Posted on: 2020年12月29日 Posted by: Sleep like a pillow Comments: 0

一年間の総まとめとして、その年にリリースされたシューゲイザーおよびドリームポップなど周辺ジャンルの作品を一挙に紹介する「Best Shoegaze Albums」企画。好評だった2019年に続き、今年も「Best Shoegaze Singles 2020」「Best Shoegaze Albums 2020」と題し、より充実した内容でお届けしたい。

いよいよ今回は、2020年にリリースされた注目のアルバム/ミニアルバム/EPを「Best Shoegaze Albums 2020」としてまとめ、ランキング形式でお送りする。なお、一位はライター二名がそれぞれ選出した作品を一枚ずつ掲載している。最後のページには企画盤やオムニバスなどもまとめた。全ての作品にコメント付き。2020年のシューゲイザー・シーンの振り返りに本稿を役立てていただければ幸いだ。

文=對馬拓/鴉鷺
編集=對馬拓


118. Flowerbed – Hollow

Label – Self Released
Release – 2020/12/12

アメリカ・テキサス州を拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Flowerbedの2nd EP。逆回転のイントロから直球の爽やかなシューゲイザーに突入する「for you」で心を鷲掴みにされた。北欧の淡いシューゲイザーを彷彿とさせる秀作。(鴉鷺)

117. Lost Tapes – Quoting Salter

Label – Sunday Records
Release – 2020/12/04

スペインを拠点に活動するドリームポップ・バンド、Lost Tapesの2nd EP。名盤『Let’s Get Lost』から4年が経ち、よりドリーミーに深化した内容。甘いヴォーカルと楽曲は健在で素晴らしかった。(鴉鷺)

116. Gum Country – Somewhere

Label – Waterslide
Release – 2020/06/19

The CourtneysのヴォーカルであるCourtney Looveが参加するアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスのシューゲイザー/インディーロック・バンド、Gum Countryのデビュー・アルバム。ローファイで甘い質感とYuckを想起させる様な爽快なサウンドが心地良く響く名盤。(鴉鷺)

115. topographies – Difference & Repetition

Label – Dream
Release – 2020/02/14

アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、topographiesの最新EP。瞑想的になったDIIVにポストパンクをミックスしたような内容で、ディープなエコーに陶酔出来る一枚。直近のアルバム『Ideal Form』も優れた内容。(鴉鷺)

114. 緩緩 Huan Huan – 水可以去任何地方

Label – Self Released
Release – 2020/10/16

台湾を拠点に活動するドリームポップ/フォーク・バンド、Huan Huan(緩緩)の1stアルバム。透明で夢幻的なフォークというか、業や毒気を一切感じない内容で精神が浄化されるような思いで聴いていた。「水は何処にでも流れる」という詩的なアルバム・タイトルも素晴らしい。(鴉鷺)

113. Alex Chilltown – Eulogies

Label – fear of missing out records
Release – 2020/01/24

UK・ロンドンのJosh Esawによるプロジェクト、Alex Chilltownのデビュー・アルバム。崇高な雰囲気を醸し出すシンセサイザーや低体温なヴォーカルと、時折壁のように迫ってくる轟音ギターの対比が美しい、ゴシックかつエセリアルなドリームポップ。(對馬)

112. Perlee – Half Seen Figure

Label – Self Released
Release – 2020/08/14

ドイツ・ベルリンを拠点に活動するドリームポップ・バンド、Perleeの最新EP。牧歌的かつ幻想的でスローなドリームポップで日常に溶け込むような優しさを感じる。ヴォーカルがとにかく美しい。(鴉鷺)

111. Pet Shimmers – Face Down In Meta

Label – Self Released
Release – 2020/01/31

UK・ブリストル出身、ポストインターネット的な感覚とインディー的なセンスを両立させるPet Shimmersの1stアルバム。「Post Dick Circle Fuck」での純粋な楽曲の良さや随所に散りばめられたヴェイパーウェイヴと共振するサウンドが新鮮で、今年の秀盤として選出した。(鴉鷺)

110. Lavender Blush – The Garden of Inescapable Pleasure

Label – Shelflife Records
Release – 2020/11/20

アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Lavender Blushの1stアルバム。正統派インディーロック系統のシューゲイザーで、潔癖でドリーミーなサウンドと牧歌的な楽曲が美しく響く。名盤。(鴉鷺)

109. Dayflower – Popping Candy

Label – Self Released
Release – 2020/05/29

UK・レスター出身のドリームポップ・バンド、Dayflowerの最新EP。ネオアコ的な風通しの良さにシューゲイズ要素をひとつまみ振りかけたようなキラキラはじけるサウンドが楽しく、2020年の前作『Honeyspun』と同様に良質な内容。(對馬)

108. Джуна – Тюрьма

Label – Sierpien Records
Release – 2020/08/12

ロシア・モスクワを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Джунаの最新EP。直球のシューゲイザー×ポストパンク的な音楽を展開するバンドで、どこかメランコリックな「Голова – тюрьма」が素晴らしかった。ちなみにバンド名は「dzhuna」と発音するらしい。(鴉鷺)

107. Bleached Heat – Seaglass

Label – Self Released
Release – 2020/07/14

UK・ブラッドフォードを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Bleached Heatの最新EP。漂白された正統派MBVフォロワーという印象を受ける鮮烈な作品。幻想的なノイズと完成度の高い楽曲、エセリアルなヴォーカルに撃ち抜かれる。(鴉鷺)

106. Pia Fraus – Empty Parks

Label – SekSound / Vinyl Junkie Recordings
Release – 2020/01/22

エストニア出身のシューゲイザー・バンド、Pia Frausの5thアルバム。どこか冷めているようで、随所に熱量もある不思議な温度感。全体的にメランコリックなサウンド・スケープに仕上がっており、神秘的な美しさを感じることができる。(對馬)

