Posted on: 2019年10月22日 Posted by: 對馬拓 Comments: 0

2019年2月13日、ついにSPOOLにとって初の全国流通盤となる1stアルバムSPOOLがリリースされた。

活動歴は10年にも及びながら音源のリリースが少なかった彼女たちだが、殊更シューゲイズ・シーンに大きな一石を投じる作品がついに世に放たれた。オルタナティヴ・ロックやグランジなどを経由したサウンドを奏で、テン年代を轟音で締めくくりにかかる充実した内容になっている。

今回は、その記念すべき作品をより楽しんでもらうべく、メンバー全員に収録曲についてのインタビューを敢行。全楽曲を暴くセルフレビューを楽しんでいただきたい。

interview / text / photo by osushitabeiko

パッケージについて

―アルバム、めっちゃ良かったです。

一同:ありがとうございます!

―まず曲の話の前に、ジャケット写真についてお聞きします。リリース前にまずジャケットが公開されていましたが、写真のポイントなどはありますか? デザインは自分たちで考えたのでしょうか?

こばやしあゆみ(Vo. G. / 以下あみ):2018年の4月に4人のアー写を撮りに行ったんですけど、これはその時たまたま撮れた1枚です。

―たまたま…!

aran(Dr. / 以下あらん):その時に「ジャケ写を撮りに行こう!」とかはまったくなくて…。ただアー写を撮ってもらうっていう日にお昼ご飯を食べて、そのレストランに井戸みたいな…池みたいなのがあって、子供たちが覗き込んでたから「何だろう?」って私たちも覗いたら…。

あみ:なんか(水面に)映ってていい感じだなって。

―なるほど。水面に映った4人の写真。

ショウジスミカ(G. / 以下すみ):これのすごい所は、フィルムカメラで撮ったから編集もしてないっていう。

あみ:編集してなくてこの感じ。たまたま撮れた1枚がめちゃめちゃいいなと思ってジャケットにしたんですよね。

―そういうのいいですね。偶然の賜物というか。ジャケットにしようと思ったタイミングっていつでしたか?

あらん:(カメラマンのマスダさんから)送られてきてすぐ「(ジャケットに)したい!」って。

あみ:私もすぐ思いました。あと、もともとジャケットは自分たちにしたいと思ってて。アルバムタイトルも絶対『SPOOL』にしたかったんですよ。それで「ジャケ写も自分たちの写真がいいな」って。で、ちょうどそのタイミングでアー写を撮ったらいい写真があったので「これはピッタリだな」って思って。それでこの写真に決定しました。

―いいですね。ちょっと(CDのパッケージ)見てもいいですか?

あみ:はい! で、歌詞カードはこれです。

―めちゃくちゃいい。

あみ:折りたためるタイプにしたいなと思って、ジャケットも含め質感とかもこだわって。

―やっぱり紙ジャケが好きなので、いいと思います。

あみ:紙ジャケいいですよね。

1. nightescape

―では、曲ごとに話していきましょうか。まずは”nightescape”。これは音源をもらった時にも言いましたが、イントロのドラムのフレーズがNirvana“Scentless Apprentice”ですよね。

あみ:そうですね。まずドラム始まりでインパクトのある曲を作りたいと思って、「このフレーズいいな」と思って、そこから作り始めた曲です。ただ、まったくNirvanaと同じような曲にはしたくなかったので、ドラムの部分だけ引用して、乗せてるアルペジオとか歌とかはWarpaint、歌い方とかはRadioheadのトム・ヨークみたいな…震わせてビブラート効かせるみたいなのを意識して。お化け感というか。ダークな曲を1曲目に持ってきてしまいました。笑

―これが1曲目なのは何か理由はありますか?

あみ:やっぱりインパクトですかね。この(ドラムの)フレーズから始まったらかっこいいなっていう。

―確かにフレーズ的にも「始まり感」がありますよね。

あみ:それはあります。始まりっぽいなっていう。インパクトがあるから。

安倍美奈子(Ba. / 以下あべ):この曲を1曲目にするってなった時に、きのこ帝国『eureka』“夜鷹”ですごく暗く始まってて…。

―シリウス、ベガ、アルタイル、ティコの星…。

あべ:ああいう感じが”nightescape”にはあるから、1曲目だったらテンション上がるなって思いました。

あみ:このアルバムは最初から結構深く入って、前半はダークな感じで、だんだん…。

―浮上していく感じがありますよね。

あみ:そうなんですよ。なので最初はすごい下の方から、グーって(上がってる)感じで。そんな始まりの曲かなと思います。

―曲自体はそれなりに前からありますよね?

あみ:3人の時から…?

