれていない部分が……実際の自分の理想と現実が結構かけ離れすぎてて、自分の中で辛い部分が正直あったんですよ。ライブで表現するのがすごく難しくて。なかなか答えが出なくて、どうしたらいいんだろうって悩んでて。その時に結構一人でめちゃくちゃ曲を作ってたんですよ。バンドでやるわけでもなくただ曲を作ってSoundcloudに上げるみたいな。バンドを辞めたいとは全く思ってなかったんですけど、一人でも表現できることをやりたいみたいな周期に入り始めて。

あらん:一人モード。笑

あみ:あべさんも「あみちゃんは一人でもやった方がいいよ!」って応援してくれて。で、あらんは「なんでやってくれないの?!」って感じだった。

あらん:笑

あみ:「あみちゃんが作った曲をSPOOLでやればいいじゃん?!」って彼女は思ってたんだけど、私は正直、全部自分でやりたいっていう精神が芽生え始めてたから、「一旦、活動頻度を減らしてあみちゃんの製作に充てよう」ってあべさんは言ってくれて。あらんはしょんぼりしてたんですけど。笑

あらん:そこからモーニング娘。にハマった。

一同:笑

―─穴を埋めるように。笑

あらん:完全にそう。笑

すみ:彼女に振られた男みたい。笑

あみ:振られたかのようにショック受けてましたからね。で、私は自分のためだけの曲を作り続けて、弾き語りとかも結構やってました。サンプラーも買ったりして、ライブでやってみたんですよ。サンプラーを使いつつ。初期の七尾旅人みたいなことをやりたくなっちゃって。

―─すごい方向転換。

あみ:全部一人で作って一人でやるっていうシンガーソングライターのスタイルにめちゃくちゃ憧れてしまって。それで活動をちょっとやってみたんですけど、実際やってみた時に「ん?」ってなって。違和感というか。全部一人で出来るって思ってたけどやっぱりみんながいないと駄目なのかもしれないって。一人になってこそ気づいて……。

すみ:別れた男の話?笑

一同:爆笑

あみ:でも本当に一人になって気づいたんですよね。だから多分一回やらなかったらこれに関しては分からなかったから、一人でやったことは絶対無駄じゃなかったと思うんですけど。みんなで今までやったことはすごい意味のあることだったんだと思って。で、戻ってきて曲を作ってまた始めようってなって、2017年とかに今度のアルバムの曲が出来て。もう一回やり直そうっていう。笑

あべ:一回別れて……。笑

すみ:よりもどしやがった~!

■ 台湾とTotal Feedback

あべ:その2017年によりをもどしたあたりで、ちょうど3月に初めてTotal Feedbackに出させてもらって、その前に台湾にも行って。そこですごい受け入れてもらった時、バンドってすごく楽しいなって思った。

あらん:その台湾のライブが、もうお客さんが満員で、すごいCDも買ってくれたり、「サインください!」とか「写真撮ってください!」って、本当にスターみたいな扱いをしてくれて。笑

あみ:あれ行ったのが大きかったよね。消えかけてた炎がもう一度ブワッってなって。ちゃんと待ってくれてる人がいるというか。

あらん:聴いてくれる人がいるっていう。

あみ:それまで、「自分がやりたいから」っていう気持ちの方が強かったんですけど、その辺りからは、「聴いてくれる人がどこかにいるはずだから」っていう気持ちでやるようになったかも。

―─より「外」へ。

あみ:より「外に発信しよう」っていう気持ちになったのは去年からだよね。

あべ:その台湾の後すぐに初めてTotal Feedbackに出て、自分たちの音楽性に興味を持ってくれる人が日本にもいるんだ!って思って。それまでは対バンしててもかなり浮いてる感じだったので、初めて受け入れてもらってる感じがしたよね。去年から、すごい楽しいって思うようになった。

あみ:そうだね。去年からガラッと変わって。そういう世界に自ら踏み込んだっていう感じではあったので。それまでは普通のライブハウスとかで、シューゲイズのイベントでもなく普通に出てた感じだったんですけど、自分から踏み込んでみて見える世界が変わったというか。外に発信するようになったのは去年からですかね。

