Posted on: 2026年3月24日 Posted by: 對馬拓 Comments: 0

■ 『Utopia』全曲解説

ここからは、『Utopia / Dystopia』の楽曲についてさらに深掘りするべく、制作の背景などを交えながら収録順に話してもらった。まずは『Utopia』編。

M1「渦」〜M2「swirl of lights」

神谷 「渦」と「swirl of lights」はめぐみんが作ってます。

 5人時代からある曲で、当時から気に入ってたのでどこかで使いたいと思ってて。元々「渦」と「swirl of lights」は1つの曲で、長いイントロのある曲だったんですけど分けました。「swirl of lights」は “光の渦” っていう意味になるんですけど、シューゲイズは光が連想される音楽という側面もあると思うので、そういうことをやりたくて作った曲ですね。「渦」でどんどん光が溢れていって、「swirl of lights」のイントロのドラムでさらに光が爆発して、光の洪水にのまれていく感じ。

神谷 アルバムの始まりとして完璧だよね。

──「swirl of lights」はre:lapseを意識した、という話を前に聞いた気がします。

 BCLの活動初期にre:lapseの「f」をライブで観て、こういうのめっちゃいいな〜っていうのが最初の取っ掛かりですね。

神谷 今聴いたらめっちゃ「f」だもんね。笑

──めっちゃ「f」ですね。笑 コーラスの感じもそうだし。

 そうそうそう。笑

神谷 メロディもね!

 あの頃は何かに似てるかどうか意識しないまま、勢いだけの時期だったから。笑

──そういう初期の名残もありつつ。

 『Utopia / Dystopia』の中では一番古い曲だもんね。

神谷 当時はまだ曲の良さが分かるほどいい音で演奏できてなかったけど、今の音でレコーディングしてちゃんと良さがわかって。あと私が作詞を始めた頃の曲なんですけど、改めて「歌詞良くない?」と思って。歌詞の書き方もちょっと若い。

 色々と若いね。

神谷 まだ純真だもんね。何の絶望も知らなさそうな感じ。

 でも、そういう澄み切った曲だからこそいいんじゃないかなと思う。

──音からもそれは伝わってくる気がします。

神谷 ヴォーカルは、最初は私だけのつもりだったんですよ。でもレコーディングのときに急に思いついて、

 男声も入れようってなったね。

神谷 めぐみんは最初めっちゃ嫌がってて。澄み切った美しいところに男性ヴォーカルを入れるのが不純だと思われてた。今でも正解だったか分からないけど、入れたら合唱曲っぽい純真さ、清らかさが出るかなって。あと “男女ツインのフワフワ・ヴォーカル” を1回やっておかないといけないよなと。BCLは「swirl of lights」があるおかげで、ガチのシューゲイズ・バンドを名乗れてるところがあるんですよ。歌ものになってない。「どうせ歌ものなんでしょ?」っていうのを払拭できる。シューゲイズの王道というか基礎、根幹をまだ音源にしてなかったんですよね。だから「日本人が想像するシューゲイズをやろう」と思って。

 曲を作った当時はBCLを始めたての頃だったから、そういうことをやりたかった時期でもある。

神谷 じゃなきゃ作ってないもんね。

──最初に「swirl of lights」を聴いたときの印象が、今までのBCLと違って新鮮に思えたんですよね。

神谷 それはメンバーが3人になって、BCLとしてのアイデンティティをちゃんと確立できてたってことなのかも。自分たちからすれば、こういう王道のシューゲイズ・サウンドからバンドが始まってるから違和感はないけど、初めて聴いた人が新鮮に感じるなら、「BCLはこうだ」っていうコンセプトを固められてたんだなって。ちょっと嬉しいですね。