あらん:2年前くらいからありますね。でもアルバムの中だと新しめじゃないかな。

あみ:この中では新しいです。笑

あらん:昔のライブでは3人でやってたけど、3人だとあんまり納得いかないというか、「ライブで表現しきれないな」って思ってて。すごい好きな曲なのにライブでやると気持ちが乗らないなっていうのがあって。でも4人になってリードギターが入って、かっこよくなったと思います。

―「ちゃんと再現できた」っていう満足感が生まれた訳ですね。

あみ:ライブでもちゃんとこの(音源の)感じでできてるので。最近はライブですごいやるんですけど、楽しいです。

すみ:人殺しみたいな曲。笑

―笑(※良い話を台無しにするんじゃないよ。)

あべ:後半の演奏だけになる所が、3人だとライブで再現するのが難しかったので、ギターが入ったことによってようやくやりたい感じにできていると思います。

―なるほど。では、歌詞はあみさん的には何か意味などはありますか…? 基本的にそんなに深い意味はないとは思いますが。

あみ:そうですね…。自分が体験したこと…?笑

一同:笑

あみ:まあちょっと…そうですね…。笑

―当時何かあったんですね…。

すみ:マジの「ナイト・エスケープ」。笑

あみ:何と言ったらいいんでしょうね。でも…うん…(数秒の間)…ちょっと荒んでましたね、この時期は。バンドもそんなにできてなかったし、プライベートでもうまくいってなくて、結構荒んでて「どうでもいいや」ってなってたので、それが結構出てる。笑

―笑

あみ:なんかもう逃げ場がないから、お酒飲んで…。笑

すみ:お酒飲んだ結果…。笑

あみ:その結果できあがった曲かなと。

―でも、かっこいい曲に仕上がって良かったんじゃないでしょうか。…小学生みたいな感想だな。

一同:笑

すみ:感想文。笑 はなまる!

あみ:作ってた時は荒んでましたけど、いろんなことがあったからこそできたから良かったんじゃないかと思えるようになりました。

2. Be My Valentine

―これはリード曲ということでよろしいですか?

あみ:リード曲ですね。

―曲自体はこれも古いですよね。

あみ:そうですね。だいぶ古い。3年前くらい? ようやく音源化できました。だから自分たちにとっては大事な曲ですね。ライブでもずっとやってきたし。まず、Soundcloudでデモの状態で自分で全部レコーディングしてミックスして…っていうのを上げたんですよ。そしたら結構反応してくれて。

―あれはデモなんですね。

あみ:全部自分でやった感じです。それで「この曲いいな」って自信がついたっていうのはありますね。周りの反応が良かったので。それでリード曲に…という感じです。

―個人的にこれがリード曲なのはすごく攻めてる気がしてて。ギターが気持ち悪い…これは褒めてるんですけど。めちゃくちゃ気持ち悪いなと思ってて。

あみ:そうですね。

―でもメロディはいいし、サビはすごくポップだし、めっちゃ変な曲だなって。

あみ:結構違和感みたいなのはあるかもしれない。変なコードだったりするので。攻めてるかな。

あらん:攻めてるね。

あべ:ずっと前からやってるからあんまり分からない。笑

一同:笑

―なるほど。笑

あみ:そうですね…心地いいという感じではないかもしれない。サビで心地よくなるんですけど。

―サビまではすごく居心地が悪いですね。

あみ:居心地の悪い気持ちよさみたいなのもあるじゃないですか。Sonic Youthとかもそうだし。変なコードとか気持ち悪い響きが好きなので、「あれ?」みたいな違和感があるフレーズとか耳に残るものを意識して、でもやっぱりサビに来たらポップに…っていうテーマで書いたので。(最後のギターのフレーズは特に)ギリギリ成立してる感じがしますよね。

―危ういですよね、すごく。

すみ:弾いててヒヤヒヤする。笑 弾き方によっては「間違えたのかな?」って思われちゃうから…。

―なるほど。タイトルはMy Bloody Valentineを意識してますよね。

あみ:そうですね。曲名に「Valentine」を入れたくて、それで「Valentine」が入る熟語を調べてたら「Be My Valentine」って言葉を見つけて、「私の恋人になって」って意味で。面白いなと思って付けました。

―曲名はマイブラを連想させるけど、中身はそうでもないのかなっていうのが、面白いなとは思ってて。

あみ:そうですね。でも歌い方とかはビリンダ・ブッチャーっぽい雰囲気というか。囁くような感じで。でも中身はそんなにマイブラ感が強いって訳でもないかな。死んだ僕の彼女とかART-SCHOOLの影響は強かったりします。

―コードが気持ち悪いのはSonic Youthに似たものを感じたかなと。

あみ:…でもマイブラも『Isn’t Anything』は結構気持ち悪いじゃないですか。私あのアルバム大好きで、“Lose My Breath”とか好きでカバーもしてるんですけど、ああいう感じって意味ではマイブラの影響も強いかも。

あみ:結局マイブラもSonic YouthとかDinosaur Jr.の影響をめちゃくちゃ受けてるじゃないですか。なので結構そっちの方のマイブラの影響があるのかな。『Loveless』が出る前。

―なるほど、確かに。

* * *

<MV制作について>

―リード曲にしようって決めて、MVを作ったんですよね?

あみ:そうです。この曲はずっと撮りたいと思ってて。自分の中で映像が浮かんでたんですよ。なので絵コンテを考えて、監督さんと話し合いながら作りました。

―基本的にSPOOLのMVって絵コンテから入る感じですよね。

あみ:「演奏だけ」っていうのはあんまりやりたくないんですよね。

―自分たちの中に明確にやりたいことがあって、それを再現してもらう…みたいな?

あみ:そうだと思います。「MVを作る」ってなったらちゃんと考えたい。演奏だけだったら見てもらえないかなっていうのはあるので。

すみ:インパクトがあるMVにしたかった。

―ふむふむ。一旦観ますか。

~ここでMV鑑賞~

あみ:最初の目に入るシーンはすごいやりたかった。

―途中、ダース(チョコレート)が映ってるんですね。

あべ:バレンタインだから…。

―なるほど…! 撮影はどうでした?

