: 2026年5月15日 : 對馬拓 Comments: 0

Rhakkaの音楽は優しい。何かを失い、何かを得て、悲しんで、笑って、泣いて、喜んで、それらの複雑な累積が人生だとして、この身を通り抜けていった感触、感情は、いつか忘れてしまったとしても、それは思い出せなくなるだけで、確かにこの身に残り続ける──Rhakkaの1stアルバム『afterglow』は、そのことを教えてくれる。誰かの人生に、そっと寄り添うように。

バンドは2025年、東京にて結成。その年の5月に1stシングル「うねり」をリリース。音源はたった1曲、他は音源化されていない楽曲を携え、ハイペースでライブをこなし、その熱量をもって着実に支持を集めてきた。そして2026年に入り、1月に2ndシングル「Yes, sir!!!」をリリース。その勢いのまま届けられた1stアルバム『afterglow』は、これまでライブで披露されてきた楽曲を含む全9曲を収録。バンドの始動から約1年を経た、現在のRhakkaが放つエネルギーが、もう、ダダ漏れである。メンバー4人に聞く初インタビュー。

質問作成 / 文 / 編集=對馬拓
ライブ写真=麗(2026年2月11日『lowkey – Rhakka 2nd single “Yes,sir!!!” release party』@下北沢 LIVE HAUS)


Q. まずはじめに、自己紹介をお願いします

クマガイ ベースを担当しているクマガイです。

オオマエ ギター担当のオオマエです。

梅サワ ギター / ヴォーカルの梅サワです。

Yamato ドラムのYamatoです。


Q. みなさんがこれまで影響を受けた音楽について、具体的なアーティストを挙げてください。

クマガイ Yogee New Waves、OKAMOTO’S、きのこ帝国、赤い公園

オオマエ Radiohead、揺らぎ、plenty

梅サワ サカナクション

Yamato 三善晃、凛として時雨、Daiki Tsuneta Millennium Parade、Giant Claw


Q. ちょうど1年前くらいにcephaloのインタビューをした後、オオマエさんから新しいバンドについて少し聞いていて、「いいヴォーカルの子が見つかった」というようなことを話していた記憶があります。バンド結成の経緯を教えてください。

クマガイ 僕が東京に来てバンドをやろうと思い、メンバー募集の掲示板を見ていたときに、オオマエと意気投合したのが最初のきっかけです。実は自分が前のバンドに加入するよりも昔、オオマエもまだcephaloを組む前に、一度スタジオに一緒に入ったことがあって。そのときがオオマエと初めて面と向かって話したタイミングでした。音楽に対する考え方がすごく近かったし、少し捻くれているけど自分の芯をしっかり持っていて、それをちゃんと言葉にできる人だと思って、「めちゃくちゃいいギタリストだな」と感じたのを覚えています。

クマガイ ただ、僕が別のバンドを始めることになって、そのタイミングでは一緒に組む流れにはなりませんでした。その後、お互い別々のバンドで活動していたんですが、2024年2月に新宿red cloth(紅布)で対バンする機会があって、改めて演奏を観たときに「やっぱりいいギタリストだな」と思って、僕から声をかけて一緒にバンドをやることになりました。

クマガイ ドラムのYamatoは、以前僕が在籍していたバンドでもドラムを叩いていたので声をかけました。大学時代にバンドの経験はあったものの、ブランクもあって最初は上手く噛み合わない部分もあったんですが、彼は本当に努力する人で、誰よりも練習するんです。だから今では、自分の中で一番信頼できるドラマーだと思っています。

クマガイ その後、ヴォーカル探しにかなり苦戦したんですが、そんなときに連絡をくれたのが梅サワでした。初めて会ったのは下北沢で、いつも素敵なイベントを企画されているshowさんのイベントです。そのときにcephaloが出演していて、そこで初めてメンバー全員が顔を合わせました。そして初めて全員でスタジオに入ったとき、梅サワの綺麗だけど少年のような青臭さもある歌声がとても魅力的だと一番最初に思ったのを覚えています。その歌声を聴いて、メンバー全員が一目惚れして。そこから今の“Rhakka”という形になっていきました。


Q. Rhakkaというバンド名の由来を教えてください。綴りがちょっとアイスランド語というか、Sigur Rósっぽいような気がします。

クマガイ 結構現実的なんですけど、まず検索性はめちゃくちゃ意識しました! バンド名って調べても出てこないと困るので、被らなくて覚えてもらえる名前がいいなと思っていて。その上で、自分たちが好きな音楽からの影響もあって、“落下”っていう言葉の響きと、「ハッカ」という曲が元になっています。“落下”って、少し危うさがあったり、不安定だけど前に進んでいく感じがあって、自分たちの音楽にも近い感覚があると思っていて。あと「ハッカ」の響きもすごく好きで、その2つを混ぜながら最終的に“Rhakka”という名前に落ち着きました。


