1991年にリリースされ、シューゲイザーの金字塔を打ち立てたMy Bloody Valentineの2ndアルバム『Loveless』。2021年で30周年を迎える本作を記念し、弊メディアでは「My Best Shoegaze」と題した特集記事を不定期で連載する。SNS上の音楽フリークやライター、さらにはアーティストに至るまで、様々なシューゲイズ・リスナーに各々の思い入れの強い作品を紹介していただく。
Vol.6は、エレクトロ・シューゲイズ・ユニット、Cuicks(クイックス)のメンバーとして活動する、ノハラユーキの5枚。
■ Ladytron – Ladytron(2019)
Label – Ladytron Music
Release – 2019/02/01
ロンドンに旅に出た時にラウンドハウスでライヴを観ました。リヴァプールのバンド。New Order直系のデジタル・サウンドとバンド・アンサンブルの融合なのですが、メロディラインやシンセの音色のチョイスからは、かつて4ADに在籍していたCocteau Twinsからの影響が伺えます。マッドチェスターとの地続きも感じさせるダンス・ビートの要素もシューゲイザー由来なのでは。
■ Sonic Coaster Pop – SUPER MIRACLE CIRCUIT(2004)
Label – ウサギチャンレコーズ
Release – 2004/07/21
日本のエレクトロ・ポップ系レーベル、ウサギチャンレコーズのエレポップ・ユニットによる2004年作品。大学時代は木更津の祖父母宅に住んでいて、しかもサブスクが存在しなかった時代だったので、市内のTSUTAYAのレンタルコーナーで半額キャンペーンがある度に爆借りしており、その中で出会った一枚です。収録曲の「Summer In The Pool」という高速4つ打ちナンバーが超名曲だと当時から思ってます。次曲の「Shooting-☆」の流れは、最近ご活躍されているシューゲイザー・アイドル、RAYにも通じる魅力があると感じます。
■ Virginia Astley – Hope in a Darkened Heart(1986)
Label – Geffen Records
Release – 1986/11/23
UKのシンガー、Virginia Astleyによる1986年作品。坂本龍一プロデュースで、Japanのデヴィッド・シルヴィアンのヴォーカルもフィーチャーされている時点で話題として充実してますが、何よりその内容が、言わばドリームポップ・クラシックといったところでしょうか。教授の培ってきたアカデミックさがクラシカルさを抽出しており、なおかつその後のドリームポップの原型とも言うべき繊細なメロディが非常に印象的です。僕がこの作品の存在を知ったきっかけは忘れてしまいましたが、香川県にある個人のレコードショップからアナログ盤を取り寄せて入手しました。
■ Slow Magic – ▲ (Triangle)
Label – LebensStrasse Records / PLANCHA
Release – 2012/04/30
コーチェラへの出演も記憶に新しい謎のエレクトロ・アーティスト。この盤はCuicksの『warp』というアルバムのジャケットにもなった油絵の作者、茅根賢二くんから勧められて聴いてみたのが始まりです。特に凄いと感じるのが「Youth」という曲です。数万km離れた異国の大地の上空に瞬間移動してふわっと宙を舞うようなトリップ感溢れるトラックには、聴くたびに感動してしまいます!
■ Chapterhouse – BLOOD MUSIC(1993)※国内再発盤
Label – Dedicated Records
Release – 1993/09/06(オリジナル)2008/04/14(国内再発盤)
1993年リリースの2ndに、アルバム未収録のEPから6曲を冒頭に追加収録した全17曲。地元のブックオフで280円で即買いし、今もずっと大事に聴いてます。1stで見せたギター・ワーク中心のアレンジから、ダンス・ビートやシンセのリフレインなどのプログラミングの要素が濃くなった本作。とはいえ打ち込み主体ということではなく、生音とのバランスが非常に良いです。前述のEPからのチョイスである「Mesmerise」「age」はシューゲイズなダンス・ミュージックの名曲だと感じます。
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文=ノハラユーキ(Cuicks)
編集=對馬拓
Release
■ Cuicks – midi glide(Single)
Label – whirlpool records
Release – 2021/03/31