あらん:すごい楽しかった。

あべ:楽しかった。

あらん:海に行って、遊んで、オープンカー乗って…。

―セレブじゃん。

あらん:夜は花火して。本当に楽しい夏の一日をそのまま撮ってくれて。

すみ:カチッとした撮影じゃないのが良かった。

あみ:自然でしたね。「あれやってみよう」「これやってみよう」ってアイデア出しながら楽しい感じで撮影できたので。

あべ:今までの撮影で一番楽しかった。

あみ:他の二つ(”sway, fadeaway”と”私は泳ぐ、メロンソーダ”)が苦し過ぎたんですよ…。笑 楽しかったですね。

―「ここを見てほしい!」というポイントがあればどうぞ。

すみ:。笑

あみ:そうですね。笑 あとは夏のシーンかな。「夏を思い出す冬の曲」って感じなんですよ。その回想シーンみたいになっている所は見どころです。

3. Let me down

あみ:これもだいぶ前の曲…。

あらん:”Be My Valentine”と同じくらい?

あみ:そうそう。(当時)曲は作ってたからね、バンドの活動はそんなにやってなかったんですけど。2016年。

あらん:2016年。

あみ:この曲は本当にできなくてつらい気持ちが表現されてますね…。バンドもできないしあんまりうまくいかないなっていう。

―もう「Let me down」って言っちゃってますからね。

あみ:直訳すると「私をがっかりさせる」とか「落ち込ませる」って意味で。これに関しては「いっそ落としてくれ」っていう感じですかね。あと「down」が入ってる英語を歌いたかったので。笑

あらん:この曲はできた当初バンドでも練習してたけど、あんまりライブでやらなかったよね。

あみ:うん。やらなかったね。

あらん:1回2回やって、パッとしなくて。お蔵入りになってた。笑

あみ:お蔵入りになってた曲を再び呼び覚まして…って感じですかね。

あべ:この曲、前からあるにはあったんですけど、このリードギターが入ったのはこのアルバムを作るってなってから考えたよね。

あみ:そうそう。

あべ:リードギターがなくて、もっとギターロックっぽかったというか。で、メンバーとしてはあんまりしっくりきてなかったんですけど、リードギターができたことによってSPOOLっぽくなったなって思います。

―やっぱりすみちゃんが加入したことでしっくりきた曲って多いんですかね?

あみ:多いですね。

~ここで3人時代のアレンジ(デモ音源)を流す~

あみ:自分的には「三人でもできる曲」って感じで書いたんですよ。それこそNirvanaみたいな(スリーピースの)感じで。

―これはこれでスリーピースの良さがある気はしますけどね。

あみ:そうですね。これはこれでありかなと。でも4人になって、違う感じの色を出したいなと思ってギターも考えて、いい感じにまとまりました。

すみ:(最初は)ギターのフレーズが弾けなくて。レコーディングであまりにも弾けなくて「じゃあ来週で」って。笑

一同:笑

あみ:結構苦戦したね。

すみ:これ、ART-SCHOOLを意識してるんじゃなかったっけ。

あみ:リードギターは結構そういうイメージかな。あとSwervedriver“Rave Down”って曲が好きで、USオルタナに影響を受けているUKバンドっぽくしたかったので、そんな要素を入れてみました。

あみ:うん…そんなに思い入れはない。笑

すみ:そんなに…。

一同:笑

あみ:ひどいな。笑

―それを言っちゃおしまいだ。笑

あみ:まあ、落ち込んでた時に書いた曲って感じです。

4. Shotgun

―これは冒頭から「頭ブチ抜かれって歌ってるのがめっちゃいいなと思いました。

あみ:歌詞のインパクトはすごいあるかなと。

―以前、カート・コバーンコートニー・ラブの歌ということを聞きましたが。

あみ:そうですね。カートの『モンタージュ・オブ・ヘック』っていうドキュメンタリー映画があって、それを観に行った後にできた曲で。すごい良かったんですよ。めちゃめちゃ感化されて一気に書き上げた曲ですね。

―これも曲自体は前からありますよね。

あみ:ありますね。やっぱり結構2016年に作ってた曲が多いですね。

―ハロプロの時期。(※バンドの活動があまりなかった2016年、あらんはその寂しさを埋めるようにハロプロにハマっていった。)

あべ:ライブはやってなかったけど曲はすごいあった。

あらん:「1ヶ月に1曲はSoundcloudに上げよう」って言って…でも2ヶ月くらいで終わったけど。笑

一同:笑

あべ:この曲で挫折しなかった?

あらん:挫折した!