──まさに「BCLはこういう曲もやるんだ!」っていう新鮮さが逆にあって。それがアルバムの一発目に来るのも良かったです。

神谷 「swirl of lights」は最初からベースも思いっきりひずむし、ギターも3本だよね。

 当時はギターが3人のバンドっていう前提で作ってるからね。それでギターがずっと鳴りっぱなしのシューゲイズになってる曲でもあります。

神谷 今はギター1人だから、ライブではルーパーでめっちゃ重ねて3人分のフレーズを弾いてます。

 『天使のいない街で』を経て、3人分の音を1人で表現する技術も上がって。そういうことばっかり考えながらギターを弾き続けてきましたね。

──無敵すぎるんだよな。

神谷 これ、めっちゃうちの強みです。

 「スリーピースでこんなに音の広がりがあるんだ」っていう言葉が一番嬉しいですね。

神谷 ただ、手段が目的にならないようにはしてる。「スリーピースなのにこんな音が出るんだ」っていうのが目的じゃなくて、あくまで1人で3人分やるのは「こういう曲を表現したいから」っていう手段。そこは絶対に取り違えないように意識してますね。

──BCLがやることには全部意味があると思ってます。意味のないことはやらない人たちだから。そこは信頼してますね。

神谷 ありがとうございます。

M3「祝祭」

神谷 私が作った曲で、リファレンスは羊文学の「ワンダー」です。開放感があって、天井の高い音楽っていうか、吹き抜けみたいな感覚が欲しくて。今までそういう曲をやってこなかったんですよね。

神谷 あと、簡単なコードでやってみたかった。BCLって複雑なコードを良しとして鳴らしてきたんですけど、元々のシューゲイズって、もっとパワー・コードとかバレー・コードみたいな、簡単なコードを鳴らしてる気がしたんです。イメージ先行だし、今の海外のシューゲイズにはあんまり感じないけど。いかにもジャガーの音で、いかにもアームを使ってワンワン鳴らすような──イメージ上のマイブラ(My Bloody Valentine)。笑 マイブラは今でこそちょっと聴いてますけど、当時はハマらなかったから全然聴いてなかった。

──マイブラは聴く人を選びますからね。

神谷 マイブラこそがシューゲイズって言ってる人に怒られるかも。

──僕はマイブラがシューゲイズの出発点なので、マイブラを信仰してる人間ですけど、万人受けするはずがないし、受け付けない人もいて当然だと思ってます。

神谷 あと、何かの文脈でバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」のフレーズを入れることになったよね?

 「ワンダー」自体が途中で拍子(リズム)が変わる曲で、そこからバッハを連想したから入れたいって神谷に言われて。

神谷 そうだ。多分、降ってきたんだと思う。でも大橋くんから「ゴイステ(GOING STEADY)がやってた」って聞いて。全然知らなかったです。

──クラシック音楽はBCLの重要なバックグラウンドの1つだと思うので、それを明確に提示した点は重要ですよね。あと「天井の高い音楽」っていう話がありましたが、クラシック音楽って広いホールとかで演奏されるじゃないですか。そういう感覚とも近いのかなと思ったりしました。

神谷 確かに。「祝祭」は歌ものだけど、クラシカルでフォーマルな曲だと思ってて。みんなが想像するシューゲイズっぽい曲──「swirl of lights」とコンセプトが似てるところはあるんですけど、そういうことをやっておきたいっていう作り方をしてる。チャレンジですね。

──歌い出しもオペラというか声楽っぽいというか、男性が声を張り上げて歌っててもあんまり違和感がないかも。

神谷 私が声を張り上げて、地声でもいいから高らかに歌うっていうのをやりたくて。合唱部時代の名残もあって私の声が太めだから、それでオペラっぽさが出てるのかも。

──めっちゃ高らかだと思います。

神谷 底抜けですもんね。天井も床もない。

──それが “祝祭感” にも繋がってる。

神谷 最初は『Dystopia』に収録するつもりだったんですよ。でも私が曲を作っていく上でどうしても『Dystopia』にできなくて、逆に底抜けに明るい曲にしようと思って。「祝祭」っていうタイトルをつけたのは……なんだっけ、あのトラウマ映画。

──『ミッドサマー』ですか?