Q. バンド始動から1年でアルバムをリリースするというのは、かなりスピーディな印象を受けます。いつ頃から、どのような流れでアルバムの制作に至ったのでしょうか?

クマガイ 2025年5月に1stシングル「うねり」をリリースしたんですが、そのタイミングで「次はどんな形で作品を出そうか」という話になったんです。自分たち自身、普段からアルバム単位で音楽を聴くことが多くて、「だったら自分たちもアルバムとして届けたいよね」という話になり、最初からアルバムでリリースする方向に決めました。

クマガイ あと、メンバーそれぞれに「こういう曲をやってみたい」とか、「こういう表現を入れたい」というアイデアがすごくあって。結果的に、もっとたくさん楽曲を収録したいという気持ちも強くなっていき、自然とアルバムという形になった部分もあります。


Q. アルバム全体の心地良い疾走感や、爽やかな聴後感は、まさにアルバム名である『afterglow』(=残照、余韻)という言葉のイメージと合致するものでした。個人的にはBase Ball Bearの『夕方ジェネレーション』的な温度感があるような気がします。『afterglow』というタイトルを付けた理由、またアルバム全体の雰囲気、トーンにおいて意識した部分があれば教えてください。

梅サワ “afterglow”は“終わった後に残る光”という意味です。このアルバムは、感情が緩やかに下り始めたときに振り返って眺めているような、そんな作品です。上手くいかない日を夜になって笑えたとき、別れた人の幸せを想うとき、熱が冷めていく途中、それでも身体や景色に残り続けるもの。そういう“余韻”の中に、私はずっといる感覚がありました。
時間が経って少し綺麗に見えてしまうものの中にも、当時確かにあった熱や痛みが残っていて。私はとても、その大きさをそのまま描くことはできませんでした。
全部いつか消えていくとしても、最後にまだ微かに光っているものを、このタイトルに重ねました。


Q. 歌詞は基本的に梅サワさんが書いていると思いますが、歌詞はどういうところから生まれてきますか? 「Yes, sir!!!」のように、“溌剌としているけれど本音は違う”というような温度感に惹かれます。また、歌詞の元になった出来事として、特に印象的だったものがあれば教えてください。

梅サワ 歌詞は、結構何気なくて、そのときは上手く言葉にできなかった違和感とか、帰り道に急に思い出した一言とか、そういう小さい引っかかりをずっと見つめているうちに曲になっていきます。
私は捻くれているのか、気づいたら温度感がチグハグになってしまいます。頭の中でひとりで喋っていることを文字にしています。

梅サワ 印象的だった出来事で言うと、打ち込んでいた部活の試合で負けてしまって、良い経験だったね、なんて言われたことがあります。本当に悔しくて、その瞬間はたくさんの後悔ばかりが頭を埋めていました。綺麗な思い出になんかしたくない、まだこの熱の中に居させて! って叫んだ曲が「核心温度」です。
バンドのエピソードだと、「Don’t miss it!」。フラフラのオオマエさんがこの曲を持って来ました。この頃メンバーもバラバラでゴールが見えずに疲弊しきっていて、そんな様子をそのまま書いたので、オオマエさんに「また変な歌詞書いてる!」と言われたとき、内心「あなたのコトですよ!」と思っていました。


Q. 今回のアルバムではオオマエさんに加えてクマガイさんも作曲にクレジットされています。楽曲制作の流れについて教えてください。お2人どちらかがデモを持ってきて、それに歌詞をのせるような形なのでしょうか? アレンジはどのように進めるのでしょうか?

クマガイ 基本的に僕がコード進行やベース、ドラム、簡単なリードなど、曲の骨組みを作っています。オオマエは、ベースと歌以外のパートを組んだ状態でメンバーに投げてくれることが多いです。そこに梅サワがメロディと歌詞を乗せて、最後は全員でスタジオに入りながらアレンジを詰めていく、という流れで制作しています。


Q. 「Don’t miss it!」はイントロがスーパーカーの「Hello」のオマージュになっていてニヤッとしました。アルバム全体のサウンドも『スリーアウトチェンジ』を想起させます。今回のアルバムにおいて、具体的にリファレンスとした作品、制作中に念頭にあった作品などがあれば挙げてください。

クマガイ 僕は基本的に「こういうことをやりたい!」っていうのから曲を作り始めることが多いです。具体的なリファレンスとしてはThe Smashing Pumpkinsの「Mayonaise」、ナンバーガールの「IGGY POP FAN CLUB」、Blurの「Song 2」などがあります!