あらん:2017年はTotal Feedbackに出まくったって感じだったよね。

あみ:とりあえずそっちの世界で頑張ってみようかっていう感じで。イベントには出まくって。

あべ:Total Feedbackに出たことによって知り合った方から誘ってもらえたりとか。

あみ:他のイベントに繋がるみたいなことがあって、結構企画出たりとかしたよね。とりあえずライブをやっていたって感じですかね。2017年は。

あべ:でもそれまでの闇雲な感じというよりは、もうちょっと聴いてもらえてる嬉しさを持ちつつ活動できた。

あみ:2回目に台湾行ったのは12月か。同じ年にもう1回行って、やっぱり温かく迎え入れてくれて。ただ物販とかが何も成長してなくて、CDとかもそのままだし「全然リリースしてないな」って気持ちにはその時なって。

あべ:次行く時は絶対何かCDを持って行きたいなって。

あみ:それはすごい思った。台湾の効果はめちゃくちゃ大きかった。

■ すみちゃん加入

あらん:2018年の1月に大阪に遠征に行くときの新幹線で次のアルバムを出すっていう話をして。

あみ:曲目を考えてプリプロ(※プリプロダクション。本レコーディングの前準備等を指す)も進めよう、でもまず曲を作らないと……って。

あらん:この時はまだすみちゃんを入れようって全然思ってなかった。

あみ:その頃はまだ3人で全然やろうとしてた。

あらん:3人で作るつもりだったよね。

あみ:でもあべさんが結構「今のままでいいんだろうか?」ってすごい悩んでて。モチベーションがグーって上がってたから。自分の中ではそれを見てちょっと疑問を持ち始めて。3月くらいに「なんで今まで3人にこだわってたのかな?」って疑問を持ち始めるようになったんだよね。「誰か入れてもいいんじゃない?」って。

あらん:あべちゃんが最初に「ギター誰か入れよう」って言って、あみちゃんが即答で「すみちゃんは?」って言わなかったっけ?

あみ:その時は「絶対三人がいい」って言ってた。

~記憶が錯綜していたため、やり取りは割愛~

あみ:でも台湾でライブしたり2017年活動したことによって自分の中で考えが変わり始めてきて、なんでこんなに3人にこだわってたんだろうって思うようになって。……で、浮かんできたのがすみちゃんだったんだよ。

すみ:うぇ~~~い!

一同:笑

あみ:ようやく登場。笑

すみ:出てくるのに10年かかった。笑

―─すみちゃんを入れようってなったのはいつぐらい?

あらん:3月じゃない?

あみ:3月のあたまには直接飲みに行って誘った。上野でベロベロになりながら。なんか、“良くない男”だよね。笑

―─男?笑

あみ:恋愛に換算したら……。

すみ:酔わせて落とすみたいな。チャラ男だ!

―笑

あみ:すぐに「やる!」って言ってめちゃくちゃ喜んでくれて。

すみ:スキップして帰った。笑

あみ:「ほんとですか?!」って。どう言われるかなって思ったけどそんなに喜んでくれるとは思ってなくて嬉しかった。前々から彼女がバンドをやりたいっていうのは聞いていたので、せっかくギターも弾けてやりたそうにしてるのに勿体無いなって。だったら一緒にやろうよっていう気持ちがすごいあったので、好きな音楽も被ってるし、付き合いも長いから色々分かってくれるかなっていう意味でお誘いした感じです。

すみ:「バンドやらないの?」って人から聞かれた時に、SPOOLに誘われたらやるけど……って言ってたら、本当に叶っちゃったっていう。

あべ:相思相愛ですごい。笑

あみ:他に思い浮かばなかった。すみちゃんだなっていう感じ。

あべ:言われてすぐ納得した。

すみ:私がギター弾いてるところを3人は一切見たことがなかったから、よく誘ったなって。「いいんですか?」って。笑

あみ:でも、私は技術的な部分ではないと思うんですよね、バンドって。すみちゃんの見た目の雰囲気とかも含めて誘ったんですよ。自分たちにない雰囲気をかもし出してるから。4人になって言われたのが、「3人のときはめちゃくちゃとがってた」って……。3人だけの世界観みたいな。すみちゃんはそういうのをいい意味でふわっとさせてくれるような存在の子。変わるな、っていう気がして。今までの状況を変えたいって気持ちはすごくあったからっていうのもお誘いした理由です。ギター弾いてるところ見たことなかったけど。笑 見た目大事。技術は後からなんとでもなる。