あみ:この曲を上げようとしてやめたよね。

あらん:”Be My Valentine”録った時に、自分たちで録った割には結構上手くいったから、それで調子に乗って。笑

―笑

あらん:で、どんどん録ってたら…。

あみ:そうでもなかったっていう。あと「あんまり(曲を)出しすぎてもな」と思ってきたので。公開しすぎても(アルバムを)リリースする時にネタバレ感がすごいなと思って。これは取っておこうと思って取っておいた曲です。うん…。「ブチ抜かれ」…。笑

―「頭ブチ抜かれ」!笑

すみ:女子のバンドで「頭ブチ抜かれ」って歌うバンドそうそういないよ。笑

―イントロもなく歌い出しからいきなりだから余計インパクトが…。

あみ:そうですね。珍しくキメも多いし。あんまりキメがないバンドだから「入れてみよう」って。あと、テーマはカートとコートニーではあるんですけど「(歌詞は)メロディが言葉を呼んできた」って感じですね。メロディに合う言葉をどんどん入れて書いてった。

―メロディ先行の感じで。

あみ:でも頭の中には2人のことを思い浮かべながら…って感じですかね。

あらん:この曲も(当初は)3人でやってたけど…。

―お決まりのやつ。笑

あらん:しっくりこなくて。

あみ:3人でやるのが難しかった。これも結構コードが変なんですよ。なので3人でやるとなると、ライブだと「気持ち悪っ!」ってなっちゃって。笑 で、リードギターを入れたことによってメロディアスな部分を補ったって感じですかね。良い音源になったなって感じがします。

あべ:コーラスが綺麗に入ってていいなって思いました。

―いいと思います。

あみ:感想。笑

一同:笑

あみ:読書感想文。笑 …でもこの曲は本当に苦戦したんですよ。歌とかも息継ぎするタイミングが…ずっと歌ってるじゃないですか。すごい辛くて。笑 結構死にかけながら…。

すみ:この日のレコーディング険悪だった気がする。笑

―険悪…。笑

あみ:大変だったからね…。やっぱりレコーディングは大変です。楽しいって感じではなかった。

あべ:レコーディングは基本的にドラムとベースと、ギターの2人は別日程だったので…。

あらん:他の2人がどんな状況なのか分からなかった。

あみ:リズム隊は先に全部録り終わって、そこに乗せていくみたいな感じなので。

あべ:コーラスとかも「あ、こんな感じなんだ」って。笑

あみ:いや~、大変でしたね。笑 声を何度も重ねたり歌い直したりで、だんだん声が出なくなって、絞り出して歌いましたね、この曲は。

あべ:結構他の曲と声が違うもんね。

あみ:辛そうだよね。…でもなんかいいかなって。笑

―これはこれで…。

あみ:最後が「くぅ~~~~~~」ってなってる。ここは絞り出して…。

あべ:木下理樹って感じ。笑

―木下理樹。笑 リッキー感出ましたね。まあ結果的にマッチしてるというか。

あみ:曲にはマッチしてるかなと思います。

5. winter

―5、6、7曲目が超ドリーーーム時間。…ドリーム時間?

一同:笑

―ドリーム3連発みたいな感じのセクションかなと。

あみ:この曲はどういう印象でした?

―すごいドリーミーだなって。あと、基本的にこのアルバムは春っぽい気がしてて。

あみ・あべ:へ~~~!

―ジャケットのせいもあるかもしれないけど。個人的な感想ですけどね。雪解けから春にかけて…っていう感じはしてて。この曲は「冬サイド」。

すみ:夜の冬っぽくないですか? 雪がめっちゃ積もってると、夜って(街灯などに)反射して綺麗じゃないですか。私はそのイメージ。

―なるほど。分かる気がする。

あべ:雪国の2人。(※すみちゃんは青森出身で、筆者は札幌出身。)

すみ:言ってること分かると思う。笑

―分かる分かる。

すみ:暗くないんだよね。夜道なんだけど白くて明るい。(この曲は)そこをずっと歩いてる感じ。

あべ:へ~~~。

あみ:この曲を作ったのも2016年じゃない?笑 この年すごい作ってる。笑

―すごい。笑

あみ:多分その時期にワーッって作ってる。

あらん:最初はあみちゃんが弾き語りの曲として持ってきたよね。バンドアレンジにしたのは「このアルバムに入れよう」って決めてからだよね。

あべ:うん。私もそれまで全く触れずにいた。

あらん:ただ「あみちゃんの弾き語りの曲」としてあった。

あみ:うんうん。この曲はノイジーだけど澄んでるってイメージですかね。サウンドが結構ノイジーな分、ボーカルが澄んで聴こえる…みたいな。

―ふむ。個人的には、曲調がゆったりめだからドリーミーに感じたのかなと。ノイジーな感じとメロディのバランスとかがいいなっていう。

あみ:歌詞の「want」を繰り返すところは“Feed Me With Your Kiss”(My Bloody Valentine)から取りました。

―おお!

あみ:やっぱり不規則な感じが好きで、入れてみました。曲のどこかに違和感みたいなものを入れたくなっちゃうんですよね。「ここ変だな」っていう。この曲で言えばその「want」の部分ですかね。

―歌詞自体は何かポイントなどはありますか?

あみ:歌詞は完全に曲に乗せたって感じです。で、この曲は特にあんまり日本語っぽくしたくなくて、日本語なんだけど「英語っぽい日本語」みたいな。Syrup16gとかにもあるじゃないですか。ああいう韻を踏むような…「祈り」と「メロディ」とか。そういう響きを重視して作った曲です。メロディの良さを引き立たせるために、邪魔をしない言葉を選んで乗せて歌ってるって感じですかね。

あべ:すごくシロップっぽい。すごく短い曲ですけど…いいですよね。

―感想。笑

一同:笑

あみ:またあべの感想。笑

あらん:すみちゃんは(このアルバムの中で)この曲が一番好きなんだよね?