神谷 そう! 『ミッドサマー』っぽさをちょっと出したくて。ああいう宗教的なお祝いというか、明るい恐怖みたいな感じを出したかったんですけど、私に恐怖感を出せるポテンシャルがなくて。だから『Utopia』収録で、いかにも幸福っていう文字通りの “祝祭” にしました。

──僕は『ミッドサマー』っぽいな〜って、ちょっと思ってましたよ。

神谷・恵 えー!!

──あの映画はね、何回観てもいいですよね。

神谷 やーだーもー!!

──底抜けの明るさって、裏があるというか。何か訳がある感じがしますよね。

神谷 最初は完全にそういうつもりだったんですけど、やっぱり「ワンダー」が根幹にあって。「ワンダー」って心の扉を開放してるような感じがするから、そこを失いたくなくて。

──普通の人はシンプルに “多幸感のある曲” だと思って聴いていいと思うんですけど、僕がひねくれてるんですよね。笑

神谷 でも曲の意図としては『ミッドサマー』っぽさもあったので、それをキャッチできるのはすごいと思います。

 ちゃんと裏を感じ取ってもらってるね。

M4「星凪に願う」

神谷 いろんな思いが詰まった曲です。まずイントロのアルペジオのリフがあって、「彗星」に次いで盛り上がる明るい速めの曲を目指して作り始めて。あとは “オルタナっぽさ”──何をオルタナとするかは置いておきますけど、今の下北沢のオルタナティヴ・ロック・シーンに食い込める曲が欲しくて作ってますね。アルペジオもいかにもそっち系。羊文学の「コーリング」がちょっと入ってるかな。あと「カゲロウプロジェクト」の「サマータイムレコード」が一番のリファレンスです。

──「コーリング」のちょっと疾走感があるような感じ?

神谷 そうそう、「add9th疾走感」ですね。あと、3人になりたての頃にライブでやってて音源化してない名前が2つ付いてる曲(「月街」もしくは「水中少女」)があるんですけど、そのメロディを入れてます。めぐみんが作った曲だったんですけど、その曲を経てるから今いい音楽ができてるという意味で、成長の証として入れました。実は「nightflight」のアンサー・ソングにもなってます。「星凪に願う」のサビ前の〈もう時間ね〉って歌うところは、「nightflight」と全く同じ歌詞とメロディなんですよ。

──そういう意味ではすごく大事な曲ですね。

神谷 ただ、「nightflight」は希望の曲で。いろんな不安を持ちながらも、「BCLで私が歌ってもいいんだ、みんなで一緒に頑張ろう」みたいな意味を込めた歌だったんですけど。「星凪に願う」は『Utopia』に入ってるのがコンセプト的にいびつなくらい、悲しいというか……マイナス思考になってるような曲でもある。でも「歌というものは星のきらめきと一緒だよね」っていうのを伝えたい曲なので、曲調も含めて『Utopia』に入れました。

「星凪に願う」MVオフショット

神谷 めぐみんは「星凪に願う」を最初に聴いてどう思った?

 〈もう時間ね〉っていう言葉の意味合いが「nightflight」とは真逆だなって。

神谷 そうそう。対になってるんだよね。これ、めぐみんのパパが気づいたんだけど。笑

 父親はめちゃめちゃBCLのことを応援してくれてるんですけど、アルバムをリリースした2週間後くらいに「聴いたぞ」って言われて、「どうだった?」って聞いたら「「星凪に願う」のあそこって「nightflight」のあれだよな」って。

──すごい!