あべ:一番最初に四人でスタジオに入った時、「弾けない」って言ってたのに全部覚えてきて。

あらん:やる気がすごかった。

あみ:すっごく練習してきてくれて。「弾けるじゃん!」って。感動したよね。音の厚みも違うし、今まで足りなかった部分が補充されたような感覚だった。

あべ:楽しかった。

あらん:「楽しい!」って思った。「バンドって楽しいんだ!」って。10年以上やって、やっと。

あべ:おっそ!笑

あみ:やっぱり荒地だったんですよ、3人時代は。

あらん:3人のときのスタジオは雰囲気悪い時もあった。誰かがめっちゃ機嫌悪い時とか。

あみ:思うようにいかないとイライラしたりとか。みんなあったよね。

あらん:あべちゃんも新曲のフレーズを全然作れなくて次のスタジオを迎えた時とかすごい機嫌悪くて。笑

あみ:自己嫌悪でね。ちょっと……って言って20分くらい戻って来なかったり。

あらん:急にスタジオの外に出て、トイレかな?と思ったら帰ってこない。笑

―─バンドマンの失踪みたい。笑

あらん:本当に帰った日もあったよね。でも4人になって和らいだ。

すみ:(自分を指して)犬の効果。

あべ:アニマルセラピー。笑

一同:笑

あみ:あと3人っていう形態より、4人のほうが2人と2人になるから……。

あべ:いい意味で組織っぽくなったというか。

あみ:そうそうそう!

あべ:自分の気持ちだけを前に出してると決まることも決まらないというか。自分の気持ちはひとまず置いといて、まずバンドとして考えようみたいな。大人になりましたね。

あみ:“組織感”はすごい出たね。

あべ:それまでは姉妹みたいな感じだったんですけど。

あみ:そうだね。付き合いも長いし「何となくで察して!」って感じだったけど、今はもうお互い発言して。

あべ:本当にようやく“バンド”って感じですね。笑

―─長かったですね。

一同:笑

■「No, thank you」レコーディング

―─すみちゃんの正式な加入っていつでしたっけ?

あみ:2018年4月だね。で、6月に初ライブ。

すみ:ライブの前に「No, thank you」をレコーディングした記憶が……。初ライブの1週間前。

あみ:曲自体は昔からあったよね。3~4年前からあった曲で、ライブではやったりしてた。音の厚みがある四人になってからやったらもっと良くなるんじゃないかっていうのがあったので。あとコンピレーション(『Total Feedback 2018』)に参加するって決まった時に多分シューゲイズ曲が集結してくるからちょっと違う要素の曲を入れたかったので、あえてこの曲にしたんですよね。「シューゲイズじゃなくね?」っていう。

