TOKYO REVERB COLLECTIONが示したものとは?

Live Report

2018年12月2日。新宿Nine Spicesにて、SPOOLとTESTCARD RECORDSによる共同企画が行われました。

TOKYO REVERB COLLECTION
出演:
死んだ僕の彼女
cattle
17歳とベルリンの壁
SPOOL

今回は、このシューゲイザー好きには堪らない一夜の様子を振り返ります。

text by osushitabeiko
photo by Yusuke Masuda

死んだ僕の彼女

トップバッターはノイズ・ポップ・シューゲイザーの筆頭格、死んだ僕の彼女。ishikawa(Vo. G.)だけスーツに蝶ネクタイ、そして目の周りは黒塗りという異様な出で立ちで明らかに浮いており、まるで闇落ちした道化師。

本番直前の様子(公式Twitterより)

しかしひとたび演奏が始まると、凶暴なまでにノイジーでありながらポップネスも伏せ持つ楽曲たちに人々は酔いしれる。特にkinoshita(G.)のギターサウンドが、本当にギターなのか疑うほどビリビリとしたノイズを放っていた。

「12月なので(ishikawa)」という言葉からそのまま始まった名曲“12gatsu, poolside, ukabu shitai”が最高だった。

最後はishikawaがギターを置き、衝動のままマイクをスタンドからもぎ取ってデスヴォイスを撒き散らした。そんな中でもideta(Vo. Key.)は聖母マリアのような笑顔を浮かべてシンセサイザーの前に座っている。狂気である。

前回の高円寺HIGHでのライブではギターを床に叩きつけて派手に壊したこともあり、今回も何かやるのかと正直ヒヤヒヤしていたが、そのまま終了。ある意味安心…。

セットリスト:
1. skyscraper kills my ghost in your memory.
2. 12gatsu, poolside, ukabu shitai
3. 手を振って
4. watashi no aishita manatsu no shinigami
5. Hong Kong Police
6. aki no hachiouji
7. haru no hachiouji

cattle

続いて登場したのがcattle。フロントマンはこの日の主催でもあるTESTCARD RECORDSの代表であるヒヌマナオヤ(G. Vo.)だ。ライブは黙々とスタートした。

サオリ(Vo. Key.)の歌声はどこまでもまっすぐだ。のめこ(Ba.)と国分シュウタ(Dr.)によるリズム隊を土台に、ギターとキーボードによる絶妙な浮遊感が聴き手の胸にスッと入ってくる。メロディが心地良い。決して「大きい音を鳴らすバンド」という訳ではないが、どこか懐かしく、それでいてしっかりと「いい音」を出してくれる。この信頼感が素晴らしい。ある意味シンプルな分、響くものがある。

ラスト1曲を残してようやくMCが入る辺り、とにかく演奏を届けたいという気概が伝わってきた。セットリストはEPSomehow Hear Songsからの曲が中心。実はこの音源、ZEPPET STOREの五味誠を迎えて製作されており、とてもクオリティが高い。未聴の方は是非。

ちなみに余談ですがヒヌマ氏、過去のインタビューで「COALTAR OF THE DEEPERSが好き」と発言しており、僕の中で勝手に信用度が爆上がりしております。

セットリスト:
1. Kaleidoscope
2. Fluff
3. Birth
4. Your only secret
5. Blue star
6. Bit and little
7. Somehow hear

17歳とベルリンの壁

3番手は17歳とベルリンの壁。転換で運び込まれるTakuji Yoshida(G.)のエフェクターボードの大きさはいつも目を見張る。ステージに置かれビカビカと光を放つ様は、まさに上空から見下ろした街の夜景と呼ぶに相応しい。

セットリストは1曲目から新曲を披露し、他は『Reflect』『Object』からバランス良く選曲。音源の素晴らしさはさることながら、やはり彼らの曲はライブで圧倒的な強度を誇る。特にJunichiro Miyazawa(Dr.)の百戦錬磨のドラムにはいつも目を見張るものがあるし、ライブでは4人の演奏が渾然一体となって観る者に迫り、いとも簡単に音源を超えてくる。個人的にはこの空気感を詰め込んだライブアルバムを出してほしいくらいだ。ハイライトとしては、やはり“プリズム”のイントロで怪物のように唸るギターが素晴らしかった。

