Posted on: 2023年7月18日 Posted by: Sleep like a pillow Comments: 0

ミュージック・マガジンやレコード・コレクターズなどで執筆する音楽ライターで、『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』(DU BOOKS)の監修/編集も務める門脇綱生が提唱する、新時代に向けた審美眼/コレクティヴである「遠泳音楽」(Angelic Post-Shoegaze)をテーマとした新レーベル、Siren for Charlotteが始動。7月21日(金)に1stコンピレーション・アルバムとなる『Xtalline : 001』を発表する。

同レーベルは、シューゲイザー特化型オウンドメディア/プラットフォーム、Sleep like a pillowなどを拠点として活動する音楽ライター/歌人の鴉鷺(Aro)との共同運営となる。

遠泳音楽とは、「テン年代以降のエクスペリメンタルやドローン、アンビエント、アニメ・ソング、近年大きく変容したブレイクコアなどを新たな視点から“包括する”試みであり、ニューエイジ・リバイバルへと敬意を評しつつ、今後のさらなるリバイバルの鍵となる審美眼及び聴取感覚として構想された“ポスト・シューゲイズ”の一区画である」とのこと。

同コンピレーションには、門田匡陽 + yna、Storm Drunk Whale、溶けない名前、衿、iga、Kazuma Sugawara、world’s end girlfriend、響現、アメリカ民謡研究会、that same street、Astrophysics、Parannoul、Lacrimaの13組が参加。

また、同レーベルは、既に複数の作家による単独リリース作品の製作にも着手しているだけでなく、遠泳音楽やシューゲイザーに関連した様々なコンセプトのコンピレーション・アルバムを数年かけて発表していくことが決まっている。

■ Release

V.A. – Xtalline : 001

□ レーベル:Siren for Charlotte
□ 仕様:Digital
□ 価格:¥800
□ リリース:2023/07/21

□ トラックリスト:
1. 門田匡陽 + yna – Kireigoto
2. Storm Drunk Whale (달리는 감자 머리) – Running Potato Head
3. 溶けない名前 – まぼろし買います
4. 衿 – beatrice
5. iga – close
6. Kazuma Sugawara – still life
7. world’s end girlfriend – Plein Soleil (Blue Confession)
8. 響現 – にゅうどうぐも (feat.π)
9. アメリカ民謡研究会 – あの美しいハーモニカの色。
10. that same street – Vesuva
11. Astrophysics – face the future
12. Parannoul – Acryl
13. Lacrima – ) (

*Bandcamp:
https://eneiongaku.bandcamp.com/album/xtalline-001

■ Statement

彼岸への眼差し、過去の約束、走馬灯、幻視、祝福。「彼岸」や「天上」世界、遠く離れた「ここではないどこか」の心象風景と、ここではないどこかへの眼差しを強く感じる音楽。

「空間系のエフェクトやリヴァーヴを多用した耽美な轟音系のオルタナティヴ・ロック」だけがシューゲイザーとは限らない。

非在のものの美しさを叙景する幻視の音楽。新時代の聴取スタイルとして、シューゲイザーのサウン ド・メイキングの美的要素を再収集し、ジャンルや様式から独立して普遍的に存在するシューゲイズ・サウンドや、逸脱したそれらを、ちょっとポエティックな感性で包括していく新時代のコレクティヴ、「遠泳音楽」と名付けました。

触れられないからこその遠くを見るような奥行きや開放感があり、だからこそ美しい。その色調はイノセンスと感傷を内包する「青」。

2010 年代以後のリバイバルを牽引したオブスキュアやニューエイジへと敬意を評しつつ、新時代のリバイバルの鍵となる審美眼、そして、聴取感覚として、「シューゲイズを感じる音楽」へと着目します。

──門脇綱生(Meditationsバイヤー、DU傘下レーベル「Sad Disco」運営、『ニューエイジ・ ミュージック・ディスクガイド』著者)

現実の体験として遠泳音楽に触れることは、日常性と現実に規定された生に対するオルタナティヴとして、規範的なリアルを否定し、夢想と陶酔、美に基づいた非日常による生の瞬間を体験する事であり、音楽的な幻想を体験し、少しづつ、だが確かに生を変貌させてゆくことである。

同時に、そこには絶対に触れられない他者、憧憬と距離のミューズの光と、そのミューズとの逢瀬への淡い感傷があり、その隔てられていることは酷く美しく夢想を誘うものでありつつ、ひとつの音楽体験として結晶する。つまりリリカルな体験を持って生を鮮やかに、徐々に変容させることが遠泳音楽の一側面と言えるのだ。

シューゲイザーに内在する幻想と夢想の景と鮮やかな激情は、本質的、原理的な更新を迎え、今、定 形性を廃した新たな姿で現象する。Siren for Charlotte はその為の発信地であり、媒介であり、シューゲイザーを更新する意志を持つ者の運動であり、シューゲイザーという大きな流れに返答を返す一つの鏡である。

──鴉鷺(音楽ライター、歌人)

■ Siren for Charlotte

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