すみ:本当に突っ込まれる。

あみ:「グランジじゃん?」みたいな。笑

すみ:友達に「お前は何のバンドに入ったんだ!」って。笑 この曲初めて聴いた時、yuckに似てるなって思って。

あみ:yuckっぽさは意識して作った。「Holing out」。

すみ:コピーしたことあるから、すごい似てるなと思って。

あみ:でも結局シューゲイズのコンピとは言えど、インディー・ロックの雰囲気の曲を入れても全然問題ないかなと思ったので。

―─全然浮いてない。

あみ:インパクトを残しつつ、馴染めてるかなって。レコーディングも音重ねたもんね。

すみ:初めてレコーディングしたのがこの曲。レコーディングの勝手が分からず……。

あみ:大変だったと思うけど仕上がったからね。

あらん:入ってすぐレコーディングやって……って感じだったよね。笑 5月だっけ? 4月に加入して5月に録るっていう。

すみ:アルバムも12曲あるなんて思わなかったから……。笑

あべ:ブラック企業だよね。

一同:笑

すみ:5~6曲だろうなって思ってたら、倍だ……って。笑 「それギター弾くの私?」って。笑

あみ:でも、なんとかスムーズに完成して、今に至る……。

■ バンドへの執着

あらん:高校生の時にちゃんと満足してバンドやってたら、多分高校卒業と共にバンド活動が終わってたよね。

あべ:確かに。すごい青春してたら「みんなお疲れ!」ってなってたと思います。不完全燃焼だったからこそ……。

あみ:今にまで続いちゃってる。

あらん:“青春ゾンビ”みたいな感じかも。笑

―─青春ゾンビ!笑

あみ:すごい言葉が……。笑

―─社会人になってスパッとバンドを辞めてしまう人も多いですからね。

すみ:逆に社会人になってバンドやるとは思わなかった。

あべ:そう考えると、すごいねすみちゃん。

あみ:3人時代はできなかった時期も結構続いたもんね。その時にどんどん好きなバンドのライブを観に行ってどんどん思いが膨らんでいって。憧れだけが……。

あべ:憧れがすごかったね。高校卒業した後の19歳の年も、あらんが大学進学と同時に埼玉に来る予定だったんだけど……。

あらん:大学受からなくて一年浪人して、バンドできない期間が一年延長されて。その時2人は何してた?

あみ:多分一日中喋ってたよ、バンドのこと。

あらん:スタジオは入ってた?

あみ:入ったりもしてたけど、ずーっと喋ってたよね。それくらい気持ちはすごかった。

あらん:定期的には会ってたの?

あみ:会ってたよね。何となくスタジオに個人練習で入って、「こういうことしたいよね!」という思いを膨らませつつ、特に何もできず。将来のビジョンだけは大したもんだったよね。笑

あべ:根拠のない自信がすごいあった。

あみ:そういうのを延々と話してる一年だった。

あべ:振り返ってみて、なんでこんなにバンドをやることに執着してるんだろうって思う。

一同:笑

あらん:執念がすごい。笑

あべ:もっとスマートな人間だったら、もうバンドをやってないなって思うよね。笑

あみ:諦められない思いがあるんだろうね。

あべ:何を諦められないのかもよく分からないけど。反骨精神……?

■ あぷーる状態

―─では、“あぷーる”の話を。

すみ:出た出た出た!! “あぷーる状態”!

―─“あぷーる状態”とは。笑

あらん:言い間違いとか書き間違い……誤字脱字がすごい多いんですよ。それをあみちゃんがすぐ見つけて、あべちゃんとすみちゃんがちょっかいを出してくる、という状態のこと。笑

すみ:ちょっとの誤字だったら分かるんですけど、そこ間違える?!みたいな。笑

あみ:なかなかセンスのある間違い方だよね。LINEのタイムラインに告知してて、何か書いてるなと思って見たら“私がドマムをやってる「sway, fadeaway」の……”って。笑(※正しくはドラム)

一同:笑

あみ:「ドマム?!」って。笑 それを私がツイートしたらすみちゃんがすぐに「ドマム」って返してきて。SPOOLに入る前からあらんのこといじってたよね。笑

あべ:煽り癖があったんだろうね。

―─煽り癖……。笑

あみ:「sink you」も「sink yon」とか。何を間違えたか“u”がひっくり返っちゃった。笑

あらん:笑

あみ:「フライヤー作ったよ!」って言って「sink yon」って書いてあって、おいおいおい、タイトル間違えてどうすんだ!って。笑 あと、“私の好きな曲を紹介します。スピッツの「あじさ通り」です。”って書いてあったりとか。(※正しくは「あじさい通り」)

―どこ。笑

一同:笑

あらん:どこの道。笑

あみ:タイトルとか重要な所を間違えるよね。

あべ:“あぷーる”です、これが。

―─了解です。

一同:笑

あらん:これは記事に入れなくていいです。笑(※入れました!)