神谷 “自分がいなくなった後に、歌だけが残る” っていう世界を表現してて。いつか私自身は忘れられちゃうけど、私が作った歌は忘れてほしくない。たまに思い出して、歌が光り出すときってあるよね、みたいな。でも記憶も一瞬だから、思い出されては忘れられてを繰り返して、最終的には風化されていく。最後の〈その音色が きらめいて 消えてゆく〉っていう歌詞は、「結局みんな忘れていくよね」っていう思いで書いてます。私がもう曲を作れなくなったり、BCLが解散したり、私自身が死んだりしても、曲は残るから誰かに聴かれるけど、それすらも消えていってしまう。でもそれ自体が星の輝きだよね、っていう。この曲に対しては、話すべきか悩むほど思いを込めてます。

──その話を聞くと “ディストピア” 感もあるというか、かなり表裏一体な曲に感じますね。

神谷 ただ、歌に表現者の全てを付き纏わせることはしたくないし、音楽における歌という概念は、常に単体で強く輝くべきだと思ってるので、そういう点では『Utopia』に相応しいと思います。

──そういうことを踏まえると、この曲がBCL初の実写ミュージック・ビデオとして映像で残されてるのも必然的だと思いました。

神谷 メンバーには「キャッチーでオルタナっぽいからこの曲のMV作ろう」って言ってたんですけど、私的にはそういう意味合いがあります。これ、今初めて言いました。

 初めて聞きました。

「星凪に願う」MVオフショット

──初めて実写のMVが出た衝撃っていうのは、僕の中にあってですね。これまで何度も直接会って喋ってる仲なので、不思議な感覚で。

神谷 ふははははは!! 「友達がMVに出てる!」みたいな感覚ですよね。

──そうそう。みんな汗かいてるのも良かったですね。頑張ってる感が伝わってきて。

 びちょびちょ。笑

神谷 大変だったんだから本当にー! ガチで汗まみれのシーンはカットしてるんですよ、あれでも。綺麗におまとめしました。MVの小話はBCLのnote(*3)に載せてるので、そちらを見ていただければと。最後の花火が入るところ、あれはフィルターとかじゃなくて本当の花火をカメラの前でパチパチやってるんですけど、あれがもう星のきらめきだと思ってて。みんな観てね!

*3:https://note.com/bcl2022/n/n600969fed1ae

──ちなみに「星凪に願う」を名古屋のワンマン(*4)で聴いたときのことはよく覚えてて、「ここからまた新しいBCLが始まっていくんだ」っていう印象を受けました。

*4:2024年11月4日 - 1st one man live『DAWN』@名古屋stiffslack

神谷 嬉しいです。シューゲイズ・シーンだけではなく、もっと広いシーンに食い込むためにはこういう曲も絶対に必要だと思って書いたので、新しいっていうのは確かにそうだと思います。

「星凪に願う」MVオフショット

──あと、純粋にイントロのアルペジオがめっちゃ好きですね。あれが鳴り始めた瞬間、テンション上がります。

神谷 わかるー! 苦しんでる人間が1人いますけど。笑

 僕はアルペジオが一番苦手で。弦を弾く順番が大事なリフなので苦労してますね。

神谷 苦労してる顔をしながら弾いている彼も見どころかもしれない。

 やめてくれ。笑

M5「utopiaflorist」

神谷 これは次の「Planet」に繋げるための曲です。私が作るインストには “前後の曲とキーを合わせる” っていうこだわりがあって、これに関しては次の曲ですね。「Planet」が私自身のユートピアだと思ってて。全くリード曲ではないんですけど、ユートピアの真髄、本当に表現したいユートピアが全て詰まってるのが「Planet」で、それをインストで表現すると「utopiaflorist」になります。天国に向かう道中にある花屋で、会いたい人のために花を手土産で買っていく、っていう曲。私が大好きな別野加奈さんの『海辺の花屋』っていうアルバムがあって、すごくルーツになってる作品なんですけど、別野加奈さんは人間の綺麗さとか天国の幻想的な感じを表現するのが上手な方で、それにインスピレーションを受けました。自分が辿り着きたい美しい世界へ向かう道のりの曲。もう曲が全てを物語ってます。