105. WL – ADHD

Label – Forced Exposure / Beacon Sound
Release – 2020/11/13

アメリカ・オレゴン州ポートランド出身のドリームポップ・バンド、WLによる1stアルバム。ミニマルで幻想的なシンセとウィスパー・ヴォイスがMr Twin Sisterの影響を感じさせる、というよりは彼らの遺伝子を継ぐバンドと見るべきか。比較するとよりディープな瞑想性が感じられ、現在のドリームポップ・シーンの深化を伺わせる。(鴉鷺)

104. Ivan Arturo Principe – Cerulean

Label – Galaxy Train
Release – 2020/09/04

ペルー出身、現在はアメリカ・ジョージア州アトランタを拠点に活動するIver Arturo Principeの1stアルバム。近年のベッドルーム・ポップに通底する洗練されたソングライティングとドリームポップの要素、適度に緩んだ感覚が同居する名作。隣接するジャンルだとMac Demarcoの洗練と緩さを想起した。(鴉鷺)

103. Drab City – Good Songs For Bad People

Label – Bella Union
Release – 2020/06/12

ドイツを拠点に活動する、ウィッチハウスのプロデューサーであるoOoOOとIsramiq Girlによるドリームポップ・デュオ、Drab Cityのデビュー・アルバム。タイトルが示唆する通り、ルードな精神性と恐らくサタニズム由来であろう甘い感覚が美しく響くドリームポップの名盤。適度に緩んだアンサンブルとそれと相反するような幻想性、フレンチ・ポップを連想する気怠い楽曲がこのアルバムの異色性を際立たせている。(鴉鷺)

102. Shedfromthebody – A Dead and Aimless Hum.

Label – Self Released
Release – 2020/05/17

フィンランド発、ドゥームゲイズを掲げるShedfromthebodyによる1stアルバム。呪詛と聖性が入り混じるようなサウンドと幻想的なヴォーカル、重く引きずる楽曲がシューゲイザーとドゥームメタルの融解を示していて、個人的に今年何度も聴き返したアルバム。1X4X44R名義で展開されるヴォーカルによるダークウェイヴ・プロジェクトも必聴。(鴉鷺)

101. EASTOKLAB – Fake Planets

Label – UK.PROJECT
Release – 2020/06/03

名古屋を拠点に活動する4人組、EASTOKLAB(イーストオーケーラボ)の最新作。シューゲイザーやドリームポップ、ビート・ミュージックなどから影響を受けたサウンドを軸に、これまで以上に躍動感のあるギタープレイを展開。日常に潜む喪失感を浮き彫りにしながらも、その先にある希望からは決して目を逸らさない強さが垣間見える詞作が美しい。リングウェアを模したジャケットも凝っている。(對馬)

100. Tales of Murder and Dust – Fragile Absolutes

Label – HPNG Records
Release – 2020/05/28

デンマークを拠点に活動するシューゲイザー/ポストロック・バンド、Tales of Murder and Dustの3rdアルバム。ポストロック系統のシューゲイザーにネオフォークを掛け合わせたような作風というか、ゴシックで暗鬱な音楽が展開される異色のアルバムとなっている。全編を通じてダークなアンビエンスが感じられる点も好印象。(鴉鷺)

99. Song Sung – This Ascension is Ours

Label – Night Time Stories
Release – 2020/07/31

ニューヨークを拠点に活動するドリームポップ・バンド、Song Sungの1stアルバム。Beach House以降の王道を行くドリームポップで、そこから更に緩さとヴォーカルのディープさを飛躍させたような優れた内容。「The Mind’s Eye」のソフトロック的なアレンジと多幸感が素晴らしかった。(鴉鷺)

98. みにくいうさぎの子 – Colors

Label – Self Released
Release – 2020/01/06

日本のボカロP/シューゲイザー・プロジェクト、みにくいうさぎの子による1stアルバム。幻想的な轟音シューゲイズ「犬と羊」で幕を開け、cruyff for the bedroomを彷彿とさせる「monochrome」、幻想文学のような詩世界の「alita」を迎え、感情に直截的に訴えかける「憧憬」でピークを迎える今作は、サウンドも詩も含めてボーカロイドによるシューゲイザーの最高到達点の一つ。なお、全編に渡って採用されているヴォーカロイドは彩音ゆめ。(鴉鷺)

97. Mumrunner – Valeriana

Label – Shelflife Records / Through Love Records
Release – 2020/03/27

フィンランド出身の男女混合シューゲイザー・バンド、Mumrunnerの1stアルバム。過去作のパンキッシュな部分は後退し、メランコリックな音像がアルバム全体を貫く。リヴァーブが持つサッドネスな雰囲気を味わいたいならこの一枚。(對馬)

96. Soft Kill – Premium Drifter (Demo)

Label – Self Released
Release – 2020/04/14

アメリカ・オレゴン州ポートランドを拠点に活動するダークウェイヴ/シューゲイザー・バンド、Soft Killのデモ音源集。硬質なダークウェイヴを展開していたバンドによるシューゲイザー路線への転身がうかがえる。今年は多くのポストパンク×シューゲイザー的な音楽性の作品がリリースされたが、その中でも生え抜きの内容という印象。硬質なビートと幻想的なギターに撃ち抜かれる。(鴉鷺)

95. GRMLN – Morning Star

Label – Yoodoo Park
Release – 2020/07/01

京都出身、オーストラリアを拠点に活動するGRMLN(グレムリン)の最新作。氏の作品に通底して流れるノスタルジーや優しさ、温かさやメランコリーが美しい名作。(鴉鷺)

94. FEWS – Dog E.P.

Label – Hello Dog
Release – 2020/07/03

スウェーデン・マルメを拠点に活動するポストパンク・バンド、FEWSの最新EP。性急なビートとリヴァーブの効いた音像、そしてダウナーなヴォーカルでポストパンクとシューゲイザーを折衷した良作。(對馬)