■ SPOOLの音楽的ルーツ

あみ:私が影響を受けたアーティストは、日本だとTHE NOVEMBERS、ART-SCHOOL、Syrup16gとか、コッテコテの……。

―─コッテコテ。笑

あみ:そうそう。笑 スピッツ、Mr.Childrenとか。あとポルノグラフィティ、スガシカオ。もちろんスーパーカーとかも。で、アートとかシロップとかを聴き始めて、「この音楽のルーツは何だろう?」って探ってた時に、シューゲイザーとかオルタナティヴ・ロックが出てきて、そこからNirvanaとかRadioheadとか、My Bloody Valentineもそうだし、Sonic YouthとかのUSインディー、UKロックを掘り下げるようになって、という感じですかね。

すみ:BUMP OF CHICKENとかを聴いていたけど、なぜか道が逸れてV系を聴き始めて……。

あべ:道逸れすぎ!笑

すみ:私が中学生の時代ってネオヴィジュアル系が流行って、ナイトメアとかその辺が好きで、みんなが好きなバンドを聴くのは嫌だなって思って…ずっとそうなんですけど、それで掘り下げていってPlastic Treeに出会って、知らぬ間にCDを集め始め……。高校時代はずっとプラは聴いてたけど韓流アイドルにハマってみたりとか。笑

―─色々走ってる。笑

すみ:大学に入って、mixiをやってたんですけど、「Plastic Treeが好きです」って言ったらプラが好きな先輩と繋がって、そこからギターを始めて。やっていくうちに「プラが好きならシューゲイザー好きだよ」って言ってくれた先輩がいて確かにしっくり来て。シューゲイザーはきのこ帝国から入ってMy Bloody Valentineも聴いたりして。そこからライブハウスによく行くようになって、SPOOLに会うのに繋がった。

あべ:私は、あらんと中学の時にバンドやろうってなったのが、BUMP OF CHICKENがやっぱりきっかけ。めちゃめちゃ大好きで。

―─世代ですからね。

あべ:めちゃめちゃ大好きで。

―─2回言った。笑

あらん:中学校の時にバンプがラジオをやってて。それからコピーしたよね。笑

あべ:バンプの番組のコピーから始めた。笑

―─すごい……。

あらん:カセットテープに自分たちのラジオを……。笑 で、二人で交換ノートをやってたんですけど、そのタイトルが“BUMP OF 交換ノート”。笑

すみ:だっせぇ!(※シンプルに酷いことを言うな)

―─“BUMP OF 交換ノート”!笑

あらん:それくらい大好きだったんですよ。

あべ:それしか楽しみがなかった。それを中3の春くらいから毎日書いてたよね。B5のノートに1ページ書いて……。

あらん:文字だけびっしり書いて、次の日渡して……。一日も休まなかったよね。

あべ:冬休みもポストに投函して。笑

すみ:すごーい! その時のノート残ってないの?

あべ・あらん:残ってる残ってる。

あみ:熱意がすごい。

あべ:何冊行ったんだろう?

あらん:6冊ぐらいは行った。

あべ:で、もうバンドへの憧れがすごく募りまして。バンプは大好きで、でも高校に入ってあみちゃんと出会って実際にコピーバンドをやるってなった時にバンプは全然やらなくて。変わらず好きではいたんですけど、そこでART-SCHOOLとかTHE NOVEMBERSを聴くようになって。オリジナルバンドを続けようっていう気持ちにさせてくれたのはやっぱりTHE NOVEMBERSですね。

あらん:中学の時はBUMP OF CHICKENが好きで、高校はチャットモンチー、Base Ball Bearとか。

―─ベボベ! 大好きです。

あらん:そこからあまり好きなバンドとかそこまでできなくなって、それで……一時期バンドやらなくなったショックで、その穴を埋めるようにモーニング娘。に……。

すみ:なんでモー娘。?

あらん:小学校の時に黄金世代で、その時すごい好きだったのがまだ残ってて。で、なんだこのかわいいショートカットの子は……と思って。工藤遥ちゃんっていう。マイ・エンジェル。

あべ:オタクじゃん。笑

一同:笑

あらん:そこからファンクラブにも入って。ライブに通い、曲も全部聴いてます。今はハロプロ全体的に大好き。です。

すみ:嗜好がバラッバラ。笑

あべ:なんでまとまってるのか……奇跡。笑

あみ:衝突しないのはある意味……みんな好きな音楽それぞれあると思うけど、バンドでやるってなったら、って話だからね。ハロプロっぽい曲やろうって思わないじゃん?

