1991年にリリースされ、シューゲイズの金字塔を打ち立てたMy Bloody Valentineの2ndアルバム『Loveless』──2026年、MBVが実に8年ぶりの来日公演を開催し、11月には『Loveless』が35周年を迎える。
この節目に、Sleep like a pillowでは「re: my best shoegaze +」(アールイー:マイ・ベスト・シューゲイズ・プラス)と題した特集企画を不定期で連載。シューゲイズが多様化 / 細分化 / 要素化を繰り返し、広くシェアされた今、それぞれがシューゲイズをどう捉え、どう認識しているのか──原点となるアーティストや、フェイバリットに挙げる作品などを通して、改めて解き明かしていきたい。
第4弾は、名古屋を拠点に活動し、80年代の日本の歌謡曲とシューゲイズ・サウンドを掛け合わせた “歌謡シューゲイザー・バンド” を標榜する、溶けない名前のイトウ(Gt. Vo.)によるセレクト。
*本記事は制作中のマガジン『pygmalion』の誌面にも掲載予定。Webでの先行公開となります。
https://camp-fire.jp/projects/960342/view
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■ PLASTIC GIRL IN CLOSET – cocoro

Only Feedback Record | 2011年7月6日
バンド結成当初、日本のシューゲイズを検索していたときに「Rabbit House」のMVを観た。ギターのノイジーな感じはほとんど感じず、歌メロの強さと、男女ヴォーカルにかかったリヴァーブの感じが印象に残った。でも不思議と、ちゃんとシューゲイズに聴こえた。それまで自分の中では、シューゲイズといえばまずギター・ノイズが絶対必須みたいなところがあったので、「別にそこが主役じゃなくても成立するんだ」と驚いた。この曲を聴いて以降、シューゲイズ・バンドとして活動していくにあたって曲作りで大切にする部分の指針になった。
■ リサ – 私の恋は自由型(7”)

Japan Record | 1983
ウルトラ・ヴァイヴの前担当者の方からいただいた『ラグジュアリー歌謡 (((80s)))パーラー気分で楽しむ邦楽音盤ガイド538』に掲載されていた作品。レビューに「サーフ×テクノ×カタコト=音壁歌謡、ジザメリを彷彿させるサイコキャンディ感覚」と記載があり、聴いてみると音像が謎にリヴァーブっぽくて歪んでいてヴォーカルも少し小さめという、狙ってもこんなもん出来んだろという異物感。1983年にこのような作品があったのも面白い。2024年にシューゲイズ主体のDJイベントに参加する際、この曲をかけるために『テクノ歌謡コレクション 徳間ジャパン編 あいつはインベーダー』というコンピを大枚はたいて購入した。ジャンル外の音楽にシューゲイズが隠れてることを教えてくれた1枚。
■ 原田知世 – Schmatz

CBS・ソニー | 1987年7月29日
なぜか初期作品がストリーミングで解禁されていない原田知世。『NEXT DOOR』から『Soshite』『Schmatz』までの3つのアルバムは、どれも80年代後期特有の過剰なゲート・リヴァーブとシンセに対して原田知世のウィスパー・ヴォイスがほんの少し埋もれている感じがとても良い。これもシューゲイズ系DJイベントで流した。こういうのを聴いていると、自分はギターの音より、ヴォーカルがどの辺にいるかでもシューゲイズっぽさを感じているのかもしれない。このアルバムだと「霧雨のステンドグラス」が一番それっぽいかな。
■ ZABADAK – ZABADAK

東芝EMI / POPSIZE | 1991年2月14日
ZABADAKをシューゲイズと言うのはさすがに無理があると思う(さっきからずっとそうだろうって感じだが)。でも自分の中では近い場所に置いてみてもいいのではという感覚がある。聴いているうちに現実からちょっと離れたところへ連れていかれる感じや、浮遊感などだろうか。民族音楽的なリズムや、萩尾望都の作品にインスパイアを受けたという作品タイトルなど美学面からもシューゲイズ感ありか。1周回ってポスト・シューゲイズ的と言えなくもない。「パスカルの群れ」「水のソルティレージュ」「チグリスとユーフラテスの岸辺」が上記の感覚を強く受ける。
■ Baby Formula – Baby Formula

Self Released | 2013年10月14日
2021年頃、Instagramの海外のフォロワーの方にオススメしてもらった中国のシューゲイズ・バンド。2012〜2013年頃の短期間の活動だったらしい。ギターが轟音で押してくるというより、キーボードや男女ヴォーカル、リズム・マシン?みたいに聴こえるドラムの感じが全体的に宅録っぽい雰囲気がある。Parannoul周辺を知った後で聴き返すと、アジアのDIYシューゲイズが後に進んでいく方向とどこか繋がって聴こえる。制服の少女っぽいジャケットは、今の日本のシューゲイズ周辺で見かけるイメージにも繋がる。Baby Formulaがそこを先取りしていたと言いたいわけではないが、2026年の今聴く方が面白く感じる気がする。
*補足:「私的シューゲイズ」「拡張性」をテーマに選出。どストレートにベストを選ぶならば、海外はMy Bloody Valentine『Loveless』、日本は死んだ僕の彼女『ixtab』かな。
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■ イトウ(溶けない名前)の5枚

PLASTIC GIRL IN CLOSET – cocoro
リサ – 私の恋は自由型(7”)
原田知世 – Schmatz
ZABADAK – ZABADAK
Baby Formula – Baby Formula
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