93. GRAZER – Grazer

Label – Self Released
Release – 2020/07/23

オーストラリア・メルボルンを拠点に活動するドリームポップ・バンド、GRAZERの1st EP。多幸感と幻想性を感じる優れたドリームポップ。全体的にアコースティックな感触でFor Caspianに通じる感性を感じる。ロックダウン中に制作されたとのこと。(鴉鷺)

92. Sea Oleena – Weaving a Basket

Label – Self Released
Release – 2020/10/31

カナダを拠点に活動するシンガーソングライター、Sea Oleenaによる2ndアルバム。1stアルバムは二枚のEPをまとめたもので、正式なフルアルバムは今作が初となる。ドリームポップ×フォーク的でGrouperに通じるような音楽性で今年の愛聴盤。(鴉鷺)

91. littlegirlhiace – TELEWORK

Label – Self Released
Release – 2020/04/23

日本で活動するソロ・プロジェクト、littlegirlhiace(リトルガールハイエース)の3rdアルバム。「人に興味を抱けない/なるべくなら会話したくない」というアルバムの開幕を告げる厭世的なリリックを聴いた瞬間に心を奪われた。その後もアルバムのピークだと思われる「girlfriend insomnia」、同名のアニメから着想を得たであろう「SCHOOL DAYS」、承認願望を扱ったノイジーな「悲しみたい症候群」など名曲が続く。ART-SCHOOLやSyrup16g、スピッツの系譜に連なる憂鬱なロックであり秀逸なシューゲイザー。(鴉鷺)

90. Wednesday – I Was Trying to Describe You to Someone

Label – Orindal Records
Release – 2020/02/07

アメリカ・ノースキャロライナ州を拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Wednesdayの2ndアルバム。グランジの影響と淡いポップセンスが溶け合うような内容で、特に一曲目「Fate is…」のインパクトが凄まじかった。へヴィー・ミュージック路線のシューゲイザー愛好家にもインディー・ロック系統のファンにもおすすめできそうな一枚。(鴉鷺)

89. Skullcrusher – Skullcrusher

Label – Secretly Canadian
Release – 2020/07/24

アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動するドリームポップ・バンド、Skullcrusherの1st EP。ドリームフォークとでも言うべき幻想的なアコースティック・ギターとヴォーカルが重なる内容で、ドリームポップとしての純度や強度も素晴らしく、フォーク・アルバムとして聴いても完成度の高い名EP。(鴉鷺)

88. Songs of Green Pheasant – When The Weather Clears

Label – Rusted Rail
Release – 2020/12/04

UK・シェーフィールド出身のアーティスト、Duncan Sumpnerによるソロ・プロジェクト、Songs of Green Pheasantの最新アルバム。丁寧にギターが爪弾かれるドリーミーな音響フォーク的サウンド・スケープが美しい。ちなみに彼は学校の教師としての顔も持つらしい。(對馬)

87. Fearing – Shadow

Label – Funeral Party Records
Release – 2020/04/10

アメリカ・カリフォルニア州を拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Fearingの1stアルバム。ポストパンク系統のシューゲイザーを展開するバンドの中でもよりその方面に寄っているというか、イアン・カーティスを彷彿とさせるヴォーカルと洒脱なサウンドが交錯する内容で素晴らしかった。「Catacombs」は必聴。(鴉鷺)

86. Kensei Ogata – Things I Know About Her

Label – Self Released
Release – 2020/04/16

ケーブル製作やレコーディング・エンジニアとしても活躍するKensei Ogataの2ndアルバム。2012年リリースの宅録アルバム『Her Paperback』以来となる本作では、バンド・アレンジで再構築された「Her Twinkle Eyes」に代表されるように、多彩なゲストを迎えたことで肉体性を増した楽曲郡を収録。曇り空も吹き飛ばす眩しいギターポップ・アルバム。初期スピッツのような無邪気さも。(對馬)

85. Sitcom Arch Nemesis – Transit Authority Gothic

Label – am pop
Release – 2020/11/06

アメリカ・ワシントン州シアトル出身のシューゲイザー・バンド、Sitcom Arch Nemesisによる最新アルバム。ゴシックなポストパンク×轟音シューゲイザー的な音楽性とインディー・ロックに寄った楽曲が素晴らしく、特にシングルカットされた「Nothing There」「The Belittling of The Ox」「Deaf」辺りの楽曲を推しておきたい。(鴉鷺)

84. My Lucky Day – My Lucky Day

Label – Self Released
Release – 2020/05/23

熊本を拠点に活動するシューゲイズ・ポップ・バンド、My Lucky Dayの1st EP。ミックスとマスタリングは同郷のKensei Ogataによるもの。真夏の日差しのように降り注ぐキラキラしたシューゲイズ・サウンドと、まるで蜃気楼に溶け込んでいくかのような儚い歌声。「甘酸っぱい」という形容のど真ん中を突くそのサウンドは、初期のThe Pains of Being Pure at Heartを想起させる。(對馬)

83. White Poppy – Paradise Gardens

Label – Not Not Fun
Release – 2020/08/18

カナダ産ドリーム・ポップ・バンド、White Poppyの5thアルバム。ニューエイジとドリームポップが高水準に溶け合った内容で、個人的に初期Jerry Paperのリラックスした感覚を想起した。(鴉鷺)

82. As Real – Marveless

Label – Camel Emote Records
Release – 2020/06/19

アメリカ・メイン州を拠点に活動するシューゲイザー・バンド、As Realによる1stアルバム。ハードコアやニューメタルとの混合物としてのシューゲイザーというか、近い音楽性を提示するバンドの中でも一際ダウナーでへヴィーな音楽性を体感できる名盤。(鴉鷺)

81. Kagami Smile – Lost Reflection

Label – Pure Life Records
Release – 2020/08/31

詳細不明のアーティスト、Kagami Smileの新作アルバム。Lovesliescrushingにも通ずるドローン〜アンビエント・ミュージックは、ぼんやりと物事の境目を無くしていき、意識さえも奪ってしまうような深遠さに満ちている。(對馬)