すみ:そう! ギターが渋いから。笑

―ギターが渋いから。笑

あみ:ちょっと男らしい部分を入れたくなっちゃうんですよね。”Let me down”なんかもそうだし。これは渋くしたいっていうのはあって。「これ女の子が弾いたら渋くてかっこよくない?」っていうのはありましたね。

6. _ _ _ _ _ _

―この曲は橋渡し…ですよね?

あみ:これはみんなに突っ込まれますね。ドッツ(・・・・・・・・・)じゃないです。笑

―笑

あみ:ドッツトーキョーじゃない。笑

―読み方はあるんですか?

あみ:「てんてんてん…」?笑 6曲目だから点が6つ。切り取り線みたいな感じです。私の中ではこの曲を境に結構雰囲気が変わっていくイメージで。橋渡しの曲なんですけど、切り取り線。

―なるほど…!

あみ:「ここから変わりますよ」っていう。「後半戦に入りますよ」みたいな感じ。

―でもブチっと変わるわけじゃなくてシームレスに移行してるなと。

あみ:これはシンセが入ってるんですけど、エンジニアのKondoさん(Kazuaki Kondo / MELLOW, magic love)との共作で。即興で私がギターを弾いて、「シンセ入れたいんですよ」って言ったら「あるよ」って。で、「録ってみようか」って言って録ったのがこういう感じになって。

あらん:この曲バンプ(BUMP OF CHICKEN)っぽくないですか? バンプのアルバムに入ってそう。

―何となく分かる気が…。笑

一同:笑

あらん:orbital periodだよね。

あみ:私はM83が好きなんですけど、あのバンドは結構宇宙っぽい…スペーシーなエレクトロ・シューゲイザーなので、その影響が結構強い。「シンセ入れたい」って思ったのもその影響だし。

―宇宙ですよね。宇宙を感じる。

あみ:宇宙を感じるのはちょっと分かんないですけど。笑(※分かんないんか~い!)

あべ:(この曲の後に)メーデーが始まりそうなんだよな…。笑

一同:笑(※M83のくだりを無視してバンプの話をするんじゃないよ。)

7. sway, fadeaway (angel ver.)

あらん:(こんなに古い曲を)まだやってんのかっていう。笑(※元は2013年リリースの『sink you』にも収録されているSPOOLの代表曲。)

あみ:でも形を変えたので…。

―最近のライブとかMVでしか知らない人にとっては新鮮なアレンジじゃないかなと。かなりドリーム寄りになりましたよね。

あみ:そうですね。

―エンジェル。

あみ:天使のお迎えが来たというか。

すみ:パトラッシュ!

―死んでいる! それは死んでいる!

あみ:”_ _ _ _ _ _”で天使が降りてきて…。

すみ:”winter”で力尽きて…。

―雪道で死んだ。笑

一同:爆笑

―そのままパーッって空に…。笑

すみ:もう眠いよパトラッシュ~~~!

一同:笑

―世界名作劇場の話だったんですか?笑

あべ:そうです!(※いやそうなのか~い!)

―バンプかと思いきや、世界名作劇場。笑

あみ:ドリーミーなんですけど、神聖な感じですよね。教会みたいな。

THE NOVEMBERSとタイマン張れますよ。

あべ:嬉しい…!

あみ:嬉しいです。普通の”sway, fadeaway”をライブでやると、音程が低くて歌いづらくて。自分で作ったんですけど。笑 だからキーを変えてメロディアスな雰囲気にしてみたいっていうのがあって、コーラスも新たに交えてアレンジしました。

―めっちゃいいと思います。

あらん:初めて私のコーラスが…。普段は歌わせてくれないんですけど、やることになって。でも2、3回やってみたら不採用になった。笑

―笑

あみ:「やっぱダメだ!」って。笑 普通に歌ってるのにハモってるみたいな謎の状態になって。

―ある意味天才…?

あみ:「ん? できてる…?」と思ったけど「やっぱり気持ち悪い!」って。「不協和音だ」ってなってクビになりました。笑

―残念。笑

あみ:すみちゃんとあべさんは歌ってます。あらんは不採用。笑

あらん:今後のライブではそれ(2人の歌)をお楽しみに、ということで。

―急に記事の向こう側に語りかけてきた。笑

一同:笑

あらん:記事の向こうのみなさん…。

―レコーディングでは私は不採用になりましたけど…みたいな。笑

8. blooming in the morning

あみ:リード曲その2、です。

―あ、これがMVのあるもう一つの曲なんですね。(※インタビューの時点ではMVは未公開。)

あみ:そうです!

―5、6、7曲目のドリーミーな感じから一気に抜けたような感覚というか。

あべ:目が覚めて「おはよう!」みたいな。

―めっちゃ朝。で、「blooming」って単語も相まってすごく春っぽい気もしてて。春というか3月半ば頃というか…。

あみ:3月っぽいですよね。分かります。まだ春にはなり切らない頃。

―べちょべちょの雪が残ってるくらいというか。

すみ:きったない雪ね~。笑(※きったないとか言うんじゃないよ。)

―歌詞のテーマなどはありますか?

あみ:徳島に「白い朝に咲く」ってバンドがいて、そのボーカルのたえちゃん(Tae Kawano)が私はすごい好きなんですけど、彼女っぽい雰囲気…透明感があって、コンクリートでも咲くような一輪の白い綺麗な花みたいな、透明感と強さを持ってる人だなと思って。歌詞はそれを意識して書きましたね。

あべ:存在感がすごい。

あみ:すごいよね。バンドは今は活動してないんですけど、彼女のことを想って書いた曲です。これいつ作ったっけ?

