Posted on: 2022年6月25日 Posted by: Sleep like a pillow Comments: 0

1991年にリリースされ、シューゲイザーの金字塔を打ち立てたMy Bloody Valentineの2ndアルバム『Loveless』。2021年11月でリリース30周年を迎えた本作を記念し、弊メディアでは「My Best Shoegaze」と題した特集記事を展開中。様々なリスナーを招き、各々が思うシューゲイザーの作品を5枚選出していただく。

【Feature】My Best Shoegaze

Vol.18は、日本と台湾のメンバーで結成された5人組の多国籍シューゲイザー・バンド、synkerのTeeが選ぶ5枚。

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■ The Police – Synchronicity(1983)

Label – A&M
Release – 1983/06/17

かようなジャンルへの想いと自身のギター弾きとしてのアイデンティティを交差させて何か書いてみようと思います。まずは「空間系」と言われるギタリストへの意識が芽生えるきっかけとなった一枚。10代半ば、ディストーション・ギュウィーン大好き少年だった私にとって、The Policeのアンディ・サマーズの仕事はあまりに地味でした。当初はスティングの派手なヴォーカルやジャンル横断的な作風が好きで聴いていたのですが、次第にそれを下支えするギター・プレイ──エフェクトや風変わりなコードを器用に駆使した鯔背なサウンドとフレーズ、しかもほぼ即興だというのだから凄い──に魅了されていきました。

■ Wild Nothing – Nocturne(2012)

Label – Captured Tracks / Bella Union
Release – 2012/08/28

テン年代前半に20歳前後を過ごしたことで、いわゆるベッドルーム・ポップの潮流をリアルタイムで体感することができたのは、今日までローファイ音楽の類を愛好し続ける決定打となっているような気がします。チルウェイヴのお気に入りは挙げ出したら切りが無いですが、Wild Nothingのこのアルバムは、当時、都内の新興レコードショップなどに行くとあちこちで流れていた記憶があります。全体的にバンド感が色濃くて、キャッチ―なリフやシャリシャリとしたコード・ストロークが際立つ爽快な曲調に踊れます。明け方、深夜バイトの帰り道なんかによく聴いていた思い出の一枚。

■ The Beach Boys – Sunflower(1970)

Label – Reprise
Release – 1970/08/31

巨匠・山下達郎を師と仰ぎながらも、The Beach Boysにいま一つハマりきれずにいたことは長らくコンプレックスでした。しかしある時、70年代初期のThe Beach Boysをローファイ音楽の源流に位置づける説を目にしたことでたちまち関心が湧きました。このアルバムはセンチメンタルな倦怠感にあふれていて猛烈に眠気を誘います。特に7曲目から10曲目の流れがたまらない。リヴァーブがガツンと効いた「All I Wanna Do」はドリームポップの原型と称されるのも肯けます。あとThe Beach Boysの代名詞ともいえる美しいコーラス・ワークは、ドリーミーなバッキング・フレーズを考えるときなど案外参考になります。

■ Lou Reed – Metal Machine Music(1975)

Label – RCA
Release – 1975/07/??

言わずと知れたノイズの名(迷)作。ここ2、3年でバンド活動を始めたことで、日常の音楽体験が変化したような気がします。レコーディングやライブを通して、オーディオから供給される音に対して受動的に関与するだけでなく、抽象的な音靄の中に散りばめられている、音楽的な意味を自ら探究的に捉えようとする、リスナーとしてのある種の主体性のようなものを獲得できた、とでも言えは適当でしょうか。Pitchforkも似たようなことを書いていますが、「開始1分間が全て」というよりはむしろ、絶えず意味が生成されては破壊され、幾度も再構築される「終わらない」64分間を体験できます。

■ Wyldest – Dark Matter(2016)

Label – Hand In Hive
Release – 2016/03/21

ノース・ロンドンのシンガーソングライター、ゾーイ・ミードによるプロジェクトであるWyldest(ウィルデスト)。彼女がインスタライブをしている時に誤ってタグ付けされたことで偶然にその存在を知り、気になって聞き漁っている内にすっかり虜になってしまいました。自分の中で「スリザリンに入ったJapanese Breakfast」という勝手なキャッチフレーズを付けています。デビューEPである本作は、Slowdive直系のリヴァービィな音空間とクリスタリンなクリーン・ギターの音粒、そこに絡んでくるテンダーな歌声が絶妙で、全てのドリームポップ・ファンにおすすめできること間違いなし、です。

文=Tee(synker)
編集=對馬拓

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■ Release

V.A. – Total Feedback 2022

□ Label – Only Feedback Record
□ Release – 2022/06/22

1. sphere – only time will tell… (spring ver.) / 2. re:lapse – timeless melody (alternate ver.) / 3. Whale Done! – Love Speeder / 4. killmilky – ルーという女 / 5. The Giraffe Told Me In My Dream – H / 6. Optloquat – Primal / 7. シバノソウ – 使い道のない風景 / 8. Cuicks – Swells and Waves / 9. cachet – appleblossom / 10. synker – Mortal (city ver.) / 11. bokunofune – dark blue / 12. Lune – lies

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