80. Deserta – Black Aura My Sun

Label – felte
Release – 2020/01/17

アメリカ・ペンシルヴァニア州出身のポストロック・バンド、Saxon Shoreのギタリストによるシューゲイザー・プロジェクト、Desertaの1stアルバム。ポストロック由来の空間性とシューゲイザーの幻想的な要素が溶け合った内容で、全編を貫く耽美な感性にやられた一枚。この系統のシューゲイザーの中でも生え抜きの内容。(鴉鷺)

79. Yppah – Sunset in the Deep End

Label – Future Archive Recordings
Release – 2020/02/07

シューゲイザーからブレイク・ビーツまで行き来するJoe Corrales Jr.のプロジェクト、Yppah(イパ)の最新作。エレクトロ・シューゲイズに接近した端正なサウンドを聴かせ、冷ややかでありながらも独特な心地良さをまとったアルバム。幾何学的かつグロテスクなジャケットも、一聴しただけでは核心までは触れることができない作品の不可思議さを示しているかのよう。(對馬)

78. Harvey Waters – Air Sits Heavy

Label – Mivernation Circle
Release – 2020/10/01

アメリカ・イリノイ州シカゴを拠点に活動するドリームポップ・バンド、Harvey Watersの最新アルバム。シカゴ音響派にも通じる丁寧な音響処理とドリーミーでインディー・ロック的なサウンドが素晴らしかった。今年の隠れた名盤。(鴉鷺)

77. Staring Problem – Eclipse

Label – Modern Tapes
Release – 2020/09/23

アメリカ・イリノイ州シカゴを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Staring Problemの最新アルバム。直球のポストパンク系統のシューゲイザーで、その周辺のアーティストと比較するとルードでニューウェイヴに寄っているのが特徴だろうか。パンキッシュな女性ヴォーカルが素晴らしく、繰り返し聴いた一枚。(鴉鷺)

76. Andy Bell – The View from Halfway Down

Label – Sonic Cathedral / Tugboat Records
Release – 2020/10/09

UK・オックスフォード出身のシューゲイザー・バンド、Rideのギター/ヴォーカルであるアンディ・ベルのソロデビュー作。50歳という人生の節目を迎え、これまで影響を受けてきたサウンドを還元し、自身の音楽人生を総括する内容。ソフト・サイケ的アプローチが中心だが、エレクトロニックなサウンド要素は、Rideの『This Is Not a Safe Place』収録の「Repetition」に通ずる部分も。(對馬)

75. Nuit – In My Nature

Label – DELTAHEDRON
Release – 2020/06/17

東京を拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Nuit(ニュイ)の2nd EP。轟音シューゲイザーの幻想と日本語ロックの叙情を同時に感じるような素晴らしい音楽で、今年一年を通して愛聴したEP。一曲目の「Forget-me-not」から心を掴まれる。(鴉鷺)

74. Spunsugar – Drive-Through Chapel

Label – Adrian Recordings
Release – 2020/10/02

スウェーデン出身、コーデリア・モローとエリン・ラムステットによるシューゲイザー・ユニット、Spunsugarの1stアルバム。Curveにポストパンクと過剰なノイズをミックスして現代的にアップデートしたような音楽性と洗練されたポップセンスが光る楽曲が、完成度の高いシューゲイザーとして本作を決定付けている。実際本国では前述したCurveやRingo Deathstarrと比較されることが多いらしく、その事実にも納得の内容。(鴉鷺)

73. Ingrina – Siste Lys

Label – A Tant Rêver Du Roi / Medication Time Records / Tokyo Jupiter Records
Release – 2020/11/27

フランスを拠点に活動するポストメタル/ブラックゲイズ・バンド、Ingrinaの2ndアルバム。ポストメタルを基盤にエッセンスとしてのシューゲイザーを取り入れた作風で、荘厳なドラマ性と全編を貫く叙情が美しい一枚。耽美極まりないポストメタル。(鴉鷺)

72. No Joy – Motherhood

Label – Joyful Noise Recordings
Release – 2020/08/21

カナダ出身のシューゲイザー・ユニット、No Joyの最新アルバム。クラブ・ミュージック譲りのダンサブルな打ち込みトラックが印象的なエレクトロ・シューゲイザーが全編を通して貫かれたゴキゲンな一枚。Primal Screamの『Screamadelica』が引き合いに出されるのも納得。(對馬)

71. M!R!M – The Visionary

Label – Avant! Records
Release – 2020/01/31

UK・ロンドンを拠点に活動する、ダークウェイヴ・プロジェクトからドリームポップへ転身を遂げたM!R!Mによる3rdアルバム。依然としてダークな感覚は健在で、そのゴシック性とドリームポップの幻想が溶け合った内容はシーンを見渡しても異色と言える。個人的に「Crucifix and Roses」の80’s感がある展開が良かった。(鴉鷺)

70. Melenas – Dias Raros

Label – Trouble In Mind Records
Release – 2020/05/08

スペイン発のインディーロック・バンド、Melenasの最新アルバム。タイトルは「Strange Days」を意味するスペイン語。Peel Dream Magazineの最新作とも呼応する初期Stereolabの感触をベースに、サイケやシューゲイザー、インディーロックなどを織り交ぜたサウンドがクセになる良作。(對馬)

69. Linda Fog – Linda Fog

Label – Self Released
Release – 2020/05/10

ロシア・サマラを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Linda Fogの1st EP。一聴して分かる楽曲の飛び抜けたレベルの高さと、どこか冷たさを感じる轟音に撃ち抜かれた一枚。「Fields」が特に素晴らしかった。(鴉鷺)

68. Last Victorian Death Squad – LVDS

Label – Shore Dive Records
Release – 2020/12/12

ラトビアの首都リガおよびUK・リーズを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Last Victorian Death Squadの最新EP。耳をつんざく暴力的なノイズと、それを打ち破る力強いヴォーカルの対比が面白い。この手のバンドにしては珍しいほどメロディアスなのもシーンの特異点だろうか。(對馬)

