Posted on: 2020年4月12日 Posted by: 對馬拓 Comments: 0

Label – Shelflife 
Release – 2017/10/20 

シカゴのシューゲイザー/ドリームポップ・バンド、Airielの2ndアルバム。フルレングスとしては実に10年ぶり。

一聴すると2012年のEP『Kid Games』のドリーミーな路線を押し進めたような印象だが、じっくりと聴けば聴くほどそこに留まらない本作の深さが浮かび上がってくる。10年という長さは、このアルバムの空間的な奥行きを持って感じることが出来るだろう。彼らの持ち味の一つである打ち込みのようなドラムは随所で引き継がれているが、ギターの音色はかつてないほどドリーミーで煌びやかだ。その激しくも美しいサウンドは身体の内側に溶け込み、やがて血となり全身を巡っていく。1stの頃に比べ、バンドが全く次元の違う境地に至っていることは明らかだ。『Molten Young Lovers』というタイトルも、過ぎ去った時間に対する思慕のようであり、また本作のサウンドを不思議と言い表しているようにも感じる。

Ride、Slowdive、The Jesus and Mary Chainなど、オリジナル世代の復活作が相次いでリリースされた2017年において、ニューゲイザー世代の進化を提示したという点で、歴史的にも非常に優れた作品ではないだろうか。

text by osushitabeiko

Author

對馬拓
對馬拓Taku Tsushima
Sleep like a pillow主宰。編集、執筆、DTP、イベント企画、DJなど。ストレンジなシューゲイズが好きです。座右の銘は「果報は寝て待て」。札幌出身。