オオマエ 賛否両論あるかとは思いますが、スーパーカーへの愛から生まれた曲もあります。ただアルバムとして考えたときに“Rhakka”という新しい世界観を確立できたと思うので、そういう意味ではあまり影響を受けた作品というのはないかもしれません。


Q. Rhakkaはライブ・パフォーマンスも大きな魅力だと思っています。観ていて本当に楽しいです。ライブにおいて意識していることがあれば教えてください。

クマガイ Rhakkaのライブでは、自分たちがちゃんと楽しんで演奏することを大事にしています。自分、メンバーが笑顔で演奏してるのを見るのが結構好きなんですよね……。やっぱり曲を聴くだけなら音源でもいいと思うんですけど、ライブって音だけじゃなくて、その場の空気感だったり、表情だったり、視覚的な部分も含めて楽しめるものだと思っていて。だから、聴覚からも視覚からも楽しんでもらえるライブにしたいという気持ちはすごくあります。自分たちも楽しめて、観てくれている人も楽しいと思える、そんなライブを作りたいなと思っています。

Yamato 自分もクマガイの言うようにライブとして楽しんでもらえるように意識しています。自分たちの感情の昂りや調子も大事にしつつ、かつオーディエンスに楽しんでもらうためには演奏技術も必要なので、聞いている側が不安にならないよう、聴いていて直に楽しめるよう固いアンサンブルで演奏できるよう意識しています。

オオマエ 演者が楽しまないとお客さんには伝わらないと思っているので、まずは自分が楽しむことを意識しています。それが伝染すれば楽しいな。


Q. 今回のアルバムは、そういったライブの熱量のようなものも反映されているような気がしました。実際にそういう意識はありましたか?

クマガイ 熱量の部分はかなり意識しました。特にアルバムの最後に入っている「灯」は、ライブでも最後にやることが多い曲なんですが、4人で「せーの」で録音していて。だからこそ、より生っぽい空気感を感じてもらえる曲になったんじゃないかなと思います。


Q.  アルバム全体を通して、特に聴いてほしい部分や楽曲、こだわったポイントなどを教えてください。

クマガイ 「核心温度」→「overture」→「灯」の流れが感動的すぎてとても気に入ってます! ぜひ聴いてほしいです!!!!

Yamato 全ての曲において、大きい視点で言うとその曲自体の雰囲気を、小さい視点で言うと各パートの絡み合いを聴いてほしいです。メロディに寄り添ったり、逆に全く違う動きをしていながら譜面上はかみ合っていたり、それらが最終的にその曲の印象にどう繋がっているかを聴いてもらえると嬉しいです。

オオマエ いろんな曲があって、旅をしているみたいなアルバムだなと感じてます。

梅サワ どの曲にもそれぞれの色とフックがあって飽きません。私は前半の勢いが特に好きです。


Q. みなさんにとって、Rhakkaとは? そしてバンドとは?

クマガイ 愛です。

Yamato 家です。普段はみんな別々の生活を送っていますが、音楽のときはみんな戻ってくるので家みたいだなと思います。日中は仕事とか学校で外出しているけどちゃんと戻ってきてみんな集まれる場所、みたいな。

オオマエ ONE PEACE

梅サワ 4人で作る曲にこれからも出会いたくて続けています。Rhakkaは生き物だなあ、と思います。


■ Release

Rhakka – afterglow

□ レーベル:Self Released
□ 仕様:Digital
□ リリース日:2026年4月28日(火)

□ トラックリスト:
1. 青空響室
2. ネームグリッジ
3. Don’t miss it!
4. めでぃそんぐ
5. Yes, sir!!! (Album ver.)
6. うねり (Remastered)
7. 核心温度
8. overture
9. 灯

*配信リンク:
https://linkco.re/a4TpVtRd

■ Event

Rhakka 1st album “afterglow” release party

2026年5月16日(土)東京 下北沢 ERA
開場 19:00 / 開演 19:30

[出演]
Rhakka
lifecrown
バキュンザエブリデイ

[チケット]
ADV ¥3,000 / DOOR ¥3,500(+1drink)
https://livepocket.jp/e/rhakka0516

■ Profile

Rhakka

2025年に結成された東京の4人組オルタナティヴ・ポップネス・バンド。鋭利なギター・サウンドとタイトなリズム隊、感情をまっすぐに突き抜けるヴォーカルを武器に、都内ライブハウスを中心に精力的な活動を続けている。

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Author

對馬拓
對馬拓Taku Tsushima
Sleep like a pillow主宰。編集、執筆、DTP、イベント企画、DJなど。ストレンジなシューゲイズが好きです。座右の銘は「果報は寝て待て」。札幌出身。