67. En Attendant Ana – Juillet

Label – Trouble In Mind Records
Release – 2020/01/24

フランス・パリを拠点に活動するドリームポップ・バンド、En Attendant Anaの2ndアルバム。全編を通じて牧歌性とフランスのバンドらしい洒脱さを感じる作品で、今年上半期にリリースされたドリームポップだと特に印象深い音源。周辺ジャンルをあまり聴き込んでいない方にもおすすめしたい親しみやすさを感じる。(鴉鷺)

66. Iress – Flaw

Label – Self Released
Release – 2020/09/18

アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動するドゥームゲイズ・バンド、Iressの最新アルバム。いわゆるドゥームゲイズのバンドの良い意味でダーティなサウンドとは違う趣で、前面に押し出されている女性ヴォーカルが象徴するようにエモーショナルで耽美な作品として顕れている。シングルトラックである「Underneath」のスローで退廃的かつ夢想的な雰囲気が素晴らしい。(鴉鷺)

65. Laveda – What Happens After

Label – Color Station
Release – 2020/05/29

アメリカ・ニューヨーク州オールバニーを拠点に活動するドリームポップ・バンド、Lavedaの1stアルバム。シンセポップを取り入れた都会的なドリームポップで、先行するバンドだとYumi Zoumaを想起する内容だが、よりギターポップに寄っており、直截的に感情が表現されているのが聴き取れる。名盤。(鴉鷺)

64. Moon In June – 海鳴り / uminari

Label – Self Released
Release – 2020/08/18

東京を拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Moon In Juneの1st EP。直球のシューゲイザーとしても歌ものとしても素晴らしい作品で、個人的に今年愛聴した一枚。透明感あふれるサウンドが好きな方は特に気に入るのではないだろうか。(鴉鷺)

63. Seasurfer – Zombies

Label – Reptile Music
Release – 2020/12/11

ドイツ・ハンブルクを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Seasurferの3rdアルバム。優れた轟音シューゲイザーを展開していたバンドがCurveやポストパンクの影響を取り入れた意欲作。全体的にゴスなサウンドで埋め尽くされていて、新鮮さと感動を同時に覚えた。キャッチーなポップセンスは健在。(鴉鷺)

62. Ferri-Chrome – from a window

Label – TESTCARD RECORDS
Release – 2020/04/02

Mica FlakesやShortcut Miffy!などの活動でも知られるクロゴメ率いる新バンド、Ferri-Chrome(フェリ・クローム)のデビュー作。マスタリングはKensei Ogataによるもの。RideやTeenage Fanclubといった90年代のシューゲイザー〜ギター・ポップを想起させる、青空に吸い込まれていくようなサウンドが胸を締めつける。なお、本作レコーディング後にはeureka(For Tracy Hyde)が加入。(對馬)

61. Ecke Wu – 表演 Performance

Label – Self Released
Release – 2020/06/01

中国・上海を拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Forsaken AutumnのヴォーカルであるEcke Wuによるソロ・プロジェクト最新作。ある種の憂鬱を抱えるバンド名義の音源と比較すると、より華やかかつドリームポップ的で、同時にフォークへの志向を持った音楽性に憂いや痛みが溶けて行くような感覚を覚える。スローな幻想に引き込まれる一枚。(鴉鷺)

60. SACOYANS – Yomosue

Label – MULTIPLE RECORDS
Release – 2020/09/16

福岡を拠点に活動するオルタナティヴ・ロック・バンド、SACOYANS(サコヤンズ)の1stアルバム。Twitterのプロフィールを見ると「もうほとんどスマパンなんじゃないか?の疑い色濃いバンド」と半ば自虐的(?)だが、90年代のオルタナティヴ・ロックの影響をうかがわせる厚みのあるギターサウンドはシューゲイズ・ファンにも刺さるだろう。一捻りのユーモアも良い味を出している。(對馬)

59. Letters To Annika – Letters To Annika

Label – Froth Records
Release – 2020/05/13

For Tracy Hydeの夏botによるソロ・プロジェクト、Letters To Annikaの1st EP。Captured Tracksがある種の「呪縛」とも言えるような影響力を発揮している昨今のシーンだが、そんなものを吹き飛ばすほどの直球ぶりに爽快感すら覚える。油断すればDIIVの新作かと耳を疑ってしまうほど、そのサウンド・メイキングを忠実に再現した意欲作。(對馬)

58. Kidbug – Kidbug

Label – Joyful Noise Recordings
Release – 2020/05/22

Eerie Wanda、Dumb Numbers、Swans、Best Coastのメンバーによる新バンド、Kidbugのデビュー・アルバム。USオルタナらしいダイナミックなアンサンブルを軸に、シューゲイザー経由のノイズや揺らめき、ドリーミーな繊細さなど多彩なサウンドを展開。特に「Woozy」は『Isn’t Anything』期のMy Bloody Valentineに肉薄するアブストラクトな危うさを放つ名曲。(對馬)

57. Voight – Voight

Label – Self Released
Release – 2020/12/11

アメリカ・コロラド州デンバーを拠点に活動するシューゲイザー/ダークウェイヴ・バンド、Voightの1stアルバム。ダークウェイヴ由来の硬質なビートや音響と、シューゲイザー由来の深いリバーブが絡む内容で、今年のこの系統のバンドの中でも特に優れている。「Concrete Teeth」「Design Interest」の二曲を推しておきたい。(鴉鷺)

56. FOG – Fogesque

Label – Self Released
Release – 2020/11/16

韓国出身のシューゲイザー・バンド、FOGによる1stアルバム。とにかく浮遊感とポップセンスが強烈なアルバムで、DIIVやbdrmm(ベッドルーム)を彷彿とさせる単音のリフを展開しつつも独創的な内容というか、より幻想味の強い内容となっている。キャッチーな「Space Space Space Shuttle」が素晴らしかった。(aro)