あらん:2017年…? まだ3人の時。

あみ:そうそう。まだ3人だったけど、ギターが2本の掛け合いみたいな曲を作りたくて。今までのSPOOLの曲は結構コード進行でバーッっていってバーッって歌うみたいな曲が多くて「似たような感じになってるな」って気づいて。それで違うタイプの曲を作ろうと。Japanese Breakfastが好きなんですけど、結構そういう…Wolf Aliceとか、女性ボーカルで澄んでてインディーロック感があるような雰囲気。朝に聴ける曲を作りたいっていうのもあったし。

―完全に朝。思いっきり朝。優しさに溢れてますよね。

あらん:この曲のドラムもあみちゃんが全部考えてきたよね。完成されたものをコピーしてるっていう感じ。

あみ:ドラム変わってるよね。

あらん:自分の意思はない。

あみ:あんまり思い入れはない。

―思い入れはないとか言わないの!笑 

一同:笑

あみ:ただやっただけ。笑

あらん:でもすごい好きな曲だな~。本当に。

すみ:なんか、一番出来がいいというか。

あみ:出来がいい。笑

すみ:一番「音がいいな」ってなったのはこの曲かも。

あみ:そうだね。レコーディング大変だったけどね。笑 最終的にすごい…コンちゃんのマジックというか。シンプルでいいなっていう。歪みすぎてもいないし、ナチュラルって感じ。(アルバムに)12曲入れるとなればこういう曲も必要かなと。いい意味で、キリっと苦い…モーニングショット。笑

―笑

あみ:みたいな感じの曲でしょうか。最後にあべさん感想を。

―感想。笑

あべ:すごい「朝」って感じで。

一同:笑

あみ:感想、なければいいんだよ。笑

あべ:あるよ!笑 この曲はあんまりベースを考えるのは苦労しなかったかな。

あみ:すぐできた。難産の曲もいっぱいあるからね。

あべ:曲のイメージが最初からはっきり伝わってきたので、とても考えやすかったです。

―なるほど。ちゃんとプレイヤーらしい感想ですね。

一同:笑

9. springpool

あらん:これも2016年…?笑

あみ:原曲はもうちょっと前…多分相当前からある。

あらん:なかなか完成しなかったよね。

あみ:ドラムも思いつかなくて作るの結構大変だったし、ベースも難産だったんですよね。

あべ:この曲はマジで辛かったです。笑

―笑

あべ:できなさすぎて辛かった。

あらん:最初Big Dealみたいにしようとしてたよね。

あみ:“Dream Machines”

あらん:(完成したら)全然違ったね。

あべ:そうだね。スピッツっぽい。

―初期寄りのスピッツっぽい。

あみ:ベースも似てるもんね。軽快な感じで。

あべ:レパートリーにあんまりなかったフレーズなので、辛かったです。このフレーズを考える時に、トイレかと思わせてスタジオから出てそのまま帰ったっていう。

あらん:この時だ!笑

あみ:「おや? 帰ってこないぞ?」って。

あらん:この時のあべちゃんは本当に機嫌が悪かった。笑

―笑

あみ:生み出せない辛さがね…。さらっとしてるけど中は結構大変っていう曲。笑

―本当に出来上がって良かったです。笑 ”springpool”っていうタイトルもいいですよね。前回のインタビューでも「SとPが好き」って言ってましたけど、全部入ってる。

あみ:完全にそう。笑 あと、今までのCDは一応「spring records」っていう自主レーベルの名義で出してたりとか。これも「springpool」ってタイトルの曲を作りたいって思って…。

―タイトル先行型。

あみ:そのイメージで…春の浅いプールのイメージで。

―”blooming in the morning”から少し経ったくらいの時期のイメージですよね。

あみ:そうですね。

あべ:歌詞で好きな所があるんですけど…2番かな。

あみ:「息をひそめて浅いプールで暮らしてたんだ 溺れたフリして誰かに助けてほしいのかい」のあたりか。当時、自分はズルい生き方をしてたのかな…って思います。笑 浅いプール…溺れるはずもない所で「助けて」って。溺れたフリをして助けてもらおうとしてる。

―さらっと聴けるけど、よくよく歌詞を読むと重い。

あみ:これは結構メッセージ性があるのかな。自分に対してのメッセージって感じですかね。みんなそれぞれ孤独を抱えて生きてる…。そんな感じの曲です。切ないけど歩くしかないよ、っていう。

―最後にあべさん、感想…。

一同:笑

あべ:軽やかだよね。ドラムとか。

すみ:最後に音がガッって上がるのもいい。

あみ:楽しいよね。ライブでやってテンションが上がる曲です。

10. mirrors

あべ:これはめちゃめちゃ古い。

あらん:いつ? 10代…?

―10代!!!

