Posted on: 2021年3月19日 Posted by: Sleep like a pillow Comments: 0

1991年にリリースされ、シューゲイザーの金字塔を打ち立てたMy Bloody Valentineの2ndアルバム『Loveless』。2021年で30周年を迎える本作を記念し、弊メディアでは「My Best Shoegaze」と題した特集記事を不定期で連載する。SNS上の音楽フリークやライター、さらにはアーティストに至るまで、様々なシューゲイズ・リスナーに各々の思い入れの強い作品を紹介していただく。

Vol.3は、Juvenile JuvenileやWallflowerなどのメンバーとして知られ、現在はドリームポップ・デュオであるStill Dreamsとして活動する、Ryuta Wachiの5枚。

■ Letting Up Despite Great Faults – Letting Up Despite Great Faults(2009)

Label – New Words / Happy Prince
Release – 2009/10/13

ドリームポップというジャンルを知ったのは、この1stアルバムでした。バンド名や曲名、歌詞、アートワーク全てに統一された儚い美意識に圧倒されると同時に、自分もバンドをやりたい!と思ったきっかけの作品です。初めて「Our Younger Noise」のMVを観た時の、理想の世界を見つけたような感覚を覚えています。2014年に彼らと共演した際、僕が使っていたボロボロのジャズマスターをギター/ヴォーカルのマイクに貸したら音源そのままの音で演奏していて、自分のアンプやエフェクターのセッティングの甘さを痛感しました。

■ The Depreciation Guild – Spirit Youth(2010)

Label – Kanine Records / Fastcut Records
Release – 2010/10/08

一時期、The Pains of Being Pure at Heartにもドラムで参加していたカート・フェルドマンがギター/ヴォーカルを務めるバンドの2ndアルバム。リリースされた当時はまだジャンルのクロスオーバーが進んでおらず、シューゲイズ+チップチューン的なサウンドがとても新鮮に響き、いまだにそのロマンティックな音像に聴き惚れています。2016年にカートがIce Choirというバンドで来日公演したときは、本作収録の大名曲「Dream About Me」も披露してくれました。まさか以前のバンドの曲が聴けるとは思っていなかったので、とても嬉しいサプライズでした。

■ The Pains of Being Pure at Heart – Belong(2011)

Label – Slumberland Records
Release – 2011/03/28

多くの人々にとって特別なバンド、ペインズの2ndアルバム。「Heart in Your Heartbreak」は、僕がやっていたWallflowerというバンドで最初に合わせた曲の一つです。どの楽器を取っても音響処理が素晴らしく、ハイファイでクリアな音像のシューゲイズに衝撃を受けました。このアルバムがリリースされた年に僕たちはバンドを始め、最初の音源制作をしていました。この作品はもちろん目標の音源の一つになり、どんなミックスをすればこんなパンチのある音になるのか、ひたすら議論していました。

■ The Bilinda Butchers – Heaven(2014)

Label – Orchid Tapes / Fastcut Records
Release – 2014/07/15

江戸時代のカップルの物語をテーマにした1stアルバム。学生の頃、水泳後の歴史の授業中に居眠りした時に見る夢を思い出す、荒唐無稽かつ美しい世界を感じられるアルバムです。一つの絵巻を読んでいるような感覚を味わせてくれるこの作品は、曲単位ではなくアルバムという形態でリリースすることの意義を改めて認識させてくれました。2016年に行われた来日公演で演奏された「Lover’s Suicide」では、ギターの音が現実離れした美しさを放っていて、まるでバンドが魔法使いのようでした。

■ Night Flowers – Night Flowers(2015)

Label – Rimeout Recordings 
Release – 2015/04/29

彼らのこれまでのシングルやEPを中心に編集された日本オリジナルのミニアルバム。2016年、この編集盤を引っ提げた彼らの来日ツアーに、僕がやっていたJuvenile Juvenileというバンドで帯同したのは大切な思い出です。シューゲイズ・バンドのライヴはどうしても下を向いて突っ立って演奏しがちですが、彼らのライブはめちゃくちゃアツく、たくましいものでした。その熱量で演奏される「North」には行ったことのないイギリスの景色が目に浮かぶほどの迫力を感じました。

* * *

文=Ryuta Wachi(Still Dreams)
編集=對馬 拓

Release

Still Dreams – Make Believe

Label – Elefant Records
Release – 2021/04/16

Artwork:KNN.5
Mix & Master:Koji Takagi(Pictured Resort)

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