55. RAY – Pink

Label – DISTORTED RECORDS
Release – 2020/05/23

アイドル・グループ、RAYの1stアルバム。代名詞と言えるシューゲイザーを中心に、エモやメロディック・パンク、ハードコアといったサウンドを詰め込み、ジャケットもRide『Nowhere』のオマージュなど、リファレンスへの愛がほとばしる。夏bot(For Tracy Hyde)、ハタユウスケ(cruyff in the bedroom)、エリオット・フレイザー(Ringo Deathstarr)、Hiroyuki Imamura(The Florist)など作家陣も多彩で、特にセンチメンタリズム溢れる「バタフライエフェクト」は白眉の出来。・・・・・・・・・の楽曲を再録した点も涙を誘う。アイドルがシューゲイザーを歌うことの必然性を証明する一枚。(對馬)

54. kiwi – Before you’re gone

Label – Dead Funny Records
Release – 2020/08/05

東京を拠点に活動するシューゲイザー・バンド、kiwi(キウイ)のデビュー・ミニアルバム。初期のRideを彷彿とさせる突き抜けるような青さと、DIIVなどに代表されるCaptured Tracksのバンド群から受け継いだドリーミーで風通しの良い音像が心の琴線を揺さぶる。絶妙なニュアンスでまとめ上げた繊細で陶酔感の強いシューゲイズ・サウンドは、レコーディング・エンジニアを務めたKensei Ogataの手腕によるところも大きいか。(對馬)

53. Lúa Gramer – Destruir el Pop

Label – Clifford Records
Release – 2020/02/14

スペイン・バダホスを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Lúa Gramerの1stアルバム。インディー・ポップの聖地スペインらしいポップセンスが光る一枚で、それと同時に轟音シューゲイザーでもある素晴らしい作品。(鴉鷺)

52. Show Me A Dinosaur – Plantgazer

Label – Self Released
Release – 2020/12/04

ロシア・サンクトペテルブルグを拠点に活動するブラックゲイズ・バンド、Show Me A Dinosaurの4thアルバム。デジタル限定のリリースとなっている。『Plantgazer』というタイトルの通り荒涼としていた旧作と比較すると穏やかな情景が見えるというか、よりシューゲイザーに接近した内容になっている。個人的に衝撃を受けた名盤。(鴉鷺)

51. Soft Blue Shimmer – Heaven Inches Away

Label – Disposable America
Release – 2020/11/27

アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Soft Blue Shimmerの1stアルバム。前作のEPの段階で素晴らしいドリームポップを提示していたが、今作でロマンティックな方向に更に飛躍。リリース当初から愛聴している名盤。(鴉鷺)

50. Indoor Voices – Animal

Label – Self Released
Release – 2020/02/14

カナダ・オンタリオ州トロントを拠点に活動するJonathan Relphによるソロ・プロジェクト、Indoor Voicesの最新アルバム。聴覚を包み込む柔らかいシューゲイズ・サウンドがただならぬ陶酔感をもたらす作品。その神秘的な音像はLoveliescrushingの系譜とも捉えられそうだ。なお、マスタリングにはSlowdiveのSimon Scottが参加している。(對馬)

49. STAR – Violence Against STAR

Label – Half A Cow Records
Release – 2020/10/23

アメリカ・イリノイ州シカゴを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、STARの2ndアルバム。AstrobriteやLovesliescrushingの活動で知られるScott Cortezが参加している。一曲目の「Angel School Anthem」の文字通りアンセムらしさに撃ち抜かれ、「Cruel 13」ではAstrobriteの名曲「Crusher」のリフを引用しており、完全にやられた一枚。今までの作品を通して聴いても傑作。(鴉鷺)

48. Devon Williams – A Tear in the Fabric

Label – Slumberland Records
Release – 2020/05/01

アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動するドリームポップ・バンド、Devon Williamsの最新アルバム。Wild Nothingに近いドリームポップとポップな系統の80’sニューウェイヴをクロスオーバーさせたようなサウンドと、高揚感がある楽曲が素晴らしかった。洗練とポップセンスが冴える一枚。(鴉鷺)

47. RiLF – My Beloved Farewell

Label – Ricco Label
Release – 2020/10/02

日本を拠点に活動する、matryoshkaのヴォーカリストであるCaluとAnoiceのメンバーで構成されるエレクトロニカ/ポストロック・プロジェクト、RiLFの2ndアルバム。轟音シューゲイザーである「Count4」、美しいエレクトロニカ「soraninaru」、ポストロック的な「Never Ending Dream」など名曲揃いの素晴らしいアルバムで、一年を通じて愛聴した一枚。先行リリースの段階で衝撃を受けたのが記憶に新しい。(鴉鷺)

46. Zoon – Bleached Wavves

Label – Paper Bag Records
Release – 2020/06/19

カナダ・オンタリオ州ハミルトンを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Zoonの1stアルバム。強烈なサイケデリアと現実からある意味でかけ離れた世界が音楽によって提示されていて、聴いている間は白昼夢を見ているような感覚に襲われた。全体を貫く耽美性とシューゲイザーへの偏愛に心揺さぶられる名盤。(鴉鷺)

45. Postcards – The Good Soldier

Label – T3 Records
Release – 2020/01/03

レバノンを拠点に活動するドリームポップ・バンド、Postcardsの2ndアルバム。幽玄な男女ツイン・ヴォーカルと完成度の高い楽曲に心を奪われる。全編を通じて死の気配や仄暗い感覚が漂っているのはレバノンの情勢も関係しているのだろうか。(鴉鷺)

44. The Brother Kite – Make It Real

Label – Light Fighter Records
Release – 2020/08/14

アメリカ・ロードアイランド州プロビデンスを拠点に活動する、一部のリスナーから新作が待望されていたThe Brother Kiteによる新作フルレングス。過去作から優れたシューゲイザーを展開しているが、今作は一切の闇を感じさせないポップに突き抜けたサウンドと楽曲で新境地へと飛躍したことをうかがわせる。今年のリリースの中でも屈指の名盤。(鴉鷺)

