
神奈川県出身の気鋭作家、Asami TonoがEP『Paints』をSiren for Charlotteからリリースした。
Siren for Charlotteは、ミュージック・マガジンやレコード・コレクターズなどで執筆する音楽ライターで、『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』(DU BOOKS)の監修/編集も務める門脇綱生が提唱する、新時代に向けた審美眼/コレクトである「遠泳音楽」(Angelic Post-Shoegaze)をテーマとしたレーベル。Sleep like a pillowなど各所で音楽批評、ディスクレビュー、インタビューなどの活動を行う音楽ライター/歌人の黑田依直(旧:aro)が共同主宰として参加している。
Asami Tonoの最新EP『Paints』は、ポスト・クラシカルやエレクトロニカの余韻をまとい、還る場所と始まりの気配を音に託した作品。声は語らず、ただ気配として、聴く者の記憶と風景にそっと触れていく。沈黙と余白のうちに宿る祈りのような、小さな祝福の記録。アートワークのイラストは、まつりか まつこ によるもの。
■ Asami Tono コメント
普段、ピアノと歌の弾き語りなどを多く制作しているため、Siren for Charlotteさんが掲げている「遠泳音楽」、ポストシューゲイズをつくることはわたしにとって大きな挑戦でした。
はじめにイメージしたのは空、海、森など色彩の濃いモチーフだったため、まっさらなカンバスに絵の具を塗っていくように音を重ねていけたらと考えました。澄んだ⻘、霧のように漂う紫、みずみずしい緑など、色の中を泳ぐような心持ちで音を探し重ねていった楽曲たちです。
■ Siren for Charlotte コメント
ピアノと言葉が静かに寄り添い、夢の縁で音楽を紡ぐ気鋭作家。
神奈川の、名もなき朝の湿度のような気配のなかから、Asami Tonoの小品がひとひらの影のように立ち現れる。
それは音のかたちをした余白。
どこかで途切れた記憶の縁をなぞるように、ポスト・クラシカルやエレクトロニカ、ミニマリズムの残響を仄かに連れながら、名指しえぬ領分へと音は溶けていく。
海、空、森。
ひとはそれらに還り、また始まりを迎える。
その気配を綴るように、この作品は色と色のあわいに生まれる揺らぎを、何かに定めることなく描いていくのである。境界はおぼつかず、輪郭は呼吸のたびに失われ、やがて聴く者のなかに、それぞれの静かな風景として息づいている。
声は語るものではなく、気配としてそこに在る。
まなざしのように、あるいは遠い記憶の層に沈んだ微光のように。
望郷の影、呼びかけを失った祈り、ひそやかな別れの手つき。それらは音として名を持たず、森の奥深く、ふたたび芽吹く命の傍らに、ささやかな祝福として静かに置かれている。
沈黙のうちに響くものだけが、ほんとうに届くのかもしれない。
■ Release

Asami Tono – Paints
□ レーベル:Siren for Charlotte
□ 品番:SIREN:0019
□ 仕様:Digital
□ 価格:¥700
□ リリース:2025/05/09
□ トラックリスト:
1. Azure
2. Navy
3. Iris
4. Viridian
5. Rainbow
6. Beige
■ Siren for Charlotte
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