Posted on: 2020年6月2日 Posted by: 鴉鷺 Comments: 0

Label – A389 Recordings 
Release – 2012/11/20 

ペンシルバニア州フィラデルフィアで結成されたハードコア/シューゲイザー・バンド、Nothingによる2012年のアルバム。

ハードコア・パンク的な轟音とシューゲイザー的なギター・ノイズの調和の結果として生まれたメランコリックで新しいギターサウンドを、そのハードコア譲りのへヴィーなドラムとベースがミドルテンポのリズムを持って推進させた結果、ダークで美しく宗教的なサウンドと楽曲が展開されており、そのノイズと轟音の美にカタルシスを覚える。前述した様に現在のサウンドと比較すると宗教性が強く、例えば「Downward Years to Come」のリリックにそれが強く表れている。全編を貫くハードコア・パンク譲りのメランコリーと悲愴、内省性とそれに対比する様なシューゲイザー的ポップネスの折衷はNothingの独創であり、練り上げられた楽曲のアレンジは現在の優れた楽曲群に繋がっているように思う。数多くのフォロワーを生んだのも納得の名盤。

text by aro

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鴉鷺
鴉鷺Aro
大阪を拠点に活動する音楽ライター/歌人/レーベル主宰者。Sleep like a pillowでの執筆や海外アーティストへのインタビューの他、遠泳音楽(=Angelic Post-Shoegaze)レーベル「Siren for Charlotte」を共同オーナーとして運営し、主宰を務める短歌同人「天蓋短歌会」、詩歌同人「偽ドキドキ文芸部」にて活動している。好きなアニメはserial experiments lain、映画監督はタル・ベーラ。