43. Monday – Room for All

Label – Street Mission Records
Release – 2020/02/28

ポルトガル・リスボンを拠点に活動する姉妹フォーク・デュオ、Golden SlumbersのCat Falcãoによるソロ・プロジェクト、Mondayの最新EP。これぞドリーム・フォークと言うべきソフトな感触のギターと艶やかなヴォーカルに心酔必至。晴れた午後のまどろみを誘うような音像が心地良い作品。(對馬)

42. Surf Rock is Dead – Existential Playboy

Label – Self Released
Release – 2020/05/01

アメリカ・ニューヨークのブルックリン発シューゲイザー/ドリームポップ・バンド、Surf Rock is Deadによる1stアルバム。Captured Tracksのアーティストを一聴した段階で想起するような、感傷的で美しいシューゲイザー。作品に通底するメランコリーと奥行きが素晴らしかった。(鴉鷺)

41. 死んだ僕の彼女 – shaman’s daughter

Label – n_ingen record
Release – 2020/11/11

関東を中心に活動するノイズポップ・シューゲイザー・バンド、死んだ僕の彼女の新作ミニアルバム。2021年公開予定の映画『シャーマンの娘』のコンセプト・アルバムとして制作されたが、ノイジーなシューゲイズ・サウンドと極度に低体温なヴォーカルはそのままで、変わらぬ存在感を見せつけている。ちなみに本作のエンジニアとして、かねてより死んだ僕の彼女のファンだったKensei Ogataが参加。(對馬)

40. City Flanker – The Journey To City Flanker

Label – RubyEye Records
Release – 2020/04/09

中国の紹興市を拠点に活動するチルウェイヴ/ドリームポップ・バンド、City Flankerによる2ndアルバム。ヴェイパーウェイヴに近しい感覚のシンセ・ポップ×シューゲイザーの幻想という、新鮮で鮮烈なサウンドが美しい名作。「戀愛症候群」の甘美なエレジーと全体的な楽曲の完成度の高さに撃ち抜かれる。(鴉鷺)

39. Ringo Deathstarr – Ringo Deathstarr

Label – Club AC30 / Vinyl Junkie Recordings
Release – 2020/02/05

アメリカ・テキサス州オースティン出身のシューゲイザー・バンド、Ringo Deathstarrの約5年ぶりとなる最新アルバム。ダイナミックな音像やトレモロ・アーム奏法など「らしい」サウンドは健在だが、一方で内省的な美意識が感じられる楽曲も多く、全体を通してこれまで以上にドリーミーで耽美的な雰囲気をまとった点が新鮮。冒頭を飾るインスト曲のタイトルが「Nagoya」など、日本への愛も相変わらず。(對馬)

38. Floral Tattoo – You Can Never Have a Long Enough Head Start

Label – Self Released
Release – 2020/01/03

アメリカ・ワシントン州カークランド出身のエモ・シューゲイズ・バンド、Floral Tattooによる2ndアルバム。エモの親しみやすさやポップセンスと、シューゲイザーの爆発するエモーションや幻想性が調和したこの音楽が示すのは、へヴィー・ミュージックとしてのエモではなくポップ・ソングとしてのエモへの温かな眼差しだろう。感情の極点が記録された名盤。(鴉鷺)

37. PLASTIC GIRL IN CLOSET – DOWN TONE

Label – SAT RECORDS
Release – 2020/09/23

岩手在住の3人組シューゲイザー・バンド、PLASTIC GIRL IN CLOSETの6年ぶりとなる最新アルバム。これまでも類まれなポップセンスを披露してきたが、その純度は過去最高レベルだろうか。大胆にピアノを導入するなどサウンド・プロダクションは洗練を極め、彼らのアイデンティティでもある美しいメロディを際立たせており、その解像度の高さには舌を巻くばかり。(對馬)

36. DEATHBED – Strange attractor

Label – Self Released
Release – 2020/07/02

日本を拠点に活動するブラックゲイズ・バンド、DEATHBEDによる3rdアルバム。デプレッシヴ・ブラックメタルの影響が色濃い国産ブラックゲイズの名盤。透徹したギターと楽曲の各所に見られる暴発するような美しいパートが魅力的で個人的に今年聴き込んだ一枚。(鴉鷺)

35. Winter – Endress Space (Between You & I)

Label – Bar/None Records
Release – 2020/07/24

アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動するブラジル出身のシンガーソングライター、Samira Winterによるドリームポップ/シューゲイザー・プロジェクト、Winterの最新アルバム。どこかトロピカルな雰囲気を醸し出す甘いドリームポップ・サウンドの心地良さは何にも代え難いものがある。キュートなルックスはビリンダ・ブッチャー(My Bloody Valentine)やアレックス・ゲーリング(Ringo Deathstarr)などと並ぶシューゲイズ・アイコンとしても申し分ない。(對馬)

34. TOPS – I Feel Alive

Label – PLANCHA / Musique TOPS
Release – 2020/04/03

カナダ・ケベック州モントリオールを拠点に活動するドリームポップ・バンド、TOPSの4thアルバム。洒脱で洗練された作風で、特に「Colder & Closer」のキャッチーな美メロに撃ち抜かれた。ポップセンス溢れるドリームポップがお好きな方におすすめしたい一枚。(鴉鷺)

33. Kevin Krauter – Full Hand

Label – Bayonet Records
Release – 2020/02/28

アメリカ・インディアナ州を拠点に活動し、ドリームポップ・バンド、HoopsのギタリストでもあるKevin Krauterの2ndアルバム。前作『Toss Up』に引き続きシティポップの影響下にあるドリームポップを展開しつつグランジの影響を織り交ぜた作風で、リリース当初から話題を集めたのも納得の名盤となっている。骨太で洒脱なドリームポップ。(鴉鷺)

