Posted on: 2022年10月26日 Posted by: Sleep like a pillow Comments: 0

1991年にリリースされ、シューゲイザーの金字塔を打ち立てたMy Bloody Valentineの2ndアルバム『Loveless』。2021年11月でリリース30周年を迎えた本作を記念し、弊メディアでは「My Best Shoegaze」と題した特集記事を展開中。様々なリスナーを招き、各々が思うシューゲイザーの作品を5枚選出していただく。

【Feature】My Best Shoegaze

Vol.22は、11月16日に待望の3rdアルバム『(image for) drawing on canvas』をリリースする、SPOOLのこばやしあゆみが選ぶ5枚。

* * *

■ Deerhunter – Microcastle(2008)

Label – 4AD
Release – 2008/08/19

このアルバムを聴いたのは20歳くらいの時で、シューゲイザーやインディー・ロックにのめり込むきっかけとなったバンドのひとつでした。ふわふわと漂う幽玄なギター、危うい歌声とリズム、夢と現実の狭間にいるような気味の悪さ。まるで鈍器で頭を殴られたような、重くて鈍い痛みと衝撃……音楽を聴いてこんな感覚になるのは初めてでした。今でもその気持ちは色褪せることなく、好きな曲をかけていいよ、と言われたら「Agoraphobia」を流してしまうくらいには大好きなバンドだし、自分が音楽を作る上での血肉となっています。

■ M83 – Before the Dawn heals Us(2005)

Label – Gooom / Mute
Release – 2005/01/24

“もし宇宙にひとり身を投げ出されてしまったらこんな気持ちになるのかな?”とか“ロケットに乗って星空を永遠と旅してるんだなぁ……”とか、このアルバムを聴いていると、宇宙という無限で限りない存在に想いを馳せてしまいます。一瞬でここではないどこかへ連れて行ってくれるもの、音楽は自分にとっていつしかそういった認識となっていました。SPOOLの1stの「_ _ _ _ _ _ 」は宇宙などの目に見えないもの、存在しないものに対してのロマンやM83への思いをこめて実験的に作ってみたトラックです。

■ Beach House – Bloom(2012)

Label – Sub Pop
Release – 2012/05/15

ドリームポップな音楽は?と聞かれたら、私の中でパッと出てくるのはこの2人組です。Deperession Cherry の「Space Song」が一番大好きな曲なので迷いましたが、アルバム全体の空気感ということでこちらを選びました。中でもお気に入りは「Other People」です。魔法にかけられたように美しく響くメロディ、大人っぽく甘い歌声にうっとりして、思わずため息が出てしまいます。“いつかこんなトラックを自分も作ってみたい”と憧れずにはいられません。

■ Brian Eno – Ambient 1: Music For Airports(1978)

Label – Polydor
Release – 1978/03/??

彼はアンビエント・ミュージックの開拓者と言われていますが、音の空間を作り出すという点でシューゲイザーに近しいものを感じています。日常に疲れて頭の中をからっぽにしたい時に部屋の中でよく聴いているのがこのアルバム。ちなみに今年の夏、イーノのヴィジュアル・アート展「AMBIENT KYOTO」を観に行ったのですが、久々に視覚と聴覚が呼び覚まされた気がしました。便利さに慣れ、想像力をどんどん失っていく毎日の中でこういった体験は私にとって大切な瞬間でした。

■ My Bloody Valentine – Isn’t Anything(1988)

Label – Creation / Domino
Release – 1988/11/01

マイブラとの出会いはやはり『Loveless』で、初めて聴いた時、妙に落ち着くというかしっくりくる感じがしました。音楽を聴くという行為そのものを忘れ、陶酔し身体の中に深く沈んでゆく感覚、自分はこれを探し求めていたんだなぁと気付かされました。そこから他の作品も色々と聴き漁り、たどり着いたのは『Isn’t Anything』でした。変則的なリズムと実験的なギター・サウンド、メンバーの顔が白飛びしているジャケットなど、佇まいも含めてクールすぎる!と魅了されました。一番好きな曲は「Lose My Breath」です。不穏なコードと陰鬱で消えそうなビリンダのダウナーな歌声は、シューゲイザーという音楽の核心を突いていると思います。

文=こばやしあゆみ(SPOOL)
編集=對馬拓

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■ Release

SPOOL – (image for) drawing on canvas

□ Label – Self Released
□ Release – 2022/11/16

*先行配信(表題曲)
https://friendship.lnk.to/ifdoc_sg

■ Infomation

new you Vol.2(ZINE)
特集:SPOOL(仮)

Author

Sleep like a pillow
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