Posted on: 2021年8月8日 Posted by: Sleep like a pillow Comments: 0

1991年にリリースされ、シューゲイザーの金字塔を打ち立てたMy Bloody Valentineの2ndアルバム『Loveless』。2021年で30周年を迎える本作を記念し、弊メディアでは「My Best Shoegaze」と題した特集記事を不定期で連載する。SNS上の音楽フリークやライター、さらにはアーティストに至るまで、様々なシューゲイズ・リスナーに各々の思い入れの強い作品を紹介していただく。

Vol.10は、シューゲイザー・バンド、Optloquat(オプトロカ)のフロントマンや、sumeraのメンバーとしても活動する、Ryoの5枚。

■ Swervedriver – Raise(1991)

Label – Creation Records
Release – 1991/09/30

ギターのu_iru(うぃる)に「シューゲイザー/ポストロックのバンドやりたいんだけど、どう?」と声をかけてもらった2018年。僕は当時HR/HMに凝っておりマイブラさえ知らなかったので、色々教えてもらい聴き漁りました。本作は「これってシューゲイザーなの?」が率直な感想でしたね。歌も主張が強く、ギターの質感にも親しみがあり、何よりギター・リフやリックが気持ち良く自然と受け入れられ、「やってみる」気になりました。当時このアルバムも勧めてくれたu_iruに感謝、そうでなければそもそもOptloquatは存在していなかった気がします。そして「Son of Mustang Ford」を3人でカバーするところからバンドが始動。

■ Kyte – Kyte(2007)

Label – Rallye
Release – 2007/10/20

「シューゲイザー?」って思う人も多いでしょう。ノイジーで歪んだギターなんてないですし。Swervedriverと同じ時期に聴いてた中で、同等かそれ以上に好きになったのがKyte(上記に併せて「Boundaries」のカバーもしました)。構成としてはループが多くミニマルで、電子音やキーボードにより音のレイヤリングが施され、最小限だけどメロディとしても歌詞としても強度の高いヴォーカルが乗ってくる。全体を見た時の耽美さや荘厳さや儚さは未だに僕の心に完成形として君臨しています。歌詞もそうだし、ギターの「言葉尻」みたいなところに結構影響が出てると思います。声も作品も僕はこうなれないけど、ずっと意中のバンドでしょうね。片想い。

■ Amusement Parks On Fire – Road Eyes(2010)

Label – Filter US Recordings
Release – 2010/09/14

表題曲「Road Eyes」を聴いた時の衝撃から、今でも迷った時に立ち返って聴いている作品。自然と7拍で展開されていくサウンドの中で、ギターではなくヴォーカルとコーラスのレイヤリングで縦横の広がりと荘厳さや耽美さを見せたと思いきや、一転してギター・ロック様にさっぱりと纏めて歌を聴かせにくる。2ndと比べるといかにもシューゲイザー的なギターのアプローチは抑えられ、楽曲の中でのヴォーカルも立ち位置の塩梅が絶妙(メジャー感と言うべきか?)で、まさしく「ニューゲイザー」だなと思う作品です。日本公演する時にO.A.したい、させてください。

■ Hundredth – RARE(2017)

Label – Hopeless Records
Release – 2017/06/16

2008年にサウスカロライナ州で結成された元メロディック・ハードコア・バンド。2017年の本作でシューゲイザーへと大転換、これが僕には突き刺さりました。全体的にざらっとした質感があり、ハードコア由来の疾走感や輪郭を残すドラムとエネルギッシュなギター・リフがシューゲイザーという手法で包まれています。「Chandelier」がお気に入りです。Optloquatでの作曲にも影響があり、「overcast」に色濃く出てます。

■ Optloquat – From the shallow(2021)

Label – DELTAHEDRON
Release – 2021/07/07

僭越ながら、最後は自分のバンドの最新作を紹介します。「Shoegazer」の「S」の字すら知らなかった人間が色々な人を介して色々な音楽に出会い、現時点での最高出力は出し切った作品です。僕は10年後も20年後も好きだと思える作品だし、シューゲイザー・ファンの皆さんにもそうでない方にも広く届いてほしいですね。あまり意図的に作っていなかったので最近気づいたのですが、7曲全てギター・リフが際立っています。僕にとっては重要な点ですが、ここは振り返って気付きました。今後、一層ヘヴィー・シューゲイズの方向になっていくと思いますが、引き続き聴いていただければと思います。シューゲイザー、とても面白いです。

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文=Ryo(Optloquat)
編集=對馬拓

Release

sumera – Only moment

Label – Dead Funny Records
Release – 2021/07/28

Author

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