神谷 クリオネ方程式のナオキ(Gt. Cho.)くんに言われて嬉しかったのが、「存在しない懐かしい記憶が呼び起こされる曲」っていう感想で。ナオキくんは普段インストとかはあんまり聴かないみたいなんですけど、めっちゃ嬉しかったです。心が弾むようなメロディがすごく示唆的で、ふんわりとしたインストじゃなくて、このメロディでしか伝えられないものがある。しかも「存在しない懐かしい記憶」は人によって違うから、固定のストーリーじゃなくて、その人にとっての天国が思い浮かぶんじゃないかな。

──「星凪に願う」のバンド・サウンドと「utopiaflorist」のピアノ・サウンドの対比っていうのも重要で、ガラッと場面が転換される感じもいいなと思いました。

神谷 ありがとうございます。めっちゃ気に入ってます。ユートピアを求めて旅をしていく過程なんですよね。美しい場所に向かって、人生を歩んでいく。その先に「Planet」があります。

M6「Planet」

神谷 リファレンスは『劇場版マクロスF 〜サヨナラノツバサ〜』の「ホシキラ」ですね。「ホシキラ」は長い宇宙戦争が終わって、残された大地で生きていこうって歌ってる曲なんですけど、その影響がめちゃくちゃ大きいです。あと、地球というもの、惑星というものの本当の美しさを感じられるような曲にしたくて、松田聖子の「瑠璃色の地球」もリファレンスにしました。

神谷 こだわりなのが、ラスサビ前にピアノ、ギター、ベース、ドラムがそれぞれ八分で淡々と刻んでいく長めのフレーズがあるんですけど、そこは “Slowdiveパート” っていう通名をつけてて。めぐみんから聴かせてもらったSlowdiveの「Golden Hair」(シド・バレットのカバー)を元にしてる部分もあるんですよ。最初は今の半分くらい短かったけど、「こんなの聴かせたいだろ!」と思って倍にしました。

神谷 ラスサビで一気にギターの量感がズォア〜って増して、最後ざわざわするんですけど、あれは森の中で木々が風に揺れる音ですね。

──めっちゃ地球の歌ですね。

神谷 めっちゃ地球の歌です。目の前にある地球、自然の美しさをもう今一度感じ取ってほしいっていうことを歌ってます。

M7「夕立」(CDのみ)

──ストリーミングでは「Planet」が『Utopia』のラストに配置されてて、それはそれで終わり方としてしっくりくるんですが、CDにはもう1曲「夕立」が収録されてます。

神谷 3人になった初期、ライブでは結構やってた曲です。これも羊文学に影響を受けてます。最初はめぐみんのリフから作り始めた曲なんですよ。今となってはそのリフ、1つも残ってないけど。

 あの頃は羊文学をリファレンスにしまくってた時代だからね。「マフラー」とかだったかな?

神谷 歌詞も急に現実感がありますよね。『天使のいない街で』に収録されてそうな歌詞というか。「Planet」で地球の美しさを歌った後、また規模を戻して「じゃあ道端の花はどうなの?」みたいな。人と人との関係性だったり、日々を過ごしている生活にもう一度視点を置いて考えてみる。実質ボーナストラックになってますけど、ここまで到達できるってことは、CDを買って聴きたいと思って望んで来てくれたからなので、そういう人には改めて提示してもいいんじゃないかなと。

──「Planet」がマクロだとしたら、「夕立」のミクロの世界もそこに含まれてると思いますが、もう一度小さい規模に立ち返るっていう終わり方も綺麗だと思います。「夕立」っていうタイトルもいいですよね。

神谷 これ、新潟の景色なんですよ。新潟って雨が多いんですけど夕立もすごくて、夕日のオレンジの中で雨が降ってる不思議な温度感が曲に反映されてます。夕立の匂いをイメージして、ドラムも粘っこい感じになってますね。

■ 枠に囚われないパッケージ

──前作『天使のいない街で』は、通常のCDより大きくて、7インチよりは小さい絶妙なサイズの紙ジャケットでしたが、今回も普通のパッケージではないですよね。ビニールのパックに入ってて “製品感” があるというか。