あみ:やばいですよね。笑

あらん:ecoのみ焼き」の時からあった。笑(※ecoのみ焼き=SPOOLの前身バンドで当時あらんはギターだった。ドラマーは不在でドラムマシンを使用。)

―やば…。笑

あらん:だからこのリードギターも私がフレーズを考えて…。

―すごい。それはレアだ。

あみ:あらんのギターに付け加えてはいます。

すみ:全編通して違うことをやってるから覚えるのが大変だった。笑

あみ:これは大変だったと思う。

―ちょっと初期のGalileo Galileiっぽい気もしました。

あべ:へ~~~! そうですか?! 嬉しい。

―ぽいです。

あべ:なんか…心を閉ざしてる感じがしませんか?

―うーーーん…?

あらん:…あべちゃんのことを書いた曲だよね?笑

一同:笑

―そうなの?!笑

あべ:私がモデルなんです。19歳の頃、こういう感じだった。

―「僕の脳内でバトルマッチさ!」って?

あみ:そこウケますよね。笑 何だろう…自分の中に2人いる、みたいな。自分が2人いて、戦ってる。「どっちが本当の自分なんだ!」って。鏡のように向かい合って…みたいな曲ですかね。あべさんの曲。笑

―そうだったんですね…。

あみ:OGRE YOU ASSHOLEの初期っぽい、いなたいギターが乗ってるみたいなイメージの曲で。

あらん:10代の頃にできた曲だけど、他の曲となかなか合わず、セトリにも入れられず…。

あみ:かわいそうだったんですよ、この子。笑

あらん:すごい好きな曲だったんだけど、音源にも入ることができなかったし。

あみ:選抜落ちしてた。

すみ:研究生状態

一同:笑

あみ:ずっと成仏させてあげたいなって気持ちがありました。「入れてあげたい」と思って。

あらん:フルアルバムも「この子のため」みたいな感じもあるよね。笑

あみ:あるある! 入れたかった。

すみ:小学生の子供っぽい曲なんですよね。

あみ:そうだね。

―そこがやっぱり「ガリレオっぽさ」なんですよ。歌詞とかも初期の尾崎雄貴が書きそうっていう。

あべ:ふむふむ。

―でも結果的にしっくりきてますよね、アルバムの流れで聴いても。

あみ:そうですね。ようやくこの子が馴染めて私たちも嬉しい。

すみ:(撫でる素振りをしながら)よしよしよしよし。

あべ:本当に嬉しいです。昔の自分を見つめているような気持ちになる曲。

あみ:懐かしい気持ちになる。

あべ:「こんな時あったな~」っていう。

あみ:レコーディングしてる時も懐かしかったですね。

あべ:ちなみに、この曲のベースはチャットモンチーに影響されました。チャットモンチーっぽくしたかった。

11. モ ル ヒ ネ

―モ、ル、ヒ、ネ、です。

一同:笑

あみ:半角スペース開いてます。

すみ:デモの時点では英語表記(morphine)だった。「何て読むの~?」って。笑

あべ:読めなかった。

―半角スペースがあるのはなぜですか? 「マキシマム ザ ホルモン」みたいなことですか…?

すみ:笑

―「半角開く『ザ』の両脇」みたいなことですか?(※”maximum the hormone”の歌詞の一節。)

あみ:タイトルのインパクトをつけたくて。唯一のカタカナ表記の曲だから、(アルバムの曲が)並んだ時に目立たせたかったというのはありますね。「何?!」ってなるじゃないですか。

―確かに。「開いてるね?!」って。

あみ:「どういう曲だ?!」ってなる。他が英語表記だから、1曲こういうのがあったらインパクトが大きいかなと。

―この曲、めっちゃthe brilliant greenなんですよ。

あみ:(この曲に限らず)たまに言われるんですよね。

すみ:歌の感じのせいかな?

―歌とメロディの感じが。「ブリグリがドリームポップやってみました!」みたいな感じがします。個人的に。

あみ:何でしょう…。ドリーミーなんですけど、危ない感じの…幻覚寄りのドリーム。…という意味ではDeerhunterに近い感じなんですよね。Microcastleが好きなんですけど、初めて聴いた時すごい動悸がして。笑 「怖いこのバンド」って。だんだん聴いてるうちに中毒性がある感じがしてきて、そういう危なさをこの曲は持ってるというか。危うい曲ですよね。

―危ういと思います。

あみ:死ぬ直前、みたいな。笑

―雪道で一回死んだのに、もう一回死ぬという。笑

一同:笑

あみ:「もう思い残すことはない」っていう感じですね。

すみ:死期が近い。

あみ:でも、モルヒネって痛みを和らげる効果があるじゃん。だから歌詞に出てくる「君」っていう存在がモルヒネだったって感じなんです。で、「もう死んでも構わないな」っていう。

あらん:ふ~~~~~ん…。

一同:笑

あべ:あらんは眠くなっちゃうらしい。笑

―出た、シューゲイザー聴けない芸人。笑

あみ:あべさんは一番好きな曲で、あらんは聴けないってうね。

―両極端すぎる。

あみ:でもそうかもしれないですよね。極端に「一番好き」って言ってくれる人はいる気がします。

あべ:うんうん。めっちゃ好きです、この曲。

すみ:デモできた時すごいワクワクした。

あらん:この曲は唯一アルバムを作るために作った曲だよね。

あみ:そうだね。「12曲入りでフルアルバムを出したい」って考えた時に…。

あらん:11曲目だけ「暗い曲」って書いてて。

あみ:みんなにも言われたんですよね、「いつものあみちゃん節の曲をもう一曲作ってよ」って。で、「そうだね」って。今までで言ったら”sink you”みたいな、ゆったりしててダークな曲。それで一気に書き上げた曲です。だからこれだけ異常に新しい曲かも。笑 他はすごい古い。