なお、風の噂で「Takuji氏のエフェクターは見る度に増えている」という怪情報を耳にしていましたが、終演後本人は「増えていない」と否定しておられました。

セットリスト:
1. 新曲A
2. 表明式
3. プリズム
4. 平面体
5. 地上の花
6. 複製品たち

SPOOL

最後は主催であるSPOOL。Rideの”Dreams Burn Down”をSEに4人が登場。それもそのはず、その曲に影響を受けたという“sink you”からライブはスタート。以降、鉄板のプレイリストで攻めていく。

ショウジスミカ(G.)

MCこそやや話し下手なこばやしあゆみ(Vo. G.)だが、ひとたびギターをかき鳴らすと和製ビリンダ・ブッチャーになるので末恐ろしい。今年新たに加入したショウジスミカ(G.)もライブを重ねるごとにバンドに馴染んでおり、この日はベストアクトだったように思う。安倍美奈子(Ba.)とあらん(Dr.)のゴリゴリのリズム隊もバンドのアンサンブルをしっかりと支えている。

あらん(Dr.)

「ガールズバンド」という括りで語りすぎるのは良くないとは思いつつも、全員が女性だとは思えない強度のオルタナティヴ・ロックを奏でており、SPOOLが非常に稀有な存在だということを再認識できた。

安倍美奈子(Ba.)
こばやしあゆみ(Vo. G.)

本編最後の“No, thank you”では、恒例となってきたアウトロのノイズビットを約1分間披露。脳が吹っ飛びそうな爆音を浴びせまくった挙句いきなりピタッとやめてステージを後にする4人がたくましすぎた。終演後「本当は30分くらい続けたかった(こばやし)」と語っていたので、今度の機会に是非やっていただきたい。

セットリスト:
1. sink you
2. sway, fadeaway
3. night escape
4. Be My Valentine
5. No, thank you
En. blooming in the morning


さて、この日最大のニュースと言えば、SPOOLのアンコールで発表されたアルバムの告知だったでしょう。

ついに、TESTCARD RECORDSから初の全国流通盤にして1stフルアルバムとなる『SPOOL』が2019年2月13日に発売決定!

1. nightescape
2. Be My Valentine
3. Let me down
4. Shotgun
5. winter
6. ______
7. sway, fadeaway (angel ver.)
8. blooming in the morning
9. springpool
10. mirrors
11. モ ル ヒ ネ
12. No, thank you (alternative mix)

※アンコールでは新曲”blooming in the morning”を披露されました。

死んだ僕の彼女の貴重なライブパフォーマンス、若手を代表するCattleと17歳とベルリンの壁とSPOOLの共演、そしてSPOOLのアルバム発表。さらに、この日はチケットがあと数枚でソールドアウトという勢いで会場は超満員。これが意味するところはつまり、「シューゲイザーの未来は明るい」という一言に尽きるのではないでしょうか。

あのMy Bloody Valentineが2013年に『mbv』を発表してから数年。シューゲイザーシーンは徐々に再燃し、2017年はRideとSlowdiveも久々に新作を発表。今年はMy Bloody Valentineの来日で再燃の波は一つの頂点に達したと言えるでしょう。

今や国内外で様々なシューゲイザーバンドが活躍していますが、この日の新宿Nine Spicesは国内シューゲイザーシーンのひとつの到達点だったように思います。そして、もちろんこれで終わりではなく、間違いなくこれからもっと盛り上がっていくポテンシャルをも示した夜だったはずです。

自分としては、今後も自分なりの方法で、シーンを盛り上げていくことに関わっていければ幸いです。みなさんの末永いご活躍に期待しております。

最後に、いつもSPOOLの写真を撮影しておられるマスダ氏による貴重なオフショットをご覧ください。それでは!


タイトルとURLをコピーしました