すみ:バンドがどっぷり好きじゃない、って人がいた方がやりやすいのかな。

あみ:かもしれないね。

あらん:そうだね。シューゲイザー聴けない。

―─聴けない!笑

すみ:揺らぎと似てるなって思ったのが、かんちゃん(Kantaro Kometani/Gt.)が全然シューゲイザー知らないっていう。「あれ、これはうちの“ドマム”もそうだぞ?」って。(※ドマムから離れなさい。)

あみ:長いやつとかも聴けないよね。

あらん:聴けない。

あみ:私の作った曲も「長い、眠くなる」とか言って、「マジかよ!」って。「お前ドラム叩いてるぞ?」って。笑

┗―笑

すみ:こういうシューゲイザーみたいな偏ったジャンルって、全員が好きすぎるとよがっちゃうみたいなところがあるから……。

―─凝り固まりそう。

あみ:そうですね。対立もしそうだし。ある意味みんなそんなにがっつりシューゲイズやりたいっていう人たちじゃないからこそ、いいバランスなのかなっていう感じはしますね。

あらん:オタクのくだりはカットしてください。笑(※しません!)

一同:笑

あみ:自分の場合、曲ごとに結構テーマがあって、「この曲はこのバンドのこれっぽくしたい」っていうのがあるので、ルーツって言われると結構難しいんです。オマージュとかが好きなので。上手く取り込んで自分の音楽にするっていうスタイルでやってるから。「sink you」はRideの「Dreams Burn Down」っぽくしたくて。ドラムを考える時にあらんに「これ叩いてほしい」って言って聴かせて。ドラムは思いっきりあの曲の感じをやりたくて……結構そういう感じで曲を作ってるので、自分の好きなものって周期によって変わるから、「今こういうのが作りたい」ってなったら「このバンドのこの曲」ってテーマを決めて、それに近いものを自分の中に刷り込ませて作りますね。

あべ:毎回変化があって面白い。

すみ:またこんな感じ?っていうのはないかもしれない。

―─曲によって全然色が違うなって思いますね。

あみ:それは嬉しい。

あべ:あんまり一緒だと飽きちゃうんですよね。

あみ:私もそれだとつまらないんで。根底の部分は変わらないですけど、曲のテーマは毎回変えていこうっていうのはあるので、「この曲めっちゃかっこいいからこういうの作ろう!」って感じで……。

あべ:パクリじゃないギリギリのラインを……。

あみ:そうそうそう。攻めてるね。

あべ:そういうのが分かる方が聴いてて楽しいというか。ART-SCHOOLも「これめっちゃパクリやん!」みたいなのが多くて、すごい好きなんです。自分たちもそうありたい。

あみ:結局、全く新しいものって作れないと思うので、私は昔の自分が好きだったものとか全部詰め込んで、自分が好きなバンドへの気持ちを表現できたら、それはオッケーなんじゃないかなっていう感じはします。あんまりパクリだって言わなくても……好きなだけなんだよ!

SPOOL ※L→R

aran(Dr.)
こばやしあゆみ(Vo. Gt.)
ショウジスミカ(Gt.)
安倍美奈子(Ba.)

photo by Yusuke Masuda

1st full album『SPOOL』

2019/02/13 release

1. nightescape
2. Be My Valentine
3. Let me down
4. Shotgun
5. winter
6. ______
7. sway, fadeaway (angel ver.)
8. blooming in the morning
9. springpool
10. mirrors
11. モ ル ヒ ネ
12. No, thank you (alternative mix)

Author

對馬拓
對馬拓Taku Tsushima
Sleep like a pillow主宰。札幌出身。音楽ブログの運営やディスクユニオンのスタッフなどを経て、現在はライター/編集者が本業。主な実績は、揺らぎ、SPOOL、pollyなどへのインタビュー、Tapeworms『Funtastic』CDライナー執筆など。座右の銘は「果報は寝て待て」。