神谷 まず2つのアルバムを1つにまとめるために、ジャケットが両面で見えるようにしないといけなかったんですよ。どうしてもジュエルケースとか紙ジャケットだと表裏がある。それで色々考えた結果ですね。大きいですよね〜。

──大きいですね。今回も通常のCDの棚には入らないです。笑

神谷 でも、ちょっと想定外で。最初に注文したパックがギチギチすぎて入らなかったんですよ。なるべくジャストサイズにしたかったんですけどジャストすぎて。それで仕方ないからもっと大きいパックにしたんですけど、結果的にかわいくなったと思います。やっぱりジュエルケースみたいな既製品じゃない、かわいいものを作りたいんですよね。枠に囚われないパッケージ。難しいですけど。

──CDの歴史も長くて、様々な形態でリリースされてきたので、そこからはみ出していくのは大変なことでもありますよね。

神谷 やっぱりデザイン的に目を引くものにしたいし、保存するという点でも大丈夫なものにしたくて。あれ、食品とかを入れても大丈夫な、ちゃんとしたパッケージ屋さんのものなんですよ。Amazonとかで売ってる安い適当なものじゃなくて、日本の会社が売ってた信頼できるものを使わせてもらってます。あと、今回ジャケットにバンド名を書いてないので、Blurred City Lightsだってわかるように、かつ全国流通しないというのを逆手に取って、好きなデザインにしようと思ってラベルを貼りました。手間がかかってます。あとCDの盤面に書いてある曲名も、円形に並べてるんですよ。これは『Utopia』と『Dystopia』が表裏一体っていうのを暗示してて。こだわりですね。

──“保存” という点は、「星凪に願う」の “歌が残る” というコンセプトにも繋がってくる気がします。

神谷 大切に保管してもらいたいですね。しかも棚に埋もれない。思い出してもらえる。自主でやっていくうちは何とかして凝ったパッケージを続けていきたいです。コレクションとして並べたくなるようなものを作りたいですね。

後編:『Dystopia』編に続く

■ Release

Blurred City Lights – Utopia / Dystopia

□ レーベル:Self Released
□ 仕様:Digital / CD

□ トラックリスト:
1. 渦
2. swirl of lights
3. 祝祭
4. 星凪に願う
5. utopiaflorist
6. Planet
7. 夕立(CD & Bandcamp only)
8. dreamland
9. Whisper
10. shinjuku
11. 亡霊都市
12. きみのこえ
13. the end of Dystopia?
14. sumire(CD & Bandcamp only)

*『Utopia』:ストリーミング / Bandcamp
*『Dystopia』:ストリーミング / Bandcamp

*枕眠堂にてCD販売中:購入はこちら

■ Event

Oaiko pre.「これから」

2026年4月25日(土)東京 青山月見ル君想フ
OPEN 12:00 / START 12:30

[act]
17歳とベルリンの壁
Blurred City Lights

[チケット]
一般 ¥3,500(+1drink)
学割 ¥3,000(+1drink)
チケットぴあ

Total Feedback
The Florist「(a)estheticism」release show

2026年4月26日(日)東京 高円寺HIGH
OPEN 15:00 / START 15:30

[act]
The Florist
te’
Bearwear
Otherside
Blurred City Lights

[DJ]
knthsgc(sugardrop)
nk(sugardrop)

[チケット]
adv ¥3,500(+1drink)
door ¥4,000(+1drink)
バンド予約
配信 ¥2,500
ZAIKO

■ Profile

Blurred City Lights

神谷なな星(Vo. Ba. Key.)
恵(Gt.)
大橋琉馬(Dr.)

3人組シューゲイズ・バンド。2022年、名古屋にて始動。影響源はシューゲイズ、ドリームポップ、オルタナティヴ・ロック、J-POPなど。2024年2月に1stフルアルバム『天使のいない街で』、2025年2月に2ndフルアルバム『Utopia / Dystopia』をリリース。レコーディング、ミックス、マスタリング、さらにアートワークに至るまで全てセルフ・プロデュースで手掛ける。

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