―古参中の古参(”mirrors”)から一気にタイムスリップしてる。

すみ:過去から現在にギュン!って。笑

あらん:一番古いのと一番新しいのが…。

あみ:隣り合わせ。

―それもまた面白いですね。

あみ:(全体的に)曲順は面白いかなと思ってます。「愉快になった!」と思ったら「死んでる」みたいな。笑

あべ:浦島太郎みたい。笑

―玉手箱ゾーンですね。笑

一同:笑

あみ:じゃあ、あべさん、この曲への想いをどうぞ。

あべ:いや~、本当にいい曲だなって。

―超小並感。笑

あべ:本当に歌詞も好きで。

あみ:すっごい抽象的だよね。得意な分野の歌詞です。こういうのはいくらでも書ける。

あべ:細胞に染み渡る…。

あみ:笑

あべ:(こんな歌詞)よく考えられるなあ…って。

あみ:もう死ぬことは決定してるけど、最後に救ってもらったっていうか。

―せめて痛みを和らげて受け入れる。

あみ:和らげて「死のう」みたいな。

あべ:楽になる感覚。

あみ:安楽死に近いかもね。

―「バトルマッチさ!」って言った後に、安楽死…。

一同:笑

―躁鬱すぎる。笑

あみ:躁鬱アルバム!

すみ:みんな聴いてね~!!!

一同:笑

あみ:あと、シンセをほんのり後ろに入れてて。

すみ:セーラームーンの変身の音っぽい。笑

あみ:一回デモで作った時に自分でその音を入れたんですよね。OK Computer(Radiohead)の“Let Down”って最後の方キラキラしてるじゃないですか。ピコピコした音が好きで、あれっぽい雰囲気かな。あと、ドラムをめちゃめちゃオマージュしてて。あえて言わないでおこうかな。笑

あべ:すごいドラム好きです。

あみ:The Cureの曲です、とだけ言っておきます。分かる人はいると思う。アルペジオの雰囲気も似てるので。

12. No, thank you (alternative mix)

―これはTotal Feedback 2018に入ってるもののミックス違いですか?

あみ:そうです! 私のバッキングギターは録り直して、歪みの度合いを弱めて。元々のはラウドな感じで、えげつない歪みだったと思うんですけど。あれはあれで気に入ってるんですけどね。

―本当にえげつないと思います。

あみ:「これ、ガールズバンドか?」みたいな。笑 今回は歌もちょっと歪みの度合いを弱めてるかな。全体的に抑え気味にしてもらいました。

あべ:Kondoさんは「奥行きを持たせました」って言ってました。

あみ:言ってたかも。

あべ:歪んでるけど奥行きのある感じ。『Total~』の方は本当にうるさい。

すみ:音量がおかしいもん。

あみ:今回はもっといい意味で「拙さ」みたいなものがあるのかな。クリーンになってる分、「不器用感」が出てるなと思って、私は好きですね。

あべ:この曲への思い入れはどう?

あみ:タイトルはCoaltar of the DeepersNo Thank Youから取ってて。そのアルバムのどの曲って訳ではないんですけど、「No Thank You」って言葉がかっこいいなと思って。あんまり媚びてない感じが。

―確かに言われてみると曲もディーパーズっぽい気がしますね。

あみ:アルバムは違うけど、“C.O.T.D”みたいな疾走感があるドラム…ワーッ!!!ってなってる忙しい感じのドラムにしたくて。急いでる感じ。で、ダウンピッキング。コード感はYuckかな。全体的にローファイな感じもしますかね。

―じゃあ、最後にあべさん。

あべ:alternative mixになったことによって、このアルバムに馴染んだと思います。

―そうですね。

一同:笑

終わりに

―ところで、曲順ってどうやって決めたのでしょうか。

あべ:新幹線の中で考えました。(※2018年1月、大阪遠征に向かう際の新幹線の中。)

すみ:私が加入した時にはもう決まってた。

あみ:まず収録候補の曲を並べて「こうだよね?」みたいな…。

あべ:考えた時のノートがあります! これです。

あらん:「新曲」。この時はまだ”blooming in the morning”ってタイトルはなかったんだ。

あみ:でもこの時点でだいぶ流れは決まってたね。

あらん:「暗い曲」。笑

あみ:これが”モ ル ヒ ネ”です。笑

* * *

―では最後に、それぞれの好きな曲を発表してください。

あみ:決まってる方からどうぞ。笑

あべ:です。

あみ:私はやっぱり“Be My Valentine”ですかね。

あらん:私は分からない…。

すみ:私は“winter”。ギターが渋くて楽しいから。

あらん:何だろう…。“blooming in the morning”かな。

あみ:この辺りのオススメを聴いていただければと思います。

―はい! 長々とありがとうございました。

一同:ありがとうございました!

SPOOL ※L→R

こばやしあゆみ(Vo. G.)
安倍美奈子(Ba.)
ショウジスミカ(G.)
aran(Dr.)

Author

對馬拓
對馬拓Taku Tsushima
Sleep like a pillow主宰。編集、執筆、DTP、イベント企画、DJなど。ストレンジなシューゲイズが好きです。座右の銘は「果報は寝て待て」。札幌出身。