Posted on: 2020年6月5日 Posted by: 鴉鷺 Comments: 0

Label – RubyEye Records 
Release – 2020/04/09 

中国の紹興市を拠点に活動するチルウェイヴ/ドリームポップ・バンド、City Flankerによる2020年のアルバム。

とにかく甘いシンセ・ポップ的要素とシューゲイザーの強靭さや幻想性、追憶に浸る様なアンビエンスが結実したこの美しい音楽を構成するのは、淡くリヴァーブがかけられたメランコリックかつスローな叙情を漂わせるヴォーカル、華やかで都会的な雰囲気を表現するシンセサイザー、ベース・ミュージックの影響を受けたドラム、音楽を的確に下支えするベースだが、このシンプルな要素で組み上げられたアンサンブルが見せる美しく開けた光景と強烈なカタルシスは唯一無二のものだろう。「夜雨」や「湮滅」の甘い憂鬱、白眉と言える「戀愛症候群」の突き抜けたポップネスは珠玉のものであり、仄かに感じる中国的な感性もまた美しく、聴いていると自身の憂鬱が溶けていくのを感じる。シンセ・ポップ×シューゲイザーの可能性を見せた1枚。 

text by aro

Author

鴉鷺
鴉鷺Aro
大阪を拠点に活動する音楽ライター/歌人/レーベル主宰者。Sleep like a pillowでの執筆や海外アーティストへのインタビューの他、遠泳音楽(=Angelic Post-Shoegaze)レーベル「Siren for Charlotte」を共同オーナーとして運営し、主宰を務める短歌同人「天蓋短歌会」、詩歌同人「偽ドキドキ文芸部」にて活動している。好きなアニメはserial experiments lain、映画監督はタル・ベーラ。