32. Modern Color – From The Leaves of Your Garden

Label – Other People Records
Release – 2020/07/10

アメリカ西海岸出身のシューゲイザー・バンド、Modern Colorの最新アルバム。他のハードコア・シューゲイズのバンドと比較するとよりポスト・ハードコアに寄った音楽性で、洗練と激情が交錯する様を体感出来る一枚。内省的な側面もある優れたシューゲイザー。(鴉鷺)

31. Ellis – Born Again

Label – Fat Possum Records
Release – 2020/04/03

カナダ・オンタリオ州ハミルトンを拠点に活動するシンガーソングライター、Linnea Siggelkowのソロ・プロジェクト、Ellis(エリス)のデビュー・アルバム。ドリームポップをサウンドの基調としながらも、あくまで中心にあるのは彼女のヴォーカルであり、その音像からLinnea Siggelkowという一人の人物の内面が浮かび上がってくる。『Born Again』というタイトルが示している通り、音楽を通して自己を見つめる内省的な美しさを放つ作品。(對馬)

30. Amusement Parks On Fire – Thankyou Violin Radiopunk

Label – Self Released
Release – 2020/05/04

UK・ノッティンガム出身のエモ・シューゲイザー・バンド、Amusement Parks On Fireの最新作。フィジカルはアナログで88枚限定リリース。爽快なエモ・シューゲイザーで、今年一年を通して愛聴していた。ブレない軸とエモ精神が美しい一枚。(鴉鷺)

29. Choir Boy – Gathering Swans

Label – Dais Records
Release – 2020/05/08

アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティを拠点に活動するドリームポップ・バンド、Choir Boy(クワイア・ボーイ)の2ndアルバム。前作『Passive with Desire』の耽美なドリームポップ路線も素晴らしく愛聴していたが、今作の80’s路線への転換も素晴らしかった。何よりヴォーカルが美しい。(鴉鷺)

28. Charlotte is Mine – SOMEDAY IN THE BREAKFAST

Label – FLAKE SOUNDS
Release – 2020/12/02

関東を拠点に活動するnana furuyaのソロ・プロジェクト、Charlotte is Mine(シャーロット・イズ・マイン)の2ndアルバム。インディーロックをベースに、ドリームポップやエモなどを織り交ぜたソフトなサウンドは前作よりも明らかに洗練され、アレンジの幅も広がり、ジャンルレスな軽やかさに満ちている。芯のある美しいヴォーカルとの相性も抜群。(對馬)

27. クレナズム – eyes on you

Label – MMM RECORDS
Release – 2020/11/18

福岡出身の4人組バンド、クレナズムの新作ミニアルバム。耳馴染みの良いメロディ、溢れるリリシズム、そして透明感のあるヴォーカルといったバンド従来の魅力は過去最高点に達し、リズム隊も存在感を増した。未来が不確かだとしても確かな眼差しをそらさない「エピローグまで」「365」は圧巻。うねるシンセサイザーが印象的なエレクトロ・シューゲイザー「眩しくて」など、新境地的なアプローチも楽しい作品。(對馬)

26. Once Grace Forever – Live Today

Label – Self Released
Release – 2020/10/02

東京を拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Once Grace Foreverの3rdアルバム。bandcampに「Fighting for COVID-19 pandemic.」という記載があるように、目が覚めるような轟音と流麗なヴォーカルは残酷な現実と対峙し「今日を生きる」僕らの背中を押してくれる。その叙情性は揺らぎやRiLFなどとも共振するものだ。ベースの存在感が大きいのも好印象。(對馬)

25. Yumi Zouma – Truth or Consequences

Label – Polyvinyl Records
Release – 2020/03/13

ニュージーランド・クライストチャーチを拠点に活動するドリームポップ・バンド、Yumi Zoumaの3rdアルバム。耽美で内向的だった旧作と比較するとより外に向かっているというか、80’sシンセ・ポップの要素も含めて飛躍した印象を受けた。バンドの知名度や人気の向上も含めて重要な一枚。(鴉鷺)

24. Velveteen – Bluest Sunshine

Label – Shore Dive Records
Release – 2020/03/07

UK・ロンドンを拠点に活動するシューゲイザー・バンド、Velveteenの最新EP。耳を覆い尽くすギターノイズの壁と、その向こう側から微かに聴こえるウィスパー・ヴォイスという、まさにMy Bloody Valentineの『Loveless』を正統に受け継ぐ完成度の高いサウンドが楽しめる。本家よりマッシヴな一面は彼らなりのアイデンティティか。(對馬)

23. Peel Dream Magazine – Agitprop Alterna

Label – Tough Love Records
Release – 2020/04/03

アメリカ・ニューヨークを拠点に活動するインディーロック・バンド、Peel Dream Magazineの2ndアルバム。My Bloody Valentineから始まってポストパンクとStereolabを経由したような音楽性というか、暴力性とメロウな要素が混在していて個人的に何度聴いても飽きない名作。ジャングリーな1st『Modern Meta Physic』も名盤。(鴉鷺)

22. Yukla Down – In Memory Of

Label – Two Seven Heavy Industries
Release – 2020/02/27

東京を拠点に活動する多国籍シューゲイザー・バンド、Yukla Down(ユークラ・ダウン)の1stアルバム。過剰ではないリヴァーブにも関わらず確かに感じるシューゲイザー精神と幻想的な詩世界に心を奪われた名盤。ちなみに「Denali」には死んだ僕の彼女のギタリスト、kinoshitaが参加。(鴉鷺)

21. Povod – Пустой и бесполезный

Label – элек///чество
Release – 2020/09/23

ウクライナ出身のポストパンク・バンド、Povodの最新アルバム。シューゲイザーとポストパンクを折衷させるバンドは近年増加している印象だが、彼らはその中でも強い存在感を放っており、深くリバーブの効いたニューウェイブなギターとゴスなヴォーカルが織りなす彼らのサウンドに血湧き肉躍ること必至。さっぱり読めないキリル文字の異国感も、日本人としてはどうにも惹かれるポイント。(對馬)

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